下半身が釜の男がハンマー片手に山を登る『Getting Over It with Bennett Foddy』Steam版本日発売。苛立ちと苦しみが押し寄せる奇妙なアクション

 

個人開発者Bennett Foddy氏は本日12月7日、Steamにて『Getting Over It with Bennett Foddy』を発売した。価格は820円で、日本語字幕に対応している。以前弊誌でも紹介した作品だ。Bennett Foddy氏は物理演算を導入した奇妙なランニングゲーム『QWOP』などを手がけた開発者だ。同作は、猛烈なもどかしさと妙な中毒性からカルト的な人気を博したが、本作もそうしたエッセンスを感じさせるタイトルになっている。

プレイヤーが動かすのは、上半身は裸、下半身は釜に埋没している奇妙な男性。彼はハンマーを握っており、移動手段となるのはこのハンマーのみ。ハンマーを崖に引っ掛けつつ、ハンマーを自分で振った反動などで“釜人間”を動かしていく。本作はマウスおよびトラックパッドを基本としてゲームをプレイする。マウスを動かすとハンマーが動く、それだけ。操作は非常にシンプルなものだ。マウスで弧を描くことでハンマーを振り回し山の頂上を目指す。

善意を装って積極的にプレイヤーを“煽る”ナレーションも本作のポイント

ストア説明からもただならぬ悪意が感じられるのも『Getting Over It with Bennett Foddy』の特徴だ。「特定の人に向けて、誕生した、ゲーム。特定の人を、傷つけるために。」というキャッチコピーや「今まで味わったことのないレベルの葛藤」といった宣伝文句など、穏やかではない文面が並ぶ。

そして、ゲーム内容は、こうした宣伝文句を裏切らない。チュートリアル段階の木を超えるのも一苦労。もどかしさと苛立ちを恣意的に喚起させる操作、プレイヤーをミスへと誘う絶妙な障害物、ひとつのミスによりすべてがやり直しになるゲームデザイン。苛立ちが募りやすい一方で、うまくいった時の爽快感もまた格別のものだ。非常に緻密な設計でプレイヤーをイライラの渦へと巻き込んでいく。

その通り

本作はSodapoppin氏を筆頭に、多くのゲーム実況者を苦しめたことでストリーマー界隈にて人気を獲得したタイトルでもある。彼らのリアクションは大げさに思えるかもしれないが、プレイしたユーザーならば、そのリアクションに理解を示すことができるかもしれない。それほどのエネルギーを持った作品なのだ。

*スピードランを見ての、Sodapoppin氏のリアクション(ネタバレ注意)