VR対応バス運転シム『Desert Bus VR』がSteamで無料配信開始。砂漠を貫く一本道を8時間走り続ける、ただそれだけ
Gearbox Softwareは11月28日、Dinosaur Gamesが開発した『Desert Bus VR』をSteamでリリースした。価格は無料。そのタイトルが示すとおり、HTC ViveやOculus RiftといったVRヘッドセットとモーションコントローラーをサポートするが、非VRモードも搭載しており、キーボード&マウスやゲームパッドだけでもプレイ可能である。
プレイヤーは長距離バスの運転手で、ゲームは何もない砂漠にポツンとたたずむバス停から始まる。そこでタイムカードを押せばバスの運転席に乗り込み、アメリカ・アリゾナ州トゥーソンからネバダ州ラスベガスまでの約8時間の勤務の開始だ。
バスの車内は、日本では見かけないいかにもアメリカのバスらしい雰囲気が再現されており、プレイヤーの気分を高めてくれる。しかし、バスを走らせて1分も経たないうちに、そうした高揚感は忘れ去ってしまうだろう。目の前にあるのは一面の砂漠地帯で、周囲を見回してもなにもなく、片側一車線の直線道路が地平線の向こうに延びているだけ。最高時速45マイル(約72km)で約8時間、特に運転スキルを求められるわけでもなく、何らかのイベントが発生するわけでもなく、この変わらない景色の中を走り続けなければならないのだ。
ずっと直線で、ほかの車が走っているわけでもないのなら、アクセルを踏みっぱなしにして放置しておけば良いと思うかもしれないが、ステアリングから手を離した状態は完全なニュートラルではなくジワジワと右の方へ寄っていってしまう。もしそのまま放置して道路から大きく外れると、自動的に戻されてしまう仕組みだ。ただし、それは近くの道路まで戻してくれるわけではない。ご丁寧にも、来た道を延々とバックしてスタート地点まで引き返していってしまう。その間はプレイヤーの運転操作は無効になるので、抵抗しても無駄である。
この『Desert Bus VR』は、未発売のメガCD向けオムニバスゲーム『Penn & Teller’s Smoke and Mirrors』に収録されていた作品の1つ『Desert Bus』をリメイクしたもので、もともとはゲームを通じたチャリティイベントのために開発された。3DグラフィックになりVRへの対応も果たしたが、ナンセンスなゲーム内容はそのままである(関連記事)。
ただ、新たにマルチプレイモードが追加されており、ほかのプレイヤーが乗客として一緒にバスに乗ることができるようになった。いつもは空っぽの車内なので、振り向けば誰かがいるというのは長旅には心強いことだろう。乗客となったプレイヤーも、紙くずを運転手に投げつけて“応援”することができる。もし一緒に乗ってくれる人がいない場合は、ラジオでも聴きながらクラクションを鳴らしてみたり、レバーをグイッと引いて乗降口を開けてみたりして気を紛らわしながらラスベガスを目指そう。なお、目的地に着いたら一応クリアではあるが、まだ運転し足りなければ逆にトゥーソンへ戻ることも可能だ。おそらく景色に変化はないだろうが。
本作は無料で配信されているので、興味のある方は試してみてはいかがだろうか。ただしVRモードでプレイする場合は、ヘッドセットを利用することもさることながら、モーションコントローラーでハンドルを握り続けなければならないので、体調面に気をつけて乗車勤務に臨んでいただきたい。