『PUBG』大企業テンセントが中国での独占運営権を獲得。中国国内向けの規制準拠やチーター対策の動向に注目集まる

中国の大手IT企業Tencentが、バトルロイヤルゲーム『PUBG』の中国における独占運営権を獲得したとロイター通信社が報じている。テンセントはモバイル向けのバトルロイヤルゲーム『Glorious Mission(光荣使命:使命行动)』を発表したばかり。中国の巨人が、PCとモバイル両市場を制するべく動き始めた。

中国の大手IT企業Tencent(騰訊・テンセント)が、バトルロイヤルゲーム『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の中国における独占運営権を獲得したとロイター通信社が報じている。テンセントはモバイル向けのバトルロイヤルゲーム『Glorious Mission(光荣使命:使命行动)』を発表したばかり(関連記事)。中国の巨人が、PCとモバイル両市場を制するべく動き始めた。

テンセントと『PUBG』の開発元であるBlueholeが交渉段階にあったことは、Blueholeの共同設立者Chang Byung-gyu氏がBloombergとのインタビューにて明らかにしていた。その結果が実りBlueholeとのパートナーシップを締結したテンセントは、中国での正式なリリースを迎えるにあたり『PUBG』の公式中国サーバの用意、チーター対策、中国当局の規制準拠に向けた取り組みを進めることを強調している。

『PUBG』の大ヒット以降盛んになったバトルロイヤル・ジャンルであるが、中国ではその暴力的な表現の多さや、生き残りをかけた殺し合いという内容から、中国の伝統・文化・倫理観、社会主義の価値観にそぐわないとして規制の動きがみられてきた(関連記事)。この点に関してテンセントは、規制・検問当局の基準に沿うようゲームのコンテンツに変更を加えていくほか、青少年に悪影響を及ぼさないようチームワークと公正な競争の精神を強調していくと述べている。

モバイル向けに発表された『Glorious Mission』。11月初旬の発表当時(画像上)はカジュアルであったキャラクターの服装が、いまでは軍服に一変している(画像下)。中国国内での規制を踏まえた変更だろうか

テンセントのライバル企業であるNetEase(網易)は『終結者2:審判日(Terminator 2)』や、日本語版が発売された『荒野行动(KNIVES OUT)』といったモバイル向けのバトルロイヤルゲームを運営しており、ロイターによると、こうしたタイトルでは「国家安全保障を、世界平和を守り抜け」といった軍事訓練色を強めるスローガンを掲げるなどして規制対策を取っているという。Steam版『PUBG』に関しても、すでに対策の一部として、中国向けには血の色を変更した状態で配信されている。また『PUBG』においては正式リリース後、有料キーにより開封するルートボックスの導入が予定されている。表現の規制だけでなく、中国政府より求められているランダム型アイテム提供方式(有料ガチャ)における取得確率の公開にも応じる必要が出てくるだろう(関連記事)。

『PUBG』は11月8日に2000万セールスを突破したことがアナウンスされ(関連ツイート)、Steamでの同時接続ユーザ数は連日のように200万人を超えるなど爆発的な人気を誇っている。国別のユーザ数に目を向けると、SteamSpy調べではアクティブユーザの約5割が中国圏となっており、同国が『PUBG』にとって最大規模の市場であることがわかる。また本作ではチートツールの蔓延が問題視されており、最近では開発者から何かしらのアナウンスがあるたびにチート対策について言及されるようになった。テンセントのバックアップによりチーター排除に向けた取り組みが促進されることも期待したい。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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