ベルギーの賭博委員会は、まだ正式には「ルートボックス」をギャンブルに認定していない。あくまで司法大臣の個人的な見解と報道

 

昨日11月22日にベルギーの賭博委員会が、昨今のゲームに搭載されているアイテムをランダムでドロップする「ルートボックス」をギャンブルに認定したという報道が海外を駆け巡った。しかし、委員会はまだ正式な最終判断を下していなかったようだ。その詳細を、ベルギーの報道局RTBFが伝えている。

RTBFが同委員会の議長であるEtienne Marique氏に確認をとったところ、現在おこなっている『Star Wars バトルフロント II』や『オーバーウォッチ』などを対象とした調査はまだ結論が出ていないと回答。「ルートボックスはギャンブル」「ゲーム内課金を制限したい」「欧州でも同様の措置を求める」といった発言は、あくまで同委員会に携わる司法大臣Koen Geens 氏がVTM Nieuwsに対して答えた“個人的見解”であるとのこと。記事の内容がうまく翻訳されないまま英語系のメディアに取り上げられ、賭博委員会が現在おこなっている調査の最終決定であるかのように話が広まっていったと説明されている。

同じくベルギーメディア4gamers.beは同委員会のPeter Naessens氏にインタビューを試みており、委員会の真意はこちらの記事の方が的確に汲み取れるだろう。たとえば氏は、『オーバーウォッチ』のようなスキン型のルートボックスであっても、勝負に関連した賭けにおいてランダム性が絡むのであれば同国の賭博法に抵触すると語っている。くわえて、Naessens氏は“禁止”はゲーム産業に大きな影響を与えるがゆえに、禁止というよりは新たな枠組みでのルールの制定を望んでいるとも語っている。

さらに、ベルギーを含んだ海外の賭博委員会は基本的に、調査中のものをギャンブルであるかどうかを判断するのみで、政府側があくまでそれを参考に判断を下すだけであり、ベルギー賭博委員会が「ルートボックス」をギャンブルであると結論を下しても、必ずしもそれが措置につながるとは限らないという。一方で、英国とともに欧州全体に対して新たなルールの制定を呼びかけているのも事実であるようだ。

ちなみに司法大臣Geens 氏が、中毒性のある「ルートボックス」を制限しようと強く働きかけているのは真実であるようで、VTM Nieuwsに対してだけでなく、さまざまなメディアにて同様の発言をしている。あくまで個人の見解であるが、ベルギー政府の司法大臣がそうした意見を持っていることが大きいとの見方もできる。しかし、正式な決定が下されていないこと、かつ委員会が禁止という処罰をゴールとしていないという事実は留意しなければいけないだろう。

昨日、同じくしてハワイ州議会議員であるChris Lee氏とSean Quinlan氏が『Star Wars バトルフロント II』を例にあげ「ルートボックス」や「マイクロトランザクション」について制限を求めていく意向を示している。Lee氏は公開した映像の概要欄に「ハワイ州の声明」と記述しているほか、映像にてLee氏は「ほかの州も同様の意向を抱いている」とも発言しており、むしろアメリカにおける動きが活発する気配が垣間見える。

課金をともなう中毒性の強いコンテンツ「ルートボックス」制限への報道は加熱する一方であるが、その決定および裁定においては時間が要することは間違いない。各機関による公式な声明を待たなければいけないだろう。