『GTA V』のパブリッシャーTake-Twoが業績を発表。「ゲーム内課金」が収益の約半分を占める結果に
Rockstar Gamesや2Kを抱えるパブリッシャーTake-Two Interactive Softwareは11月7日、2018年度第2四半期(2017年7〜9月)の業績を発表した。収益は前年同期比6パーセント増の4億4360万ドル(約504億円)で、収益に貢献したタイトルとしては『Grand Theft Auto V』や『Grand Theft Auto Online』『NBA 2K17』『WWE 2K17』『XCOM 2』などを挙げている。なお『GTA V』は売り上げが8500万本を突破し、米国では史上最大のヒット作となっている。
今回の発表で目立ったのは、デジタルコンテンツの売り上げの成長だろう。これにはゲーム本体のダウンロード版のほかに、DLCやシーズンパスなども含まれる。その収益は前年同期比で31パーセント増となる3億290万ドル(約344億円)を記録しており、収益全体の68パーセントとなっている。そしてさらに注目なのが、ゲーム内通貨などのマイクロトランザクションと呼ばれるユーザーが「繰り返し購入するデジタルコンテンツ(Recurrent consumer spending)」に限定すると、前年同期比で実に66パーセント増を記録していることだ。このゲーム内課金の収益だけでなんと全体のおよそ半分となる48パーセントを占めている。
『GTA Online』や『NBA 2K17』などではアイテムやアップグレードに使用できるゲーム内通貨が存在し、ゲームを通じて稼ぐほかに実際のお金で購入することもできる。こうしたマイクロトランザクションはゲームへの実装方法によってはメディアやゲーマーからの批判にさらされることもあり、それはTake-Twoのタイトルでも例外ではなかったが、結果的には多くの人がお金を落としていることが浮き彫りになった形だ。批判を受けたタイトルのひとつ『NBA 2K』シリーズでも、マイクロトランザクションを含むデジタルコンテンツの売り上げは前年同期比で57パーセント増を記録している(VentureBeat)。
同社CEOのStrauss Zelnick氏は業績発表会見の中で、「この業界のビジネスは、かつては数十、数百時間の体験を生み出すものでしたが、いまはユーザーの生活の一部となるような継続した体験に様変わりしています」と語り、すべてのタイトルにおいてユーザーが繰り返し購入する機会を設けることを目指しているとしている。それは必ずしもオンライン要素であったりゲーム内通貨に関連したものに限るわけではないそうだが、ゲームをリリースした後も継続して利益を生み出す構造に注力しているとしている。Zelnick氏はさらに、ユーザーが楽しくさまざまにプレイできるしっかりとした環境を作り出せばユーザーは継続して遊んでくれるとし、自ずとそこにはマネタイズの機会も生まれるとコメント。まだまだ成長の余地はあり、いまはまだ始まりに過ぎないと語っている。
ほかのメーカーを見ても、収益の中でデジタルコンテンツが占める比率は年々増えてきており、その中のマイクロトランザクションなどユーザーが繰り返し購入するコンテンツもまた同様だ。たとえばUbisoftではその割合が年々伸びており、直近の業績発表でデジタルコンテンツの売り上げ全体の半分を初めて超えたと発表している(Gamasutra)。大手メーカーを中心に、高騰する開発費の回収および収益の最大化のためにゲームをサービスとして展開する流れは着実に広まってきているが、実際に成果をあげていることがわかる。時に議論を呼ぶこともある分野であるが、各社ユーザーとの対話を繰り返しながら最善の方法を模索していくことが続くようだ。