ニンテンドースイッチへの慎重姿勢を示すEA。『FIFA 18』に続くさらなる投資を行うかどうか「判断を下すのは時期尚早」
任天堂は2018年3月期第2四半期の決算を発表し、その中でNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)の販売が好調であることを報告した。今年3月に発売されたニンテンドースイッチは現在までに約700万台を販売しており、任天堂は今期における予想販売台数を期初計画の1000万台から1400万台に上方修正している。任天堂のコンソールとしては、もっとも成功したWiiに迫る勢いの売り上げ推移を見せているという。
そのニンテンドースイッチ向けには現在300社以上のメーカーが対応タイトルを開発しているが、これまでには多くのインディースタジオが参入し成功を収めていることが報告されている(関連記事)。一方の大手メーカーはというと、既に本格参入しているメーカーもあるが、まだ様子見というメーカーもある。
業界を代表する大手メーカーのひとつElectronic Arts(以下、EA)は10月31日、2018年第2四半期の決算を発表し、CEOのAndrew Wilson氏ら幹部が会見をおこなった。EAはニンテンドースイッチ向けにはサッカーゲーム『FIFA 18』を9月に発売したが、今後の発売予定としてはアクション・アドベンチャーゲーム『Fe』が来年に予定されているのみである。ただ同作は、外部デベロッパーが手がけるインディーゲームを支援するEA Originalsとして販売するものであり、EAが開発するゲームではない。EAはニンテンドースイッチに対してどのようなスタンスを取っているのか、会見・質疑応答の中では「Switch」について一言も触れられることはなかったが、海外メディアWall Street JournalがEAの最高財務責任者Blake J. Jorgensen氏のコメントを報じている。
EA in No Rush to Make More Videogames for Nintendo Switch via @saraheneedleman pic.twitter.com/RrBzOBNpkZ
— Takashi Mochizuki (@6d6f636869) November 1, 2017
Jorgensen氏は、EAがニンテンドースイッチ向けにさらなるタイトルを投入するかどうかは、このプラットフォームで『FIFA 18』が成功するかどうか次第だとし、その判断を下すのは時期尚早だとしている。どのような需要があるのか十分に見極めたいとのことで、ニンテンドースイッチが発売から1年経つまでは待つとして慎重な姿勢を取っている。ただ、『FIFA 18』が発売されたのは第2四半期が終わる直前だったため、Jorgensen氏は決算発表会見の中で同作の売り上げの大部分は来期分に集計されるだろうとしていた。時期尚早とコメントしたのは、こういった事情もあるためと捉えるべきだろう。
ニンテンドースイッチへの参入に慎重になっているのはEAに限った話ではないようで、任天堂の君島達己社長も今回の決算発表会見の中で言及していた。その理由としては、まだ累計販売台数が1000万台にも達していないことや、過去の任天堂プラットフォームの販売トレンドが影響したのではないかと分析している。ただし、冒頭で述べたようにニンテンドースイッチ本体の販売は非常に好調で、今後への強い期待感を語っている。
ほかの大手メーカーでは、Rockstar Gamesや2Kなどを傘下に持つTake-Two Interactiveも今年5月の時点では、ニンテンドースイッチのローンチの成功に触れつつも、今後の推移を注視しながらリリースするタイトルについては厳選していくと慎重な姿勢を示していた(GameSpot)。しかし、今年8月に行われた決算発表の場で同社CEOのStrauss Zelnick氏は、ニンテンドースイッチが継続的に売り上げを伸ばしていることから当初の慎重姿勢から一転、強くサポートしていくと発言している。同社はこれまでに『NBA 2K18』を発売しており、今後は『WWE 2K18』と『L.A. Noire』の発売を予定している。またカプコンも当初は慎重であると伝えられていたが、『ウルトラストリートファイターII』の成功を受けてか『バイオハザード リベレーションズ』シリーズなどの投入を決定している。
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新しいプラットフォームへの参入はチャンスであると同時にリスクでもある。また、プラットフォームが異なれば客層も異なる可能性があるため、慎重になるメーカーが現れるのはやむを得ないことだろう。EAにとってニンテンドースイッチは投資するに値するプラットフォームであるかどうかの判断は来年になるようだが、ニンテンドースイッチはその好調な売り上げはもちろん、タイトルラインナップもインディーゲームなどカジュアルなものからBethesdaのAAA級タイトルまで幅が広がってきているため、楽観できる状況と言えるのではないだろうか。ニンテンドースイッチはこれから初めての年末商戦期を迎え、さらなる成長が期待される。