なぜ『グランド・セフト・オートV』に現在までシングルプレイヤーDLCは登場しなかったのか、Rockstarが理由語る
Rockstar GamesのデザインディレクターImran Sarwar氏は、Game Informerの取材を通じて、現在まで『Grand Theft Auto V(グランド・セフト・オートV。以下、GTAV)』にシングルプレイヤーDLCが登場しなかった理由を語った。氏によれば、Rockstar内で「シングルプレイヤーDLCをリリースしない」といった明確な決定は下されなかったものの、スタジオ内のリソース状況により自然と開発はしない方向へと流れていったようだ。
『GTAV』は2013年にPS3/Xbox 360にてリリース、2014年にはPS4/Xbox One版、2015年にはPC版も発売された、シリーズ12作目の作品である。プレイアブルキャラクターが3人存在したり、またオンラインサービスである『GTA Online』が展開されるなど、シリーズ過去作にはなかった新要素が特徴だ。一方で、当時のRockstarの作品であれば定番となっていたストーリーDLCは一切登場せず、発売から数年のあいだファンをやきもきさせてきた。2014年にRockstarは、年内の終わりにもストーリーモードDLCが登場することを一度告知したが、その後の続報もなかった。
Sarwar氏はインタビューにて、シングルプレイヤーDLCが登場しなかったのは明確に意図したものではないとコメント。『GTAV』が3つのゲームを1つにしたような大規模な作品であることに触れつつ、次世代機版(PS4/Xbox One)にスタジオの誰もが1年を費やし、またオンライン要素(『GTA Online』)にさらなる可能性を感じたことでスタジオ内の多くのリソースが吸い上げられたと、理由を語っている。ほかにも『Red Dead Redemption 2』など他の作品が存在していたことも加え、これら3つの理由により「我々はシングルプレイヤーの拡張が可能か必要かを感じることがなかった」と語った。社内のリソースが移植作業やオンラインの拡張、ほかの新作へと割かれていくなか、自然とシングルプレイヤーDLCの開発が発生しなかったという筋書きだ。
『GTA Online』では現在も継続的なコンテンツアップデートが続けられており、パブリッシャーTake-Two Interactiveによる投資家向け説明会での発言などを見る限りでは、発売から4年が経過してなおマイクロトランザクションによる収益は良好だ。2018年春にリリース予定の最新作『Red Dead Redemption 2』では“まったく新しいオンラインマルチプレイヤー体験”の導入も告知されている。今回のSarwar氏の発言と合わせて見ると、Take-TwoとRockstarは今後、『GTAV』のようなマルチプレイヤーでの拡張を続けていくスタイルを貫いていくのだろうか。
しかしSarwar氏は、「将来的にはシングルプレイヤーのアドオンを作品に追加したいと思っています」と答えている。「企業として、我々はシングルプレイヤーがなによりも大好きで、ストーリーテリングや世界への没入感において、マルチプレイヤーゲームはシングルプレイヤーゲームにはかなわないと間違いなく信じています」。少なくともスタジオ内では、まだシングルプレイヤーDLCの制作に取り組みたいという意思は存在するようだ。『GTA』や『Red Dead Redemtion』などのシリーズで今後シングルプレイヤー向けの拡張コンテンツを見ることはできるのか、今後のRockstarの取り組みに注視したい。