『スーパーマリオ64』に最大24人のオンラインマルチを導入する改造作品「Super Mario 64 Online」の動画と集金サービスが公開停止

 

『スーパーマリオ64』に最大24人のオンラインマルチを導入する改造ゲーム「Super Mario 64 Online」の動画とPatreon(クラウドファンディングサービス)が、任天堂の要請により公開停止となった。公式サイトで配布されている改造ROMは、依然としてダウンロードできる状態だ。「Super Mario 64 Online」は『スーパーマリオ64』の改造を好み、これまでも「Super Mario 64 Maker」なるものを作ってきたKaze Emanuar氏が手がけた改造作品だ。氏はTwitterにてその事実を報告している。

https://twitter.com/KazeSSBM/status/910070822559154176

[perfectpullquote align=”full” cite=”” link=”” color=”” class=”” size=””]俺は死んだ。任天堂が俺の20本以上動画とPatreonを公開停止にした。Nintendo Creators Programは俺の国では無効だったみたいだ。[/perfectpullquote]

『スーパーマリオ64』に、最大24人のオンラインマルチプレイを導入するというこの改造プロジェクトは、立ち上げ時から期待が寄せられており、リリース時には国内外のメディアで取り上げられた。しかし公開から約1週間後、動画と集金サービスが停止されるという結末に至っている。「Super Mario 64 Online」はYouTubeにてリリースが告知されダウンロードリンクがシェアされていたが、Emanuar氏のYouTubeチャンネルの該当動画が公開停止された。拡散するための重要な手段である動画と、最終的なゴールである集金サービスPatreonの停止は、氏にとっては作品の公開停止よりも重い処分かもしれない。ちなみに氏のチャンネルの動画は現在ランダムに公開停止処分を受けているようだ。

*YouTube実況者によるプレイ動画

全世界で脚光を浴びた「Super Mario 64 Online」は、『スーパーマリオ64』にオンラインプレイを搭載する夢のタイトルのようにも思えるが、あくまで改造作品だ。内部データを改ざんし、それを配布している。個人で改ざんして楽しむだけならば、個人利用の範疇であるとも言えるが、外部への配布は“黒”以外の何者でもない。

そしてさらに根深い部分は、Emanuar氏の一連の創作活動は、集金を目的としたという見方が強い点だ。氏はPatreonという個人を対象としたクラウドファンディングサイトを利用していた。いわば個人のスポンサーになるためにユーザーが投資するサイトだ。氏は動画の説明欄の冒頭にPatreonリンクを張ることはもっぱら、動画によってはタイトルの見出しに「Patreonへの投資お願いします」と記述していることもままあった。『スーパーマリオ64』という任天堂IPを利用した、集金活動に熱心であったことは否定できない事実である。Patreonの公開停止処分について、Emanuar氏は「説明欄に『スーパーマリオ64』について書きすぎたと思う。もう一度再開するか、新しく始めるよ」と集金活動への再起を誓っている。ゲーム自体の公開が停止されていない理由は不明であるが、時間の問題だろう。

公式サイトには巨大なコミュニティフォーラムが用意されており、その野心がうかがえる

ちなみに氏が言及しているNintendo Creators Programとは、任天堂作品のゲームプレイ動画を投稿することで、クリエイターがYouTubeから得られる広告収益を任天堂とシェアするというプログラムだ。『スーパーマリオ64』はプログラムによる対象作品ではあるものの、同プログラムの利用規約の第7条には改造作品の投稿を禁止する旨の記述があるので、氏がいうような“国の問題”が原因ではないと考えられる。

「Super Mario 64 Online」の映像では、ワリオやワルイージ、ピーチやロゼッタなどがシリーズの人気キャラクターが登場し、楽しげに『スーパーマリオ64』の世界で遊ぶ姿が印象的だ。確かに面白そうであることは否定できず、ついプレイしてみたいと思ってしまうかもしれないが、改造作品の多くが見えざる影に覆われていることを忘れてはいけないだろう。