女戦士の幻覚を恐ろしくも美しく描くアクション『Hellblade: Senua’s Sacrifice』Steamにて日本語対応で発売。『DmC』開発元最新作
Ninja Theoryは8月8日、『Hellblade: Senua’s Sacrifice』をSteamで発売した。価格は2980円で、日本語表示に対応している。なお、海外ではPlayStation 4向けにも発売されている。
本作の主人公は、ヴァイキング時代に生きるケルト族の女戦士セヌア。彼女は亡くなった恋人ディロンの魂を救うために、北の民が「冥府ヘル」と呼ぶ霧と霞の大地へと一人向かう。恋人を失ったショックからか、それともなにかもっと辛い経験をしたからか、彼女の精神は蝕まれており幻覚や幻聴が絶えず襲ってくる。
ゲームプレイは3人称視点のアクションゲームで、敵とのバトルと、道を切り拓くパズルが大きな要素として存在する。バトルでは悪魔のようなモンスターと対峙し、剣を武器に戦う。弱・強攻撃とガードや回避を駆使して立ち回るが、スピーディーなアクションというよりは、剣の鋼の重みを感じさせるようなバトルになる。そして道中では時折、先へ進む道が塞がれている場面がある。そこではパズルを解く鍵となる文字の形が示されるので、近くの風景の中から同じ形に見えるものを探し出して、見る位置や角度を調整してイメージを重ね合わせると先へ進むことができる。
前述したようにセヌアは幻聴に悩まされており、ゲーム中には多数の人間の声があちこちから常に聴こえる。それは彼女を導く語り部のような声や、あるいは天使や悪魔のささやきような、彼女の行動に対して対立する意見を述べる声などさまざまだ。もう慣れてしまったのか、彼女はそうした声にいちいち反応しないが、これがすべて彼女の頭の中に渦巻いていると考えると恐ろしさをも感じる。
また本作の地獄のような世界観や、そこに登場するモンスターやパズルも、もしかするとこれらもすべて彼女が見ている幻覚なのかと想像をかき立てられる。Ninja Theoryは、神経科学者や精神疾患患者の協力を得てセヌアを生み出したという。ちなみに本作はバイノーラル3Dサウンドに対応しており、ヘッドフォンをしてプレイするとさまざまな方向から聴こえてくる幻聴を立体音響で楽しむことができる。
Ninja Theoryによると、本作はおよそ8時間のゲームプレイになるという。『DmC: Devil May Cry』や『ENSLAVED ODYSSEY TO THE WEST』などの大作を手がけてきた彼らだが、初めて自らが販売元となる本作ではチームの規模を拡大することをせず、インディーゲームとAAAタイトルの中間。つまり比較的短く価格も抑えめだが、Unreal Engine 4を用いてハイエンドのクオリティを目指したとのこと。実際にゲームを見ると、物量で勝負できない代わりにセヌアの表現に特に注力したようだ。モーション/フェイシャルキャプチャを活用して生み出された、美しいだけではなく苦悶に満ちた彼女のさまざまな表情に、プレイヤーは思わず見入ってしまうことだろう。