PC版『ダークソウル』を改良した敏腕Modder、再び国産ゲームを大改造。Steam版『閃の軌跡』にターボモードを導入
国産家庭用ゲームのPC移植は、パフォーマンスなどが悪化して制限が生まれるケースが少なくない。そうした国産ゲームの改良を専門としたMod開発者がいる。その名はPeter “Durante” Thoman氏。Durante氏の名が知れ渡った大きなきっかけは、PC版の発売当初、解像度とfpsが固定されるなど多くの点で最適化が不足していた『ダークソウル』を改良したことだ。
その後も活躍を続けており、今年の2月には今度はアマチュアの非公式なModderではなく、プロの開発者としてX-SEED Gamesの要請を受け、Steam版『王様物語』のパフォーマンスを向上させた。Durante氏は今回、ふたたびX-SEED Gamesの要望を受けて家庭用ゲーム『英雄伝説 閃の軌跡』の移植をサポート。その内容はサポートの域を越える「大改造」ともいえるものだった。その経過がX-SEED GamesのTumblrに記されている。
ゲームを倍速化
Durante氏は上限fpsを向上させるなど、全体的なパフォーマンスを大きく引き上げ、FOV変更のオプションを完備。アンチエイリアスも8xまでサポートし、シェーディングも大きく改良。その他、細部までグラフィックを向上させることに成功している。さらには、GPD Winで動作するというオプションまで用意。ゲームの基盤となる部分まで手を入れ、美しさと快適性を大きく引き上げる改造を成し遂げた。さらにはウルトラアスペクト比をサポートし、とてつもなく横に長いアスペクト比でもゲームをプレイできるようになった。
しかし氏の改造はここで終わらない。Durante氏はPC版ならではの機能を実装したいという思いからTurbo Mode(ターボモード)を導入したのだ。ターボモードはその名のとおり、ゲーム速度を早める機能。R2ボタンに相当するボタンを押している間はフィールド、戦闘、カットシーンすべての場面において4倍速で進められるという。ゲームテンポに対して不満の声があがる同作において、ターボモードの導入はまさに待ちわびた機能だといえる。しかも、この機能はただゲームを倍速で進めるだけでなく、戦闘中に発生するリンクアタックなど、コマンド入力などが必要な状態ではもとのゲームスピードに戻る。氏はこうした機能を兼ね備えていることにより、ターボモードをスマートターボとも呼んでいる。
『ダークソウル』や『王様物語』に途中からヘルプのような形で参加し、PC版のパフォーマンスを大きく向上させたDurante氏。これまでの実績も輝かしいが、『英雄伝説 閃の軌跡』にはSteam版のリリース前から開発に参加したということで、数々のオプションを完備し、さらにゲームテンポを向上させる機能を追加するという、Modderとしての腕を遺憾なく発揮する大改造を披露した。同作に日本語音声が収録されていないという点は、ただただ残念であるが、それでも一度ゲームをクリアしたプレイヤーもふたたび遊ぶ価値があるクオリティに仕上げられているといえる。
Durante氏は今回もX-SEED Gamesにゲストという形で移植作業を手伝っていたようだ。氏は日本産家庭用ゲームのPC移植というニッチなジャンルを専門としているが、現在国内メーカーのSteam展開が盛り上がりつつあることを考えると、活躍の場はさらに広がっていくだろう。