とあるインディー開発者がプレイヤーへ叩きつけた挑戦状、実績解除できたらソースコード公開する

先日、同作を手がけるPill Bug Interactiveの開発者がSteamのニュースページを更新し、この実績を解除できるプレイヤーが現れた暁には、ゲーム内に組み込まれているAIのソースコードを公開すると宣言した。

自分だけの生態系を遺伝子レベルから構築できるシミューレーションゲーム『Intelligent Design: An Evolutionary Sandbox』には、解除条件すら分からない謎の実績が最後に存在する。先日、同作を手がけるPill Bug Interactiveの開発者がSteamのニュースページを更新し、この実績を解除できるプレイヤーが現れた暁には、ゲーム内に組み込まれているAIのソースコードを公開すると宣言した。実は同作の発売当初から、ゲーム内に謎の暗号が散りばめられていることがフォーラム内で密かな話題になり、熱心なプレイヤーが解析を続けていた。しかし、真実にたどり着いた猛者はいまだに現れていない。

 

遺伝子に秘められた暗号文

『Intelligent Design: An Evolutionary Sandbox』は、Pill Bug Interactiveから5月12日にPC向けに発売されたサンドボックスゲーム。温度・湿度・風といった天候モデルが組み込まれた仮想空間で、植物・草食動物・肉食動物による食物連鎖を遺伝子レベルから構築し、独自の生態系をシミューレーションできる。プレイヤーの最終目的は自分が創造した生命の神秘を解き明かすこと。もしゲームにプログラムされたAIのソースコードがあれば、それぞれの遺伝子の役割から、すべての有機生命体の行動原理や生成パターンが紐解けるというわけだ。そのためには最後の実績を解除しなければならない。

全部で12個ある実績の内、最後に用意されているのが「Code Breaker」という項目。その説明文には、ただ「WDCP JOZM BKXU QKEF MDNN CJCS FZQR WINB VHDL HZVS YSI」とだけ記されている。実は同様の暗号文がゲーム内にも無数に散りばめられており、その謎を解こうとフォーラムに集まった有志たちが発売直後から解読を進めている。中には、第二次世界大戦時にナチス・ドイツが利用したエニグマ暗号ではないかとの意見もあるが、真相はいまだ定かではない。

その様子を目の当たりにした開発者のSean Walton氏は、先月末にSteamページを更新。もし誰か一人でも「Code Breaker」の実績を見事に解除し、そのプロセスを正確に説明できたなら、真実の扉を開くAIのソースコードを公開すると宣言した。ちなみにSteamで本作のグローバルプレイデータを確認すると、記事執筆現在で「Code Breaker」を解除したユーザーは全体の0.2パーセント存在している。しかし、いまだにWalton氏がソースコードを開示していないことから、おそらく誰かが偶然実績を解除するも正確なプロセスを論理的に説明できていないか、もしくは単に何らかの実績ハックを使って不正に解除した可能性が考えられる。

余談になるが、Walton氏はイギリスの大学でコンピュータ科学の講師を務めており、余暇を利用して趣味でゲームを開発している人物。フォーラムでのユーザーとのやり取りは、まるで知識欲にあふれた生徒たちとコミュニケーションを取っているようで、どこか微笑ましい。もし本当に最後の実績を解除できる人間が現れたなら、それは『Intelligent Design: An Evolutionary Sandbox』の真価が認められる瞬間であり、それこそ同氏にとってこのゲームを作った本当の理由なのかもしれない。

Ritsuko Kawai
Ritsuko Kawai

カナダ育ちの脳筋女子ゲーマー。塾講師、ホステス、ニュースサイト編集者を経て、現在はフリーライター。下ネタと社会問題に光を当てるのが仕事です。洋ゲーならジャンルを問わず何でもプレイしますが、ヒゲとマッチョが出てくる作品にくびったけ。Steamでカワイイ絵文字を集めるのにハマっています。趣味は葉巻とウォッカと映画鑑賞。ネコ好き。

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