PS4向けに美しく蘇る『ワンダと巨像』原作者の上田文人氏がリメイクにあたって要望を送る

先日開催されたE3 2017でソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、アクション・アドベンチャーゲーム『ワンダと巨像』をPlayStation 4向けに発表し、大きな反響を呼んだ。本作はもともとは2005年にPS2向けに発売されたゲームで、2012年にはPS3向けにHDリマスターされていた(関連記事)。

先日開催されたE3 2017でソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、アクション・アドベンチャーゲーム『ワンダと巨像』をPlayStation 4向けに発表し、大きな反響を呼んだ。本作はもともとは2005年にPS2向けに発売されたゲームで、2012年にはPS3向けにHDリマスターされていた(関連記事)。

『ワンダと巨像』は、『ICO』や『人喰いの大鷲トリコ』で知られるゲームデザイナー上田文人氏が手がけ、名作のひとつとして数えられるほどの高い評価を得ている。今回発表されたPS4版について、SIEワールドワイド・スタジオ プレジデント吉田修平氏はファミ通の取材に対して、上田氏は「あまり関わっていない」としていたが、やはり自らが生み出したタイトルが気がかりだったのか、上田氏は事前に要望をSIEに送っていたそうだ。

現在スペイン・バルセロナで開催中のゲーム開発者イベント「Gamelab 2017」で講演をおこなうため現地に赴いた上田氏は、海外メディアEurogamerのインタビューに応えている。その中で上田氏は、『ワンダと巨像』のPS4版が開発されるのであればいくつか変更してほしい部分があったそうで、コンテンツや調整内容について要望を送ったことを明かしている。ただし、それが実際に採用されたのかどうかは分からないとしている。上田氏はソニーを退社し、現在はgenDESIGNに所属しているため、外部から関与できる余地はほとんど無かったのかもしれない。

では、具体的にどのような要望を送ったのだろうか。上田氏は、もし製品版に反映されていなかったとすると問題視される恐れがあるので、その内容を公表することはできないと語る。確かに、『ワンダと巨像』の生みの親であり、世界中のゲーマーから尊敬をあつめる上田氏の意見を無視したとなれば、SIEは一部のファンからの批判に晒される可能性があるため賢明な判断だろう。ちなみに、吉田修平氏は前述のインタビューの中で、ゲーム内容はPS2版と同じだが、操作系などは現代風に遊べる工夫を入れるとしている。これが上田氏のアイデアだったのかどうかは分からない。

*海外メディアIGNによる、PS2版ゲーム画面とPS4版トレイラーの比較映像

また、公開されたトレイラーではオリジナル版よりもはるかに高精細なグラフィックが確認できるが、海外ではPlayStation公式が“リマスター”であるとしていたり、国内でも“美しく蘇る”とだけ記載していたり、リメイクなのかリマスターなのかはっきりせず一部で混乱が広がっていた。この点について吉田氏はリメイクであると明確にしている。開発はPS3版のリマスターを手がけたBluepoint Gamesが担当しており、アセットはすべて作りかえているとのこと。

『ワンダと巨像』は、開発当初には48体もの巨像がボスとして検討されながら、結果的に16体に絞り込まれてPS2で発売されたことがファンの間では知られている。今回PS4版が発売されるにあたって、そのうちの何体かが新巨像として登場するのではないかという期待に対して上田氏は「このゲームでは16体の敵と、それにまつわる物語が語られましたが、その歴史を変えようとは思いません。16体の敵で物語は完結しました。それで良いのです」と語っている。PS4版『ワンダと巨像』は2018年に発売予定だ。

*Gamelab 2017で上田文人氏は、VlambeerのRami Ismail氏と共に登壇した

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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