『スーパーマリオワールド』を54秒でクリアするプレイヤー現わる。最序盤から強引にエンディングへ突入

海外プレイヤーSethBling氏が、『スーパーマリオワールド』を54秒という速さでクリアした。氏は後述する「クレジットワープ」と呼ばれる技を使っている。そのほかにもある種の仕掛けを仕込んでおり、今回のタイムはあくまで参考記録だ。それにしても54秒という記録は特筆すべきものがあるだろう。

海外プレイヤーSethBling氏が、『スーパーマリオワールド』を54秒という速さでクリアした。氏は後述する「クレジットワープ」と呼ばれる技を使っている。そのほかにもある種の仕掛けを仕込んでおり、今回のタイムはあくまで参考記録だ。それにしても54秒という記録は特筆すべきものがあるだろう。

今回のRTAの特徴は、「ヨースター島のコース2からそのままエンディングに向かう」というプレイだ。ゲームを開始したSethBling氏はコース2へ突入。初期位置の近くにある赤甲羅を抱えた後、おなじみの場所にあるヨッシーといるはずのないヨッシー2体を呼び出し、彼らを放置して画面の右へ。赤甲羅を上に打ち上げ、違う赤甲羅を右へと飛ばしさきほどのヨッシーのもとへ。ヨッシーに乗り右側にある赤甲羅を食べて炎を吐き、次に緑色の甲羅を口に含む。その緑甲羅を炎に当て、コインになったところをヨッシーでそのコインを食べつつスピンジャンプを繰り出しコインと重なると、まさかのエンディングへ。わずか54秒でゲームをクリアした。

SethBling氏が使用したのは「クレジットワープ」と呼ばれるテクニックだ。「クレジットワープ」はかいつまんで説明すると、スプライトスロットの仕組みを利用してメモリの値を操作し特定のコードを呼び出すというもの。ヨッシーと赤甲羅、コインとそのほかのオブジェクトを利用して強引にエンディングを“引っ張り出す”というやり方だ。「クレジットワープ」自体は正式なテクニックであるが、SethBling氏の記録が公認されないのは理由がある。氏はこうした一連の操作をスムーズにおこなうために、あらかじめゲームのロムをいじりメモリの値を設定しロードしてワープしやすい状況を作っているのだ。映像のエンディングにてSethBling氏の名前が出て来るのも、そうしたことが背景にある。『スーパーマリオワールド』のゲームデザインにも手を加えていないものの、正規のロムでプレイしていないがゆえに、記録として認められていない。

一方SethBling氏はというと、世界記録はどこ吹く風、自らを「『スーパーマリオワールド』の破壊者」と名乗っている。手順は正規ではないとはいえ、氏が気の遠くなるような「クレジットワープ」のコマンドを成功させているのは事実であり、スピードランとはまた異なるエンターテイメントと見るユーザーもいる。そもそもSethBling氏は生粋のスピードランナーとは異なり、スピードランだけでなくゲームデータやコントローラーの改造など、多彩な活動をしている。SethBling氏にとってはあくまでこうしたプレイもパフォーマンスの一環なのかもしれない。

ちなみに『スーパーマリオワールド』の正式なany%(ステージをクリアしていないので0 exitとも呼ぶ)の世界記録はfurious氏の保持する1分13秒となっている。こちらは今年の2月にタイムが出てから一度も破られていない。氏のクリアの流れも基本的にはSethBling氏と同じ「クレジットワープ」を用いるものだ。そのほかの上位3名のプレイヤーの更新は1年以上止まっており、『スーパーマリオワールド』の世界記録はほぼ膠着状態にある。4位であるSeathorne氏が最近急激に力を伸ばしてきており、公式記録の動きにも期待がかかる。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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