PS4/Xbox One/スイッチ/モバイルでPCゲームが遊べるようになるアプリRainway、ベータは11月へ延期。期待背負うも雲行き怪しく

 

アプリRainwayの公式Twitterアカウントは、同アプリのベータテストを11月25日にリリースすると発表した。ベータテストではXbox One/iOS/Android/Webブラウザの対応を予定しているという。

RainwayはPCゲームが、さまざまなデバイスでプレイできるようになるというアプリだ。ストリーミングを採用し、遅延の生まれにくい独自技術を使い、場所と方法を問わずPCゲームが遊べる体験を目指すという。快適に遊ぶためには5GHz帯域に対応したWi-Fi環境と、DirectX 11に対応したGPUを搭載するPCを用意する必要があるが、無料で利用できることが公言されている。公式ホームページでは、『DOOM』や『Hollow Knight』『ASTRONEER』といったタイトルの映像が確認でき、アクションゲームにも対応することが示唆されている。また前述のプラットフォームのほかにも、PlayStation 4とNintendo Switchの対応を目指しており、PCゲームを幅広い形態で遊びたいユーザーにとっては、まさに夢の詰まったアプリである。しかし、その実現性について、雲行きが怪しくなりつつある。

曖昧さにあふれた過剰なコミュニケーション

まず、日程のあやふやさについて言及しなければいけないだろう。Rainwayは4月時点では5月初旬にベータテストをおこなうと公言していた。5月4時点で「延期する」と発表され、5月19日に「近いうちに新たな日程を発表する」と述べ、最終的に6月14日に、半年近く先である「11月25日」という日にベータテストがおこなわれると明かされた。なぜそれほど時間がかかるという具体的な説明もされていない。11月25日からベータテストが開始されると考えると、アプリの正式リリースは翌年と考えるのが自然だ。技術力のともなう決して小さくないプロジェクトであることが予想されるが、延期と先送りを繰り返すアナウンスからは、アプリの実現性への疑問を感じざるを得ない。

終わらないComing soon

またRainwayの公式Twitterは、当初からNintendo Switchを対応プラットフォームにあげていたが、5月以降突如トーンダウンを始め、ユーザーから質問された際には「Nintendo Switchの対応に関するアナウンスはない」と述べ続ける。一方で、公式は幾度も「任天堂からいいニュースが届いた、近日中に報告する」といった投稿をしており、ユーザーの関心を引こうとする一面もある。ちなみに、こうした投稿があったのちに、「ニュース」が報告されたこともない。

加えて、2017年のE3の任天堂のカンファレンスが実施される時間と同じ6月14日1時(日本時間)にわざわざビッグニュースがあると予告し、今ルイージが踊るgifアニメとともにベータテストの日程を告知するなどNintendo Switchユーザーの気を引こうとする行動が目立つ。しかし、Nintendo Switchへの対応については、何一つ進展はない。「Nintendo Switchのeショップについては、近いうちに報告できる」などすべての報告はあいまいなままだ。そもそもRainwayはアプリであり、現在Nintendo Switch向けには非ゲームのアプリが配信されていないという点、任天堂がこうしたアプリを承認するか不透明である点でも実現性が疑われる。

ほかにも、具体的なアップデートがないにも関わらずRainwayの公式Twitterアカウントは、「どのゲームでRainwayを遊びたい?」といったアンケートをとったり、E3で話題になった『The Last Night』をRainwayで遊べたら素敵だねと投稿したりと、ユーザーたちの気を引くようなツイートを続けている。だが結論からいうと、発表時から同アプリを取り巻く状況は変わっていない。ベータテストはおこなわれておらず、Nintendo Switchへの対応も確定していない。リリース時期も未定のままだ。こうした進展のない状況からか、Twitterのリプライ欄も日に日に批判が増えつつある。こうした行動は、氏が天真爛漫なだけか、意図的なプロモーションであるかはわからないが、期待するユーザーこそ好感よりも反感を抱くだろう。

開発者であるAndrew Sampson氏は、SteamにてBorderless Gamingというアプリをリリースしており、ユーザーから支持を受けている。そうした実績は否定されることはないが、少なくとも氏は、数々の言動と進展がないことによってRainwayが懐疑的な目に晒されていることを、認識しなければいけないだろう。