『Portal 2』や『Team Fortress 2』のシナリオを手がけたJay Pinkerton氏が、自身のFacebookにてValveを退社したことを明かしている。Pinkerton氏はValveに入社する前はPlayStation WorldやCracked magazineといった雑誌の編集者として活躍し、面白おかしいテキストを書くことに定評があった。
ここ最近、Valveの黄金期を支えるシナリオライターが退社をする事例が増えている。同じく『Portal 2』のシナリオを担当したErik Wolpaw氏は2月に退社、そして同様に『Portal 2』のシナリオを担当したChet Faliszek氏は4月にValveを離れている。Wolpaw氏は、自身が退社する際に「Pinkerton氏はまだValveにいるので、彼にメールを送るのはやめてくれ」と呼びかけていたが、4か月ほどで氏の後を追うこととなった。才能あるクリエイターが活躍の場を移すことはそう珍しくないが、同じ職種の人々が相次いで退社するという事例を見ると、Valve内部で何かが起きているのではないかと勘繰りたくもなるだろう。
Pinkerton's still at Valve! Stop sending him concerned emails!
— Erik Wolpaw (@Wolpaw) February 17, 2017
そう考えると、やはりValveが新作タイトルを出さないことがひとつの理由になっていると推測できる。Faliszek氏はVR事業に深く携わっていることを昨年のGDCで明かしており、Wolpaw氏は外部ライターとして『Psychonauts 2』に参加、Pinkerton氏はコミックなど関連作品で活躍を見せていたが、Valveの主要タイトルにライターとしてクレジットされているのは、3人とも2011年に発売された『Portal 2』が最後だ。また2016年2月には『Half-Life』シリーズのシナリオに深く携わったライターMarc Laidlaw氏が退社している。彼らが新たな活躍の場を求めたとも、Valveにとってはシナリオライターがもはや必要ないとも受け取れる。
『Portal 2』はユーモアにあふれたテキストが特徴的な作品であった。そういったテキストを生んだスタッフたちが、次々とValveからいなくなるのはユーザーにとっても残念なことだろう。こうした一連の退社は、ひとつの時代の終わりを感じさせる。