『Blasphemous』Kickstarterキャンペーン開始。堕落した宗教者が異形の獣になって彷徨うダークファンタジー2Dアクション
The Game Kitchenは5月24日、『Blasphemous』の開発資金を募るKickstarterキャンペーンを開始した。本作はダークファンタジーの世界観を緻密なドット絵で描く、2D横スクロール・アクションゲームだ。弊誌でも以前取り上げたが、より詳しい情報が公開されたのであらためて紹介しよう。
本作の舞台は「Orthodoxia」。迷信であふれるこの荒廃した土地では、民衆は宗教をなによりも大切にし、教会の数は実に人口の二倍にもなる。しかし徐々に腐敗が進み人々は礼拝をおろそかにするようになり、ついには教会を束ねる大司教の怒りを買ってしまう。それから数年経った頃、大聖堂にいた大司教に異変が起こる。青白くなり動かなくなった彼の身体は乾き切り、指先から枯れ枝が伸び始めたのだ。そして巨大な枯れ木へと変貌した大司教は突如燃え上がり、その火は90日と90夜燃え続けた。
ようやく火が鎮まった跡は大きな灰の山になっており、その頂上には大司教の黄金の玉座が燃え残っていた。残された教会の司教たちは、その玉座を手中に収めんと我先にと灰の山を登り始めるが山は崩れ、大聖堂の中を埋め尽くしてしまう。そして灰に飲み込まれた醜い者たちは、血に飢え凶暴的な異形のモンスターへと変貌していった。ただひとつ、神への信仰心だけを残したまま。
本作の主人公は「The Penitent One(懺悔する者)」と呼ばれている放浪者で、「The Silent Sorrow」という信徒団に属していたが、この信徒団はなんらかの理由で罰を受けて葬られた。彼は、そのただひとりの生き残りだ。彼が剣を片手に戦う相手はかつて人間だった者たちだが、いずれもおぞましい姿をしたモンスターだ。しかし、どこか宗教的な要素を残しているのは、いまなお残る神への信仰心の現れだろうか。そして、そういったモンスターを退けた後には、この呪われた土地を支配する巨大なボスが待っている。
前述したように本作は横スクロール・アクションゲームだが、ドット絵で描かれるキャラクターのアニメーションは非常に滑らかで、スピィーディーな斬撃アクションをより魅力的なものにしている。実際、この点にはこだわって開発しているそうで、バトルシステムやその操作性にも注力しているという。プレイヤーのコンバットスタイルは、ロザリオの珠やレリックなどの装備品によって変化する。
キャラクターもさることながら、背景の美しさも見逃せない。The Game Kitchenによると、ただOrthodoxiaの世界を描いているだけではなく、本作の物語や歴史を読み取ることができる要素を背景に散りばめているとのことだ。またグラフィック面ではゴア要素も本作の特徴だろう。大量の血が出たり首が飛ぶといった結果だけではなく、敵を倒す際などのアニメーションから無慈悲な表現が込められており、ダークファンタジーの世界観により深い闇を与えているように感じられる。
この『Blasphemous』はWindows/Mac/Linux向けに開発されており、Kickstarterキャンペーンが成功した場合は2019年第1四半期に発売予定。20ドル以上の出資で本作を入手できるが、プランによってはアルファ/ベータ版もその都度提供される。また、PlayStation 4/Vita/Xbox One/Nintendo Switch向けの移植が検討されており、のちにストレッチゴールに追加する予定だそうだ。
キャンペーンはまだ始まったばかりだが、本稿執筆時点で初期目標金額の5万ドル(約560万円)はすでに達成しており期待の高さがうかがえる。これに合わせてストレッチゴールが2つ公開され、6万ドルで「ボスラッシュモード」を、そして7万ドルを越えれば「ニューゲームプラス」を追加するとのこと。この勢いなら、これらの達成も時間の問題になりそうだ。