マイクロソフトが、アメリカにおける『Scalebound』の商標登録手続きの期間延長申請をおこなっていたことが明らかになった。USPTO(米国特許商標庁)は申請された各商標に関して、どのような手続きが申請者とUSPTOとの間でおこなわれているかを公表しており、それによると今月3日にマイクロソフト側から期間延長が申請され、同日のうちに認められている。
『Scalebound』は2014年のE3で発表され、プラチナゲームズがマイクロソフトとともにWindows 10/Xbox One向けに開発していたアクションRPGだ。国産の大型タイトルとして期待されていたが、発売が一度延期され、開発の難航が報じられたのちの今年1月に開発中止されてしまった(関連記事)。
今回おこなわれた商標登録手続きの延長申請は2回目で、1回目は昨年10月におこなわれている。USPTOは6か月ごとに最大5回までの延長を認めており、出願した商標は、この期間内に使用実態の証明を提出してはじめて商標登録される(登録された商標は10年間有効)。『Scalebound』に関しては使用目的を「game software」として申請されているため、開発中止されてしまった同作においては、遅くとも来年末までにゲームとして発売されないと商標登録することはできず、それを過ぎると出願は自動的にに放棄される。これは登録商標の更新手続きにおいても同じで、たとえば先日配信開始された『Phantom Dust』は、長らく使用していなかったため初代Xbox版時代に登録した商標は更新できずに一度失効し、Windows 10/Xbox One版のために新たに登録し直されている。
今回、『Scalebound』の開発中止後の延長申請が明らかになったことにより、一部ではなんらかの形で開発再開するのではないかという噂や期待が囁かれているようだ。しかし、Project Scorpioの仕様をいち早く報じるなどマイクロソフト関連の情報に詳しい海外メディアWindows CentralのJez Corden氏は、複数の関係者にあたった結果、現時点でそのような動きは存在しないと報じている。
ではなぜマイクロソフトは、開発中止にした同作の商標の保有を引き延ばす動きに出たのだろうか。たとえば2012年のE3でマイクロソフトが発表した、映画監督Gore Verbinski氏が手がけるXbox 360のKinect向けタイトル『Matter』も開発中止となったが、マイクロソフトはその商標について手続き延長することはなかったため、可能な限り延長しておくのが同社の常というわけではないようだ。しかしAAAタイトルの『Scalebound』においては、これまでに多額の投資をおこなってきているはずだ。開発中止したとはいえ一定のブランド力を持っており、他社にタダ乗りされることを防ぐためということが考えられる。あるいはその投資を少しでも回収すべく、いずれゲームに使う機会があった場合のために保留しているのかもしれない。いずれにせよ、前述したように来年末までに動きがなければこの商標は放棄される。
なお、『Scalebound』のIP(知的財産権)については、プラチナゲームズが生み出したアイデアをもとにしたタイトルではあるものの、マイクロソフトがプラチナゲームズに資金を拠出して開発していたことから、マイクロソフトが保有していると推測できるが、実際のところは定かではない。また、過去に別件でXbox事業責任者のPhil Spencer氏が言及していたように、商標の保有者とIPの保有者は必ずしも同一ではないことは留意しておきたい。