クラウドファンディングサイトKickstarterが年内の日本参入を発表。国内クリエイターも直接プロジェクトを立ち上げ可能に

 

クラウドファンディングサイトKickstarterは5月18日、年内にも日本に参入することを発表した。参入後は、日本から直接Kickstarterのクラウドファンディング・プロジェクトを立ち上げることができるようになる。Kickstarterは2009年にアメリカで設立され、ゲームやアート、音楽、映像など、あらゆるジャンルのクリエイターが実現させたい企画とその実現に必要な金額を提示し、支援者から制作資金を募るオンラインプラットフォームとして成長してきた。

弊誌でもゲームを紹介する際に、“Kickstarterキャンペーン中”などと記載する機会も多く、Kickstarterを含むクラウドファンディングはゲーム分野においても一般的になった。Kickstarterでの成功からリリースに至ったタイトルというと『Broken Age』や『Yooka-Laylee』、『Elite: Dangerous』など挙げ出すときりがなく、獲得資金が1億円を超えるプロジェクトも数多い。また、Oculus RiftやOuyaといったゲームハードウェアもKickstarterから誕生している。

Kickstarterは現在、欧米・アジア21か国に対応しているが、ここに日本が加わることになる。これによって、冒頭で述べたように日本のクリエイターが直接プロジェクトを立ち上げることができるようになる。これまでにも日本発のプロジェクトが無かったわけではなく、たとえばゲームでは稲船敬二氏の『Mighty No. 9』や、五十嵐孝司氏の『Bloodstained: Ritual of the Night』、鈴木裕氏の『シェンムー 3』などがあった。しかし、プロジェクトを立ち上げるにはKickstarterが対応している国に居住し、現地の銀行口座や身分証明書を持っている必要があるため、こういったプロジェクトは現地パートナーをともなわないと不可能だった。たとえば現在キャンペーン実施中の七音社/イニスジェイの『Project Rap Rabbit(仮題)』は、イギリスのPQubeがサポートしている。Kickstarterが日本に参入するということは、こういったハードルが取り払われるということだ。おそらくウェブサイトも、少なくともクリエイター向けの案内は日本語に対応するだろう。Kickstarterは、これまでは上に挙げたような著名ゲーム開発者が挑戦する場所といったイメージだったが、日本参入後は小規模なインディー開発者も気軽に利用できるようになるはずだ。

どうしてもゲーム関連に注目してしまうが、前述したようにKickstarterはありとあらゆるジャンルのクリエイターの企画を受け入れている。これまでに35万件以上のプロジェクトが立ち上げられ、成功率は約35パーセント(ゲーム分野に限ってもほぼ同じ)。出資者は累計約1300万人にのぼる。国内にもMakuakeやCAMPFIREなどのクラウドファンディングサイトがあるが、世界中にアピールしたい企画がある場合は、これからはKickstarterが大きな選択肢の一つとなるだろう。


国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。