『パラッパラッパー』『ギタルマン』開発者らが手がける『Project Rap Rabbit』Steam/PS4での発売を目指しKickstarterキャンペーン開始


イギリスのパブリッシャーPQubeは5月16日、『Project Rap Rabbit(仮題)』の開発資金を募るKickstarterキャンペーンを開始したと発表した。本作は『パラッパラッパー』などを手がけた七音社の松浦雅也氏と、『ギタルマン』などを手がけたイニスジェイの矢野慶一氏がタッグを組んで開発するストーリーをベースにしたリズムアクション・アドベンチャーゲームで、PQubeは本作のパブリッシャーを務める(関連記事)。

本作の舞台は16世紀の日本。動物の姿をした人々が暮らし、史実と未来的なハイテクが融合した一風変わった世界観になっている。そこでは民族の多様化が進むにしたがって、それぞれが敵対的になり孤立していた。そんな中、地球規模の大災害が起こり、生き残った人々は復興に取り組むことになる。本作の主人公である農民ウサギの息子Toto-Maruは、ラップをすることで特別な力を発揮することができた。彼は相棒のカエルOtama-Maruとともに、真実や正義、自由のために旅をし、この国でもっとも強大な権力を握る大君主に立ち向かう。

ゲームシステムのベースは、タイミングに合わせてボタンを押す従来の音楽ゲームのようなシステムを踏襲し、そのうえで新たにラップバトルを導入。それには『Mass Effect』や『Fallout 4』といった近年のRPGから影響を受けて、さまざまな感情・言葉をリアルタイムに選択してラップに織り込むユニークなシステムを導入しているという。

ラップバトルではまず相手の挑発してくるようなラップを聴き、その歌詞の中から反撃する際の口実に使いたいキーワードを選択する。そして次に、どのようなスタイル・感情をもって反撃のラップをするかを選択。例では「説得」「笑う」「冗談」「自慢」の4種類が挙げられている。そして最後に流れるリズムと歌詞に合わせてタイミング良くボタンを押してラップをおこなう。その歌詞やリズムは、事前に選択したスタイル・感情によって変化する。Toto-Maruと対戦相手にはそれぞれSwagゲージという、いわば気力のバロメーターを表すゲージがあり、これをラップで削り合うことになる。このゲージ残量によって効果的なスタイルが異なり、たとえば相手のSwagゲージが多い時は「説得」が有効で、逆に少ない時は「笑う」ことで相手によりダメージを与えられるという具合だ。

このように本作は戦国時代の日本と、ラップやヒップホップが混じり合い、そして動物のキャラクターが登場するユニークな世界観を持っている。その制作過程では「鳥獣人物戯画」や「洛中洛外図」、山口晃氏や池田学氏のアート作品、また「千と千尋の神隠し」や「鉄コン筋クリート」「カンフー・パンダ」といった映画作品などから影響を受けたという。本作で使用する音楽については松浦氏も作曲に携わるそうで、日本と欧米のスタイルを融合した新しいサウンドを模索しているとのことだ。また、開発にはUnreal Engine 4が使用されている。

本作はSteamとPlayStation 4向けに2018年8月の発売を目指しており、Kickstarterキャンペーンの初期目標金額は85万5000ポンド(約1億2500万円)。キャンペーンが成功した場合、30ポンド(約4400円)以上出資していれば本作を入手できる予定だ。また、ストレッチゴールもいくつか用意されており、310万ドル(約3億5000万円)に達すればXbox One版が、そして495万ドル(約5億6000万円)ではNintendo Switch版も開発される。

初期目標を含めいずれも非常に高額な設定だが、革新的なゲームシステムと複数の楽曲を目標とするクオリティで開発するためにはそれだけ必要であるとしている。また、これまでに複数のパブリッシャーに相談をしたそうだが、どこもリズムアクションゲームに対しては出資してくれなかったという。このKickstarterキャンペーンは、こういったジャンルにもまだ需要と明るい未来があることを業界に示すチャンスだと呼びかけている。「音ゲーをふたたび偉大にしよう!」と結集した日本の音楽ゲームの第一人者たちの挑戦がどう評価されるのか注目したい。