Remedy Entertainment(以下、Remedy)は4月11日、2016年度の業績を公式サイト上で発表し、その中で現在取り組んでいるプロジェクトについて簡単に説明した。同社はかねてより二本の新作を開発中であることを明らかにしていたが、その内の一つは韓国のSmilegateと共同開発しているオンラインFPS『CrossFire 2』だ。Remedyは同作のストーリーモードの開発を担当している。
そしてもう一本の方は、これまで完全新規タイトルとだけ伝えられていたが、『P7』というコードネームで呼ばれていることが今回明らかにされた。Remedyは同作を幅広いプラットフォームに展開する方針で、そのために同社の内製ゲームエンジン「Northlight」をPlayStation 4に対応させるべく取り組んでいるという。『P7』については、その内容を含めほぼすべてが謎に包まれているが、マルチプラットフォーム展開になることと、少なくともPlayStation 4がそれに含まれていることを認めた形だ。実現すれば、同社にとって2003年の『Max Payne 2』以来のPlayStation向けタイトルとなる。
Northlightは、昨年PC/Xbox One向けに発売された『Quantum Break』で初めて使用された。その特徴はリアルなビジュアルを描き出すこと、顔の表情を含む俳優のパフォーマンスキャプチャのサポート、リアルタイムに巻き戻し可能な大規模破壊表現、エフェクトやアニメーションとの同期をサポートするオーディオ機能、そしてハリウッドでの使用にも耐えられるタイムラインエディターなどが挙げられる。いずれも『Quantum Break』を実現するためには必要不可欠だった機能だが、Remedyは同作の発売後もこのゲームエンジンの開発を続けており、『P7』ではまた新たな表現が見られるかもしれない。
RemedyはNorthlightを「ストーリーテリング・エンジン」と呼んでいる。同社は『Max Payne』以降ストーリー重視の姿勢を貫いてきたため、その表現を高める技術的な役目を担っているというわけだ。また同社はこれまでシングルプレイゲームを中心に手がけてきたが、今後は協力マルチプレイを導入すると昨年宣言している(関連記事)。マルチプレイは一見ストーリー重視と相反するようだが、同社はプレイヤー間で共有されるストーリー体験に挑戦するとしている。これが『P7』から導入されるかどうかは不明だが、同作においてもRemedyならではの定評あるストーリー表現が盛り込まれることだけは確かだろう。
なお、同社の昨年度の業績は『Quantum Break』の成功により、2015年度比で19.4パーセントの収益増を記録している。同作はRemedyが拠点を置くフィンランドにおいて、もっとも成功したエンターテイメント作品となったそうだ。