『Goat Simulator』や『Sanctum』シリーズを手がけるCoffee Stain Studios(以下、Coffee Stain)は、新興スタジオLavapotionへ投資するとプレスリリースを通じて発表した。
Lavapotionは2017年にスウェーデン・ヨーテボリに設立されたスタジオで、今後ベテラン開発者によってストラテジーゲームが作られるという。具体的な額は示されていないが、ゲームを開発するための資金が提供されるようだ。
Coffee Stainはこれまでにも、当時学生グループで構成されていたGone North Gamesを支援し『A Story About My Uncle』をリリース、今年2月には“よりデベロッパーに寄り添う”というパブリッシング事業を設立するなど、インディーゲーム開発者への投資に熱心だった。Coffee Stainは「ヤギシミュ」の愛称で知られる『Goat Simulator』をヒットさせた後、複数のDLCなどをリリースするも、長らく新作の発表はしていなかった。開発における沈黙は、プロデュースやファンディングに力を入れる動きと関係しているのかもしれない。
こうしたインディーゲームへの投資の動きを見せているのは『Coffee Stain』だけではない。先日には『No Man’s Sky』をヒットさせたHallo Gamesも自動生成をはじめとした意欲的なシステムを導入するインディーゲームを支援する「Hallo Lab」を設立していた。『Stardew Valley』や『Starbound』を世に送り出したChucklefish Gamesがファンディングに熱心なのも一部では有名な話だ。
ややケースは異なるが、インディーゲーム業界には2010年ごろからRon Carmel氏(『World of Goo』)をはじめ、Jonathan Blow氏(『Braid』)やKellee Santiago氏(『風ノ旅ビト』)など複数の開発者によって、インディー開発者を支援する組織Indie Fundが存在していた。
こうした組織に加えて、近年ではインディーゲームをヒットさせたクリエイターが、インディーゲームを支援するという動きが業界で目立っている。Coffee Stainはパブリッシング事業を設立する際に「パブリッシングをする際には僕ら自身が契約したいと思える条件を心がけたい」と語っており、インディーゲームを作り続けてきた人々だからこそ、理解できる苦しみや喜びがあるのだろう。
もちろん、投資や支援は完全なボランティアではなく、育成やパートナー契約など、さまざまなビジネスとして意図があっておこなわれているのだろう。しかし、クリエイターが新たな挑戦がしやすい環境が生まれて始めているのは、ゲーマーにとって喜ばしいことでもある。このような動きは、海外のインディーゲーム業界が次の世代を生み出すサイクルを意識している証拠なのかもしれない。