『BioShock』シリーズの開発元として知られるIrrational Gamesは23日、社名をGhost Story Gamesへ変更したことを明らかにした。公式サイトをリニューアルすると共に、心機一転した活動方針や新作タイトルの開発へ向けた豊富を語っている。現在スタジオは、Irrational Gamesの元メンバーをはじめとする25人の従業員で構成されており、クリエイティブディレクターのKen Levine氏が引き続き代表者を務めている。これまでよりもストーリーに重点を置きながら、『BioShock』ファンに訴求できるようなゲーム体験を目指していく方針だ。なお、FAQの回答によると、Ghost Storyという名前の由来は、あたかも実体験に基いているかのように世間に浸透する幽霊話が、同社のデザイン哲学に似ているからだという。
The studio formerly known as Irrational Games is now called “Ghost Story”. Come learn what that means for our fans!https://t.co/lyimVt22hc
— Ghost Story (@GhostStoryGames) February 23, 2017
Ghost Storyにいたる20年の道のり
Irrational Gamesは元々、1997年にLooking Glass Studiosの元メンバーKen Levine氏、Jonathan Chey氏、Robert Fermier氏ら3名によって米マサチューセッツ州ボストンに設立された。これまでFPSタイトルを中心に手がけており、デビュー作は古巣との共同開発で1999年にElectronic Artsから発売された『System Shock 2』。翌年には創設メンバーのChey氏が、オーストラリアの首都キャンベラに新スタジオIrrational Games Australiaを設立した。その後、2006年にTake-Two Interactiveが両スタジオを買収し、2K Games傘下に組み込まれたことで、翌年8月にそれぞれ2K Bostonと2K Australiaへと改名された過去がある。
同社の代表作『BioShock』が世に放たれたのはちょうどこの頃。改名直後にリリースされた同作は世界中で大ヒットを記録した。2010年には社名をIrrational Gamesに戻し、『BioShock Infinite』へ着手。2013年に発売された同作で再び脚光を浴びた。しかし、2014年2月に代表のLevine氏が事実上のスタジオ閉鎖を発表。ほとんどの従業員をレイオフすると同時に、15名のメンバーを引き連れてストーリー重視の小規模プロジェクトに集中する方針を明らかにした。後にLevine氏は海外メディアによるインタビューで、『BioShock Infinite』開発によるストレスが自身の体調や人間関係に深刻な影響を与えていたことを告白している。
Levine氏が新スタジオで再び独立する道を選ぶことでIrrational Gamesは一時解散かと思われたが、Take-Two Interactiveは同氏を手放さなかった。同社のブランドで活動を続けられるよう計らうと共に、職を失うすべてのスタッフが傘下の別スタジオに再就職できるよう支援窓口を設置。Irrational Gamesは存続することとなった。実はこの頃から同スタジオの名称が変更されることは示唆されていた。2014年から2015年にかけて新作開発に向けたスタッフを募集。同時にLevine氏はSFジャンルのFPSタイトルに着手していることを、自身のTwitterアカウントをとおして明かしていた。今回、いよいよ社名を変更して本格的に再始動したことで、近いうちにも新プロジェクトの詳細が発表されることを期待したい。