Steamを運営するValveの共同設立者であるGabe Newell氏(以下、ゲイブ氏)はModの有料化を諦めていないようだ。Valveは2015年に『The Elder Scrolls V: Skyrim』(以下、Skyrim)のコミュニティ内でModの有料販売を試みた。「すばらしい仕事をしている制作者への支援が必要」という理念からModの有料販売が開始されたが、すでに多くの無料Modが投稿されており成熟していた『Skyrim』コミュニティから強い反発があったほか、署名活動もおこなわれるなど反対の声は大きく、すぐさまModの有料販売は中止になった。
あれから約2年が経過し、ValveはPC GamerやVenture Beatなど複数の海外メディアを対象とした合同インタビューのなかで、ゲイブ氏はあらためてModを有料化することを諦めていないと発言している。
[perfectpullquote align=”full” cite=”” link=”” color=”” class=”” size=””]創造的なものを生み出しているMod制作者は、正当な対価を受け取るべきだ。価値あるものを生み出しているのに、報酬が得られない仕組みはバグ(bug)だろう。ただ、『Skyrim』コミュニティを最初の場所に選んだのは愚かだった。(ビジネスマネージャーの)Erik Johnsonはすぐに事態を収拾するためにやめるべきだと言った。しかし、ゲームコミュニティにおいて、価値を生み出している人々に対価を与えることが重要であるというのが基本的な理念だ。我々は、ユーザーがModを納得して購入し、Mod制作者が報われるというシステムを作る必要がある。[/perfectpullquote]
ゲイブ氏は前回のMod有料販売についての手順に誤りがあったことを認めつつも、Mod制作者へのサポートをする姿勢をさらに強めている。一方で、Valveがプラットフォーマーとして「ユーザーが制作したModで利益を得ようとしているのではないか」という批判も依然として存在している。そもそも2015年に『Skyrim』のMod制作者が作品を販売した際には、利益の配分の割合が、30%がValveに、45%がBethesdaに入り、残りの25%のみがMod制作者に入る仕組みであることが議論の焦点のひとつだった。Mod制作者を支援するという名目のはずが、1/4程度の金額しか報酬として受け取れないのは搾取であるとも指摘されている。
Modとともに成長してきたValveだからこそMod制作者をサポートしたいという背景があることが推察できるものの、Valveが企業である以上はビジネスを切り離すことが困難であり、利益を追求するという面で批難を受けることは避けられない。「ユーザーが納得してModを購入できるシステムを作る」というコメントはゲイブ氏がそういった問題を理解してのことだろう。SteamにてModが有料販売される日はふたたびくるのだろうか。