もしも「Pip-Boy」がタブレットだったら――『Fallout 4』のハイクオリティなMod「Pip-Pad」の配信が開始

『Fallout』シリーズにおいて、プレイヤーキャラクターや世界の情報を見るための重要なツールであり、特別限定版の特典アイテムになるほど魅力的なガジェットでもある「Pip-Boy」。戦前に存在したロブコ社が開発したこの携帯機器が、もし現代のようなタブレット式だったら……そんなModの配信がPC版『Fallout 4』向けに先週よりスタートしている。

『Fallout』シリーズにおいて、プレイヤーキャラクターや世界の情報を見るための重要なツールであり、特別限定版の特典アイテムになるほど魅力的なガジェットでもある「Pip-Boy」。戦前に存在したロブコ社が開発したこの携帯機器が、もし現代のようなタブレット式だったら……そんなModの配信がPC版『Fallout 4』向けに先週よりスタートしている。

Mod製作チーム「PimpCrew」によって開発された「Pip-Pad」は、左肩がこってしまいそうなほど重い「Pip-Boy」を、軽量のタブレットへと変更するModだ。オープニングシーンではやや不自然にめり込んだりしているようだが、通常時には自然に使用できている様子が確認できる。

なおこのModは現在ベータ段階となっており、PimpCrewはVault 111を出る前にインストールはしないようにと注意している。「Pip-Pad」はNexus Modsから導入可能だ。

Pip-Pad(画像出展: Fallout Wiki

実はこの「Pip-Pad」、PimpCrewが独自の発想で生みだしたものではなく、さりとてBethesda Game Studiosが考えた設定でもない、“幻の公式設定”とでもいうべき奇妙な存在である。この「Pip-Pad」の出自は、Interplay Entertainmentがかつて開発していた「Fallout Online」にある。「Pip-Pad」は、この「Fallout Online」をフォローしたユーザーに配信されるニュースレターメールの第3号に登場したデバイスだったのだ。

ところが「Fallout Online」を開発していたInterplayは、開発・販売の権利を所有していたBethesda Softworksより開発停止を求めて訴訟され、長きにわたる裁判に発展する(Interplayはもともと「Fallout」シリーズを販売していたが、後にBethesdaに権利を譲渡。MMO「Fallout」の制作権利を受けInterplayは開発を進めていたが、裁判では契約通りに開発が進められなかったとしてBethesdaがライセンス契約の終了と開発の停止を求めていた)。最終的に2012年にBetehsdaが「Fallout」の全権利を確保したことにより、「Fallout Online」プロジェクトは消滅。同年、Interplayはコードネームを利用した「Project V13」プロジェクトを再始動したが、現時点で音沙汰はまったくない。

というわけで数奇な運命をたどり、Modという形でこの世によみがえった「Pip-Pad」。タブレット派のプレイヤーも、当時「Fallout Online」を楽しみにしていたというユーザーも、ぜひチェックしてみよう。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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