『GTA』シリーズを15年支えた元プロデューサーが新スタジオを設立、Rockstar Northの立役者だった人物


Rockstar Northの発足に携わり、その後15年間にわたり『Grand Theft Auto』シリーズのプロデューサーを務めたベテランクリエイターLeslie Benzies氏が、スコットランドに新たなゲーム開発会社を設立していたことが明らかになった。同氏は昨年はじめにRockstar Northを退社していたことが報じられた後、事実上の不当解雇や未払いの報酬を理由に同年4月、親会社のRockstar GamesおよびTake Two Interactiveを提訴していた。長年支え続けた古巣と真っ向から対立することとなった法廷闘争は、いまだに決着していない。

 

世界的な人気作を手がけてきたベテラン

スコットランドの地元紙The Scotsmanによると、英国の法人データ検索サービスCompanies Houseの記録から、「Royal Circus Games Limited」や「Starship Group」「Everywhere Game Limited」など、Benzies氏名義の法人登録が複数確認されている。その内、Royal Circus Gamesは家庭用ゲーム機やPC、携帯デバイス向けのゲーム開発を主な目的として、知的財産庁へ申請済みだという。また、同社名義で「Time for a New World」というタイトルが、略称のハッシュタグ“#TFANW”と共に商標登録されている。同社が手がける最初のプロジェクトとなる可能性も考えられる。このほか、同様に法人登録されている「VR-Chitect Limited」は、米国特許商標局の記録からバーチャルリアリティに特化したデバイスやソフトウェアの開発を目指していることが判明している。

Leslie Benzies氏 Image Credit: GTA Rockstar Fan
Leslie Benzies氏
Image Credit: GTA Rockstar Fan

Leslie Benzies氏は、Rockstar Northが旧社名であるDMA Designの頃からゲームプログラマーとして活躍してきたベテランクリエイターだ。その後、2001年の『Grand Theft Auto III』にはじまり、『Grand Theft Auto V』を含む歴代シリーズでプロデューサーを務めているほか、『Manhunt 2』『Red Dead Redemption』『L.A. Noire』など、著名タイトルの開発に数多く携わった。また、「DICE Awards 2014」では、Rockstar Gamesの創設者Dan Houser氏とSam Houser氏に並んで、AIAS(Academy of Interactive Arts and Sciences)における賞の一つ「Hall of Fame」の栄冠に輝いたこともある。

昨年1月、その1年以上も前から退職がささやかれていたBenzies氏の行方について、Rockstar Northが海外メディアの問い合わせに回答。2014年9月1日から長期休暇に入っていたが、現場に復帰することなく同スタジオを退社していたことが明らかになった。その際Rockstar Northは、「Leslieは常に我々の友であり続けるでしょうし、彼がいなくなって寂しくなることは間違いありません。彼の前途に多幸を祈ります」とコメント。一時は円満退社のようにも思えたが、Benzies氏は同年4月に親会社のRockstar GamesおよびTake Two Interactiveを、1億5000万ドルの未払い報酬を求めて提訴した。また、『Grand Theft Auto V』が発売された後に長期休暇を半ば強要され、フランチャイズから恣意的に遠ざけられたと主張していた。結果、ロイヤルティーの未払いへ繋がったとみられる。