『Magic: The Gathering』のWizardsがデジタルゲーム部門を強化。新スタジオを設立し、MMOやARなどにも取り組む
トレーディングカードゲーム『Magic: The Gathering』などを手がけるWizards of the Coast(以下、Wizards)の社長Chris Cocks氏は1月12日、「Making Moves(行動を起こす)」と題した声明を公式サイトに投稿した。
Cocks氏はマイクロソフトなどを経て昨年6月にWizardsの社長に就任した人物で、それ以来同社製品の体験や将来について従業員やパートナー、またファンから意見を聞いてきたという。そしてユーザーにより優れた体験を届けるために行動を起こすとし、その中でももっとも大きな施策として、同社のデジタルゲームチームの見直しをおこなうとともにさらなる投資をおこなうと宣言した。これによって、同社のゲームが持つ大きな可能性を花開かせるために必要な能力と柔軟性を与えるとしている。
具体的な行動としてCocks氏がまず挙げたのは、『Magic: The Gathering』およびそのほかのWizardsのゲームのデジタルゲーム版をいま一度見つめ直すということだ。25年以上の業界キャリアを持つJeffrey Steefel氏を筆頭に、同社のゲームデザイナーや、ValveやActivision、BioWareなどから集めた才能ある人材を擁する「Digital Games Studio」を新たに社内に設立した。同社が現在運営中の『Magic Online』のチームもこのスタジオに統合されている(Steam/Xbox One/iOSで展開中の『Magic Duels』については具体的な言及はない)。現在は同社のゲームの将来について、プレイヤーがなにを求めているのかを探っているという。
その次に挙げたのは、Wizardsのゲームのキャラクターや世界観を別のゲームなどにも登場させていくプランだ。Cocks氏はその例として、PlaneswalkerとしてMMOゲームをプレイしたり、『Dungeons & Dragons』のAR(拡張現実)ゲームで友達と宝探しができるとすればどうだろうかと問いかける。このような世界観もジャンルも異なるゲームとのコラボレーションを実現させるため、25年にわたってEAやTHQなどでさまざまなゲームを手がけ、マイクロソフトではHoloLensの開発にも携わった経験を持つベテランDavid Schwartz氏を招聘している。
そして最後に挙げたのは、Wizardsのゲーム体験をより効率よく、より一貫した、より扱いやすいものにする方針だ。大きなトーナメントへの参加から、夜に一緒に遊ぶためのフレンドを見つけることまで、優れたゲーム体験をもたらすための要素はゲームそのものの外側に数多く存在するという。プレイヤーに密接した、つながりのあるゲーム体験を提供するため、長年Wizardsに務めるArron Goolsbey氏を技術刷新チームのリーダーに指名し、店舗とオンラインの相互作用を高めることに注力させる。
Wizardsは現在開発者の求人をおこなっており、それによると新たに手がけるゲームの開発にはUnityを使用し、クラウドを利用したゲームになるようだ。また新作ゲームだけではなく、『Magic Online』もDigital Games Studioのもとでテコ入れがおこなわれるのだろう。なお、これまでデジタルゲーム部門を率いていたWorth Wollpert氏は、今回の発表がおこなわれた1月12日にWizardsを退社している。新社長の改革からどのようなゲームが生まれるのか、続報を待ちたい。