先日、Steamにて、2016年のベストセラータイトルが表彰された。100本ものタイトルが、収益額に応じて「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」といったカテゴリーに分類されている。Steamストアには全世界売り上げ上位チャートが常設されているが、1年を通じた売り上げのランキングが公開されるのは稀有な機会だと言えよう。
この発表にあわせてSteam Spyの管理人であるSergey Galyonkin氏が、独自調査による2016年のSteamに関するさまざまなデータを公開した。Steam SpyはAPIを通じてSteamの情報を収集している非公式データベースサイト。Galyonkin氏はあくまでSteam側の発表が正しく、自身のデータは100%正確ではないとしながらも、興味深い情報を提示している。
たとえば、Steamのトップセラーとしてはおなじみのタイトルである『Grand Theft Auto V』。同作を遊ぶプレイヤーにはロシア人と中国人が多いのだという。また中国人に限らず、アジア圏はSteamマーケットの拡大が著しいこと、シングルプレイのゲームよりオンラインで遊ぶゲームが好まれていることなどが明かされている。
またGalyonkin氏はインディー市場の傾向についても考察している。少し前までは『ARK』や『H1Z1』を代表とする「サバイバルクラフト」と呼ばれるジャンルが一世を風靡したが、そうしたタイプのインディーゲームのヒットタイトルは2016年には生まれていないと指摘。『The Culling』や『ASTRONEER』は成功したといえるタイトルであるものの、インディーゲームを作るならサバイバルクラフトという時代は終わりつつあるのかもしれない。一方で、2016年に盛り上がったのはストラテジー・シミュレーションゲームだと氏は語る。確かに、『Rim World』や『Factorio』のようなインディータイトルに加えて『Stellaris』『XCOM 2』のようなメガタイトルもヒットを飛ばしており、2016年のトレンドの名にふさわしいジャンルだったと言えよう。
こうしたデータの対象となっているゲームは、あくまでSteamで販売されているPC版のものであることを留意してほしい。
ゲームタイトルの売り上げについても収益額をベースにしたランキングが公開されている。『DARK SOULS III』が数々のヒットタイトルを上回り4位にランクインしたり、2016年に限定すれば『No Man’s Sky』が『Fallout 4』以上の収益を得ているのがわかる。手頃な価格設定に後押しされたのか、たったひとりのクリエイターによって作られた『Stardew Valley』が、売り上げ本数で『X-COM 2』や『The Division』などほかのビッグタイトルを圧倒しているのも興味深い。月ごとのランキングも公開されており、国産タイトルとしては2月には『ストリートファイターV』が、5月のランキングには『FINAL FANTASY X/X-2 HD』が顔を見せている。
ただ、Steam Spyはあくまでゲームの所有者数を算出することを得意としている。それゆえに無料配布でゲームを入手したユーザーを所有者としてカウントし、バンドルによる入手なども加味されておらず、DLCの売り上げを収益額として含んでいないといった落とし穴がいくつかある。くわえて、収益額をどう算出しているかも不明瞭で、Galyonkin氏自身が語るように「参考程度」に考えておいたほうがよさそうだ。
とはいえ、Steam側が発表したリストとSteam Spyのデータがほぼ一致しているのは興味深い。Steam SpyがSteamの発表を見て数字を調節した可能性も否めないが、2017年もSteam SpyはSteam市場を観測するうえでは無視できないデータベースサイトになりそうだ。
