Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は4日、チーム対戦型FPS『Overwatch』(オーバーウォッチ)で多くのプレイヤーから強力過ぎると不満が寄せられていた「ロードホッグ」の「チェイン・フック」を近日中に弱体化することを明らかにした。フックが有効なターゲットとの角度に上限が設けられることに加えて、当たり判定に使われる位置情報に大幅な変更が施される予定だ。これにより、フックで引き寄せたターゲットを無理やり崖の下に突き落としたり、壁の向こうに隠れて見えない敵に命中させたりと、「ロードホッグ」の視線を無視した強引なプレイができなくなる。
当たり判定に3つの修正点
『Overwatch』は、6人ずつのチームに分かれて計12人でオンライン対戦が楽しめる一人称視点のMOBA系アクション・シューティング。BlizzardがWindows/PlayStation 4/Xbox One向けにリリースした十数年ぶりの完全新規タイトルである。未来の地球を舞台に、多種多様な武器や装備、特殊能力を操るヒーローが登場するのが特徴で、キャラクターによって得意分野や役割分担が大きく異なる。昨年の発売からわずか2週間でプレイヤー人口が1000万人を突破する人気を誇り、12月に開催された「The Game Awards 2016」では、マルチプレイヤー専用タイトルとしては初となる「Game of the Year」に輝いた。
「ロードホッグ」の「チェイン・フック」は、命中した敵を近距離に引き寄せるという固有アビリティの一つ。射程距離が短く装弾数も少ない「ロードホッグ」のショットガンを上手く活用する上で必要不可欠な能力だが、その挙動があまりにも理不尽過ぎると以前から多くのプレイヤーから弱体化を望むフィードバックが寄せられていた。昨年8月にも、捕まったターゲットが壁などの遮蔽物の影響を受けて予想外の場所でリリースされる現象を防ぐ処置として、「チェイン・フック」の挙動に修正が施されたことがある。しかし、その後も壁やペイロードを貫通して引き寄せられる事例が相次いで報告され、物理法則を無視する挙動への不満が絶えることはなかった。
これを受けて『Overwatch』のゲームデザイナーGeoff Goodman氏は公式フォーラムにて、「チェイン・フック」の挙動を大幅に修正する”Hook 2.0″パッチを、近日中に配信することを明らかにした。まず、フックに捕まったターゲットは「ロードホッグ」に向かって直線上に引っ張られるのではなく、真正面の位置に移動させられる仕様に変更するとのこと。また、「ロードホッグ」の向きから外れてもフックが有効な角度には上限が設けられる。これにより、フックを命中させた後に回れ右してターゲットを崖の下に突き落とすといった行為ができなくなるというわけだ。
次に、「チェイン・フック」がターゲットに命中したかどうかの判定には、現状のようにフック自体の位置ではなく「ロードホッグ」の位置情報が使われるようになる。つまり、「ロードホッグ」が視認できないターゲットを無理やり引き寄せることは不可能ということだ。Blizzardは以前、業界メディアKotakuの問い合わせに対して、「チェイン・フック」の当たり判定には球体状のヒットボックスが使われており、周囲の動くターゲットを自動探索するようにデザインされていると説明していた。これにより、これまでは遮蔽物の影に隠れて「ロードホッグ」側から直接見えないターゲットに当てることも可能だった。
最後に、「チェイン・フック」が命中した後にもターゲットが「ロードホッグ」の視線上に位置しているかの判定が新たに追加される。これによりターゲットが一度フックに捕まった状態でも、スプリントや加速、落下といった要因で視線上から外れた場合は「チェイン・フック」の判定が無効になる。以前には「ソンブラ」が「トランズロケーター」を使ってテレポートしたにも関わらず、「ロードホッグ」から遠く離れた移動先から強引に引き戻されるといった珍現象も一部で報告されていたが、フック命中後の判定が新たに施されることで改善されるだろう。これらの修正は、早くて次回のPTR(Public Test Regionの略、パブリックテスト環境のこと)アップデートにおける実装を予定している。