任天堂の米国法人であるNintendo of America Inc.が、アメリカで新たに「Eternal Darkness」という名の商標を登録していたことが、海外フォーラムNeoGAFでの投稿で明らかになった。『Eternal Darkness』はSilicon Knightsが開発し、任天堂が2002年にゲームキューブ向けに発売したサイコアドベンチャーゲーム『エターナルダークネス 招かれた13人』の海外版タイトルだ。
『Eternal Darkness』は全12章で構成されており、プレイヤーは紀元前から現代までのさまざまな時代を生きた12人の物語を体験する。全体の物語においてはアレックスという名の主人公が存在し、人間の皮膚と骨でできた禁断の書物「エターナルダークネスの書」を発見する。そのページを開くと、異次元から復活し恐怖の力で人類の精神を蝕ばもうとする「エンシャント」と戦ってきた過去の人間たちの記憶が呼び起こされる。12人の記憶を追体験し、最後の希望がアレックスに託されるというのが、本作のおおまかなストーリーだ。本作は当時高く評価され、数々の賞を受賞している。
今回発見された商標「Eternal Darkness」は、つい先日の12月20日に登録されている。その使用目的はダウンロードを含むゲームソフトやゲームプログラムなどとされている。実のところ『Eternal Darkness』の商標権については、1999年にアメリカで初めて登録されてからこれまで任天堂が所有し続けている(当初はゲームディスクなども含まれており使用目的に若干の変遷はあるが)。アメリカでは商標権の存続期間について、延長費用を支払うことで6か月間の延長が最大5回まで認められる。そして前回登録された本作の商標について、5回目の延長が受理されたのが今年の7月。つまり今月をもって本作の商標権は消滅することになる。したがって今回新たに登録しなおしたことは、事実上の更新手続きであると判断できる。
また任天堂は『Eternal Darkness』の商標をゲームキューブ版の発売以降使用していないので、通常の10年ごとの更新はできないものと思われる。事実、任天堂はこれまでにも同様の手続きを2回おこなっているが、3年ごとに登録し直しており、これは使用実績が認められない場合の商標権の存続期限と同じだ。なお、ヨーロッパでも2001年に商標登録されてから更新し続けられており、日本についても2001年の商標登録から現在まで更新が続いている。
自らが所有するIPの名前を他者に使用されないように、商標登録の更新をおこなうことは企業としていたって普通の行為だ。ただ見方を変えれば、『Eternal Darkness』のように長らく使用していないものの場合、将来使う可能性がまだあるという意思表明と受け取ることもできる。今月初めに海外メディアEurogamerが、任天堂が来年3月に発売する「Nintendo Switch」では、ゲームキューブタイトルがバーチャルコンソールとしてプレイ可能になると報じていた(関連記事)。あくまで噂段階の情報だが、Eurogamerによると少なくとも『スーパーマリオサンシャイン』『ルイージマンション』『大乱闘スマッシュブラザーズDX』といったゲームキューブタイトルがすでに準備されているそうだ。ここに『Eternal Darkness』もラインナップのひとつとして加わる可能性もあるのではないだろうか。あるいはリマスターや続編といった新たな展開も考えられる。もちろん、続編の噂がありながらも特になにも展開がないまま10年以上商標権を更新し続けているので、過大な期待はできないという見方もある。上述したEurogamerの報道内容については、任天堂が来年1月13日に開催する「Nintendo Switch プレゼンテーション 2017」で、その真偽が明らかになるだろう。
ちなみに、『Eternal Darkness』を開発したSilicon Knightsは資金難により2014年に倒産してしている。同スタジオの設立者で、プロデューサー/ディレクターとして本作に携わったDenis Dyack氏は、その後新たなスタジオを立ち上げて『Eternal Darkness』の精神的続編である『Shadow of the Eternals』を開発中だ。