『DEATH STRANDING』はGuerrilla Gamesの『Horizon Zero Dawn』と同じエンジンを採用、その名は「Decima」
「PlayStation Experience 2016」のパネルディスカッションにKojima Productionsの小島秀夫氏が登場した。インタビュアーはお馴染みとなったGeoff Keighly氏。まずは先日の「The Game Awards 2016」で公開された『DEATH STRANDING』の最新ティーザー映像が、楽曲だけ変更した形で流された。曲はE3 2016で公開したティーザー第1弾と同じアーティストであるLow Roarの「Easy Way Out」。歌詞と映像はシンクロしているということで、これまたファンによる考察材料となるだろう。
その後、小島氏はLow Roarおよびマッツ・ミケルセン氏との出会いについて語っている。ミケルセン氏とのコンタクトについては過去にもインタビューなどで明かしている通り、かねてより小島氏と交流のあったニコラス・レフン映画監督を通じて連絡先を入手したとのこと。なおノーマン・リーダス氏の連絡先については、ギレルモ・デル・トロ映画監督が小島氏に渡したという。デル・トロ監督はティーザー映像に登場しているが、映画撮影につき多忙のため表情キャプチャーのみを利用。演技と声は他の俳優が演じている。本作で主人公キャラクターを演じるノーマン・リーダスと、ライバル的な立ち位置となるマッツ・ミケルセン氏は演技も声も本人が演じる。また未公開ではあるが、本作には女性キャラクターも登場するとのことだ。
続いて気になるのが、『DEATH STRANDING』で使われているエンジンの存在だ。ティーザーはPlayStation 4 Proを使った映像で、プリレンダリングではなく実際に動いている。それを可能にしているのが「Decima」エンジン。これはGuerrilla Gamesが開発したもので、『Horizon Zero Dawn』と同じエンジンとなる。ここで満を持してパネルディスカッションにサプライズ登場したのが、PlayStation 4のリード・システムアーキテクトのMark Cerny氏と、Guerrilla Gamesのマネージング・ディレクターHerman Hulst氏だ。Mark Cerny氏は小島氏の技術巡りの旅に同行し、Guerrilla Gamesを紹介した人物でもある。
小島氏はエンジンの選択にあたり、最適な技術はもちろんのこと、人のつながり(Strand)も重要視していた。Guerrilla Gamesとは出会ってすぐに意気投合し、現在はGuerrilla Gamesの内部にKojima ProductionsによるDecimaチームを設けることを計画しているほど。Hulst氏からは出会ったその日にエンジンのソースコードを渡されたことにも心を打たれたようだ。
Guerrilla Gamesは2015年の時点で海外メディアのGame Informerの取材にて、描写距離とロード時間を改善するために新規エンジンを開発したことを明らかにしていた。Decimaはオープンワールドの表現に最適なエンジンではあるが、小島氏によると『DEATH STRANDING』は『Horizon Zero Dawn』とは異なりフォトリアルな作風を目指しているため、いくつか調整を加えているとのこと。具体的には物理ベースのライティングについてGuerrilla Gamesと議論を交わしているという。
「Decima」というエンジン名には複数の意味合いがある。ローマ神話に登場する女神のことであるが、日本の鎖国時代に建設された「出島」も由来となっているのだ。出島は鎖国時代からオランダとの貿易を行っており、蘭学の発展にも貢献した。21世紀の今、オランダのGuerrilla Gamesと日本のKojima Productionsが革新的なタッグを組んだわけだが、両国の交流は歴史が古いということがエンジン名で示されている。もちろん、エンジン名についてはさらに深追いすることも可能だろう。今後は熱い議論が予測されるファンたちの考察にも注目していきたい。