米国の市場調査企業NPDグループは、北米市場における2014年ビデオゲームの売上情報を公表したとgameindustry.bizなどで報じられている。2014年、北米でもっとも売れたタイトルは、Activisionが同年11月にリリースした『Call of Duty: Advanced Warfare』だ。2013年はRockstar Gamesの『Grand Theft Auto V』に牙城を崩された『CoD』だが、ふたたび北米市場における王座を取り戻した。『GTAV』はPS3版とXbox 360版に続き次世代機版を2014年末に発売しており、今回は4位に踏みとどまっている。
常連の隙間に新顔たち
年末発売された『CoD: Advanced Warfare』のほか、2013年末に発売された『CoD: Ghosts』が10位に位置し、例年通り『CoD』2作がトップ10にランクインする結果となった。このほか、『Madden NFL 15』や『NBA 2K 15』、『FIFA 15』といった、お馴染みのEA Sportsゲームが並ぶ。また、昨年Xbox 360版を発売し9位となった『Minecraft』は、PS3版とPS4版、Xbox One版を新たに引っさげ、5位に浮上している。国内からは、任天堂の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U/3DS』が4位に位置づけた。
新規IPでは、ActivisionのオンラインFPS『Destiny』、Ubisoftのオープンワールドゲーム『Watch Dogs』がランクインしている。2013年の北米市場ランキングは、『Desney Infinity』を除き新規IPが存在しなかった。対して2014年は、大手が勇気と大金をもってして挑んだ完全新規IPが、上位に2作ランクインする結果となった。
Activisionの『Destiny』は、『Halo』を生みだした開発スタジオBungieが手がけるオンラインマルチプレイヤーFPSである。続編や拡張パックの発売を見越した、長期フランチャイズとして立ち上げられており、Activisionは『CoD』に続く新たな旗艦タイトルとして注力している。『Watch Dogs』は、ハッキングをテーマにしたUbisoftのオープンワールドゲームだ。Ubisoftが、『The Crew』や『The Division』などのオープンワールドゲームにも力を注いでおり、同作はその先鋒的存在である。プロジェクトリーダーのJonathan Morin氏は、海外メディアGamesTMに対し『Watch Dogs 2』の構想を語るなど、こちらも続編の登場を匂わせている。
両作ともにセールス面では華々しい記録を残した。だが、決してゲーマーやメディアから高く評価された作品とは言えないだろう。『Destiny』はコンテンツの層の薄さが発売後早々に露見し、『Watch Dogs』も蓋を開ければ、オープンワールドゲームとしての自由度と魅力が欠落した作品だった。両作とも、今後の続編や拡張版にてどのようにゲーマーたちの信頼を取り戻すかが、最大の課題となっている。
次世代機専用タイトル、まだ1つもランクインせず
ほかにも注目すべきは、次世代機専用タイトルとして発売されたゲームが、1つもトップ10リストに載っていない点だ。2012年と2013年に連続でランクインしていた『Assassin's Creed』シリーズの新作が不在なのは象徴的だろう。2014年、UbisoftはPS4とXbox One向けに『Assassin's Creed Unity』、PS3とXbox 360向けに『Assassin's Creed: Rogue』をリリースしたが、そのどちらもがトップ10入りしていない。ユーザー層がまだ次世代機に完全に移行していないためとも見て取れるが、少なからずその不出来も原因となっているだろう。
2015年は次世代機へ完全に移行したタイトルが多数登場する予定だ。1月27日の『Dying Light』を皮切りに、2月の『Evolve』や『Bloodborne』、5月には『The Witcher 3: Wild Hunt』、6月には『Batman: Arkham Knight』が登場する。はたしてこれらのタイトルがどのような評価を市場で受けるのか。2015年は、ユーザーたちが次世代機へ移行するかどうかを判断する、1つの節目の年となりそうである。