“ひねり”のきいたタワーディフェンス 『Sleep Attack TD』

第5回は、ジャンプアクション&レース『Splot』、カジュアル・ストラテジー『Swap Heroes』、パズル&タワーディフェンス『Sleep Attack TD』を紹介する。

Mobile of the Weekは、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する週刊連載。第5回は、ジャンプアクション&レース『Splot』、カジュアル・ストラテジー『Swap Heroes』、パズル&タワーディフェンス『Sleep Attack TD』を紹介する。

 


ジャンプアクション&レース『Splot』

 

キャラクターグッズも販売中。
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先週紹介した『Leo's Fortune』と同じく、定番でありながら新鮮さを感じさせるジャンプアクション『Splot』。開発は、『Trine』シリーズを手がけるFrozenbyteiOS版は400円、PC版は2011年にHumble Bundleで販売された「The Humble Frozenbyte Bundle」を購入した方のみプレイ可能。

Frozenbyteは『Splot』の制作に7年かけたという。おそらく多数のモバイル向けジャンプアクションを遊び、快適な操作を追及したと思われる。そのかいあってか、「ジャンプするつもりだったのに……」「右へ移動するはずが左へ……」、そういったコントロールミスはほとんど発生しない。

ステージに散らばる「ひな鳥」を集めてゴールへ向かうことが目的だが、悪いエイリアンよりも早くゴールインしなければならない。制限時間があるわけでもないのに、まるでタイムアタックをしているかのような気分になる。基本移動がジャンプのみに制限されているため、段差が多く入り組んだステージでは飛距離を調整しつつ先を急がなければならない。

操作を簡略化すればゲームの難度も下がってしまうことがある。それを考慮したのかわからないが、レース要素を追加したことにより、ほどよい難しさと緊張感を味わえるようになっている。

『Trine』と比べれば見劣りするかもしれないが、バンドルを買い逃してしまった方は、iOS版の購入を検討してみてはいかがだろうか。ちなみに『Trine 2: Complete Story』はTegra K1搭載デバイス向けに販売中である。

 


カジュアル・ストラテジー『Swap Heroes』

 

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『Swap Heroes』は、ヒーローを入れ替えて戦うターン制ストラテジー。開発はカナダのインディーデベロッパーsavory games。対応プラットフォームはiOSのみ。2014年10月28日時点ではローンチセール中ということで通常価格の50%オフ、100円で購入可能。

App Storeの説明には「カジュアルなストラテジーアドベンチャー」と書かれているが、実際にプレイしてみるとパズルゲームに近いと感じた。壮大なストーリーがあるわけではなく、戦闘のみを楽しむ作品である。

前列の3名は攻撃、後列の1名はライフの回復とスキルのチャージをおこなう。ヒーローの位置を入れ替えればターンが終了し、前方に向かって基本攻撃が繰り出される。後列から前列に移動させた場合はスキルが発動する。とてもシンプルなルールだが、キャラクターのアップグレードはとても限定的で、なかなか強くならない。さらに、誰か1人でも死んでしまえばゲームオーバーとなり、コンティニューはできない。

ヒーローとモンスターのステータスを照らし合わせ、誰と誰を入れ替えるのが最適なのかを考え、一手もしくは二手以上先を読んで戦う必要がある。ポーションなどのアイテムは登場せず、回復手段は特定のスキルのみであり、使用するにはいったん後列に移動しなければならないことも忘れてはいけない。攻撃に気を取られればライフがなくなり、回復に専念すれば倒しきれないといった苦しい状況に追い込まれてしまうだろう。ちょっとした空き時間に遊べ、かつ歯ごたえがある作品を探しているのであれば、『Swap Heroes』は適任かもしれない。

 


パズル&タワーディフェンス『Sleep Attack TD』

 

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「またか……」そうつぶやいてしまうほど、iOSでは頻繁にタワーディフェンスがリリースされる。なかには人気タイトルを真似たものもいくつかあるが、『Sleep Attack TD』のようにほかとは違ったアイデアを詰め込んだ作品もある。開発を手がけたのはアメリカとイタリアにスタジオを構えるBad Seed。価格は300円。残念ながらAndroid版は未発売。

画面中央で寝ているエイリアンが本拠地であり、舞台となるのは夢の世界。プレイヤーは彼を目覚めさせないよう、タワーを建てて敵エイリアンを撃退しなければならない。

ユニークなのは、ポイント&クリックアドベンチャーでまれに見られるパズルのように、フィールドを回転させることができる点である。つまり、レーンの入り口から中心部までの距離を調整できるのだ。この仕組みはオマケではなく、『Sleep Attack TD』を攻略するうえで非常に重要なポイントとなっている。タワーを建ててアップグレードを完了させたら「あとは見てるだけ……」とはいかないのだ。

 

今回紹介した作品のなかからピックアップするなら『Sleep Attack TD』である。最終Waveまで気を抜けない忙しさは楽しく感じられた。キャラクターデザインはもちろんのこと、エイリアンたちの声もかわいらしい。頭をひねって戦略を考え、フィールドをひねって敵エイリアンの進行ルートを変更する。まさに"ひねり"のきいたタワーディフェンスといえるだろう。

Shinji Sawa
Shinji Sawa

ゲームはジャンルを問わず遊びますが、1回のプレイ時間が短いものが好きです。FPSやRTSは対戦モノを積極的にプレイします。しかし緊張するとマウスを持つ手が震えるタイプでもあります。

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