ボードゲーム風ローグライク&カードゲーム 『Card Dungeon』

 

Mobile of the Weekは、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する週刊連載。第3回は、事故シミュレーター『Turbo Dismount』、反射神経の限界に挑戦『Cosmophony』、豊富なチャレンジが飽きさせない『Pumped BMX 2』、エレクトロミュージック&アクションアドベンチャー『Beatbuddy』、高難度ジャンプアクション『Electronic Super Joy: Groove City』、カードの利用は計画的に『Card Dungeon』を紹介する。

 


大きな事故ほど高得点『Turbo Dismount』

 

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Turbo Dismount』はフィンランドのデベロッパーSecret Exitが手がけた“事故シミュレーター”。2014年5月にリリースされたPC版とは違いiOS版は無料でダウンロードできる。ただし、特殊な車両やステージはアプリ内課金で購入しなければならない。

本作は、いかに派手な事故を起こして多くの得点を稼ぐかを目指すゲームである。走り出した車両はコントロールできず、何かに衝突するか一定時間が経過するまで前進し続ける。つまり、スタートする前にどのようなアクシデントが発生するかを想定し、ジャンプ台や加速装置など15種類の障害物をコース上に設置しなければならない。いわゆる“おバカ”系のシミュレーターだが、ハイスコアをたたき出すためにあれこれ試行錯誤するのが楽しい作品だ。

ほかの車両や壁に衝突すると運転手は車外へと放り出される。そして全身を強く打ち、骨折や切断によって無残な姿に変貌する。ただし、あくまで人形ということで出血表現はなし。交通ルールを守ることの大切さを教えるために、お子様と一緒に遊ぶというのもアリかもしれない。

 


反射神経の限界に挑戦『Cosmophony』

 

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Cosmophony』はDJ Salaryman作曲のドラムンベースをBGMに、難度の高いステージをクリアしていくシューティングゲーム。といっても弾幕系ではなく『Super Hexagon』の亜種である。フランスのデベロッパーBento Studioによって開発された。iOS(300円)のみならず、Android(367円)とWindows Phone(300円)向けにも販売中。

自機は丸い筒状のステージを飛行し、画面の左右をタップすると円を描くように移動する。この2つのボタン操作で四角いブロックを避けなければならない。それだけではなく、三角形の障害物が出現すれば画面中央を指でたたいて弾を発射し破壊することも可能だ。文面だけではとてもシンプルなゲームに思われるかもしれない。本作の難しさはトレーラーを見ていただくほうが伝わりやすいだろう。

気になるのはiTunes Storeで販売中のサウンドトラックに比べて音質が良くない点だろうか。そのため、どの曲もかっこいいのだが、“ミュージカル・シューター”なのにいまいちノリがよくない。背景の変化が目の錯覚を引き起こし、それによって難度が上がるなどの工夫は見事だが、本作において重要なポイントであるはずのサウンドが弱いのは残念に感じられた。

 


豊富なチャレンジが飽きさせない『Pumped BMX 2』

 

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前作よりもボリュームが増し3Dグラフィックへと変貌した『Pumped BMX 2』。現実では難しいテールウィップなどのトリックを簡単な操作で出せるBMXゲームだ。『Trials』シリーズの自転車版だと言いたいところだが、そこまでの派手さはない。開発を手がけたのはYeah Us! 。価格は300円。現時点で販売されているのはiOS版のみ。

プレイヤーはBMXを操り、短めのダートコースでさまざまなスタントをきめ、ハイスコアとチャレンジの達成を目指すことが目的である。基本操作は重心を低くする「Pump」とティルトによる体重移動で車体を安定させ、「Spin」と画面左下のスティックの組み合わせで技を出す。ボタンだけでなく端末をかたむけなければならないため、外で遊ぶと他人の目が気になるかもしれない。また、寝転がってリラックスした姿勢では遊びにくいだろう。

本作の魅力はなんといっても手軽であることと、豊富なチャレンジが用意されている点だ。ただし、「ほかのプレイヤーとランキングで競えない」「どのような大技をきめても観客の歓声がない」など不満点はいくつかある。それでも、何度も同じコースを走り、いつどこでどのようなトリックを出せばいいのかを追求する楽しさは満足感を与えてくれた。

 


エレクトロサウンド&アクションアドベンチャー『Beatbuddy: Tale of the Guardians』

 

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昨年PC向けに発売されたリズムアクションアドベンチャー『Beatbuddy: Tale of the Guardians』のiOS版。デベロッパーはドイツを拠点とするスタジオTHREAKS。価格は500円。日本語にも対応している。

主人公はクリオネのようなキャラクター「ビート」。音楽がすべてを司る世界「シンフォニア」を邪悪から守るため、さまざまな仕掛けを解きながらステージを攻略していく。基本的な操作はタップだが、舞台は水中ということで思うように移動できないもどかしさがある。本作の特徴はノリの良いサウンドだろう。エレクトロ・スウィングやファンクを中心に、思わず踊りたくなるようなダンスミュージックが流れる。さらに、音楽のビートに合わせてトラップが揺れ動いているのもユニークだ。

“リズムアクション”ということだが、音楽に合わせてタップするといったシーンはそれほど多くない。また、リズミカルにゲームが進行するわけでもない。アリの巣のように入り組んだステージは迷いやすく、人によってはフラストレーションを感じるだろう。しかし、ヘッドフォンを装着してプレイすれば、ノリの良いエレクトロサウンドが苛立ちを忘れさせてくれるはずだ。

 


高難度ジャンプアクション『Electronic Super Joy: Groove City』

 

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Electronic Super Joy: Groove City』は高い難度とノリの良いハウスミュージックが特徴のジャンプアクションである。PCからiOSへ移植された。開発を手がけたのはカナダ在住のインディープログラマーMichael Todd氏。iOS版の価格は500円。Android版は今後発売予定。

App Storeには「このAppはiPhone、iPad の両方に対応しています。」とあるが、現時点ではiPadに対応していない。画面サイズが合っていないため、序盤のうちにゲームの進行が不可能になる。また、「COMES WITH STEAM KEY」と書かれており、「Steamキーもセットになっている」という意味にもとれるが、いつどのような方法で配布されるのか明らかになっていない(2014年10月14日時点)。ちなみに、ストアのスクリーンショットは縦画面だが、実際はデバイス横向きでプレイする。

『Electronic Super Joy: Groove City』は、とにかく難しい。いとも簡単に落下死してしまう小さな足場、避けにくいタイミングで動き続ける即死トラップ、突如始まる強制スクロールなどプレイヤーを苦しめ苛立たせる仕掛けが詰め込まれている。また、キャラクターを操作する自分の指で画面が隠れてしまい、コントローラーでプレイするPC版よりも難しく感じられるだろう。

胃に負担がかかりそうなほど高難度なのは間違いないが、チェックポイントは多めなので、失敗と挑戦を繰り返してパターンを覚えればステージクリアはそう遠くないはずだ。左右への移動ボタンが誤タップしやすい配置になっているのは、「開発者があえてそうしている」と思えば受け入れられる……だろう……。

[2014年10月15日18:00 追記]少しわかりにくい場所にありますが、オプションから「Claim Steam Key」を選択し、メールアドレスを入力するとキーが送られてきます。

 


カードの利用は計画的に『Card Dungeon』

 

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Card Dungeon』は見た目がボードゲーム風のローグライク、そしてカードゲームでもある。開発を手がけたのはPlaytap Games。価格はiOS版が200円、Androidは215円。現在はローンチセールということなので、一定の期間が過ぎれば値上がりするはずだ。

「ボードゲーム」「カードゲーム」というと、初心者にはとっつきにくいイメージがあるかもしれないが、複雑なルールは一切ない。ビジュアルがやや立体的で、武器や防具といったアイテム、スペルや攻撃などすべてがカードに描かれているだけだと思えば問題ないだろう。

回復など一部のスペルを除けば、カードを使用するのは戦闘時のみ。手札は3枚までという制限があり、バッグの中にストックすることはできない。また耐久度があり、何度も使えばいずれ破れて使い物にならなくなる。もちろん武器や防具も壊れてしまう。プレイヤーを苦しませるのはトラップやモンスターだけではないのだ。

もしあなたの手札が回復やワープといった補助カードだけになってしまった場合、目の前のモンスターを攻撃することはできない。こうなればゲームオーバーというわけではないが、できれば避けたいだろう。そのためには、少しでも使えそうなカードが出現したときに、たとえ強くても古いカードは捨てて入れ替えるべきである。生き延びるためには頭脳プレイが必須なのだ。

ちなみにスクリーンショットの「×」印がついているのが破れたカード。遠距離攻撃が残っているため最悪の事態とはいえないが、戦闘を有利に進めることは難しい。最低でも1枚は近接攻撃をキープしておきたい。

 

今回紹介した作品のなかからピックアップするなら『Card Dungeon』である。ボードゲームを再現しすぎたためか、カメラの向きによってはキャラクターのライフやマナが見えなくなるのは面白い。ドラッグで視点を回転させれば解決するのだが、これをリアルととるか不便ととるかで意見は分かれるかもしれない。『Card Hunter』に似ている部分もあるが、それと比べるとシンプルで遊びやすく感じられる。序盤の難度は低めで、ローグライク初心者でもそれほど困らず遊べるだろう。

モンスターと遭遇していない状態でも一歩ずつしか移動できないという点はやや不便に感じられるが、プレイヤーの不満を解消する1回目のアップデートが予想以上に早かったため、Playtap Gamesは今後も積極的に改善していってくれるだろう。カードやダンジョンなどコンテンツの追加も楽しみである。