マッチングとスライディング、 2つのパズルの融合『BlastBall MAX』

第22回は、指でシンボルを描く防衛ゲーム『Magic Touch: Wizard for Hire』、2つのパズルを混ぜ合わせた『BlastBall MAX』を紹介する。

Mobile of the Weekは、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する週刊連載。第22回は、指でシンボルを描く防衛ゲーム『Magic Touch: Wizard for Hire』、2つのパズルを混ぜ合わせた『BlastBall MAX』を紹介する。

 


指が忙しい防衛ゲーム『Magic Touch: Wizard for Hire』

 

 

Magic Touch: Wizard for Hire』は、かわいらしいピクセルアートが特徴的な防衛ゲーム。iOS/Androidどちらも無料でダウンロードできる。デベロッパーは、数々のFlashゲームを手がけるNitrome

プレイヤーの目的は、空から降ってくる敵を迎撃すること。城に着地されると即ゲームオーバーとなる。ドラッグ操作で大砲の向きを変え、タップで弾を発射するというものではなく、敵がぶら下がっている風船の模様を、ジェスチャー操作で描いて倒すというもの。たとえば「Z」の風船が登場すれば、指で画面に「Z」を描けばいいわけだ。正しく入力したつもりがうまく読み取ってくれないということは少なく、大雑把に指を動かしても認識してくれる。ゲームプレイに関しては、タッチ操作との相性は抜群だ。

風船の模様は「│」といったシンプルなものから、複雑な図形までさまざま。それらが複数同時に出現するため、かわいらしい見た目とは裏腹に、素早い判断と入力が求められる難しい作品となっている。主人公は魔法使いということで、集めたコインを使えば強力な魔法をアンロックでき、遊べば遊ぶほど防衛手段が増えていく。モバイルで人気が出やすい「かわいらしいアートスタイル」「ほどよく難しい」「リプレイ性が高い」といった3つの要素をおさえているのだ。ただし、基本はスコアアタック型のゲームであり、ハイスコアを目指すということに興味がないという方には向かないかもしれない。

NitromeはFlashゲームだけでなく、モバイル向けにも力を入れつつある。なかでも、ブロックの回転をうまく利用したアクションパズル『Gunbrick』(iOS/Android)は、Flash版をアップグレードしたものとなっており、ぜひ脳内ウィッシュリストに入れてほしい作品である。

 


マッチング&スライディング『BlastBall MAX』

 

 

BlastBall MAX』は、同じ色のボールを5つ並べて消すパズルゲーム。開発を手がけたのは、ベルギーにスタジオを置くMonkubeiOS版のみ販売されており、価格は300円。ローンチトレイラーに出演しているデザイナーのSven Van de Perre氏の表情は、本作が難しいゲームであることを表している。

同じ色のボールを5つ並べて消すというルールは、いわゆるマッチングパズルと呼ばれるもの。空いたスペースにボールをはめ込み、縦横斜めのラインを作ればいい。だが、これだけだとシンプルすぎるだろう。そこで『BlastBall MAX』は、ボールが4個まで入るボックスを複数配置し、さらにそれを上下左右にスライドできる仕組みを取り入れた。これにより、ほかとは違ったパズルに仕上がっており、難しさも増している。

ゲームプレイについては、こちらのトレイラーをご覧いただきたい。ボールは2色しかないが、特殊なものが存在する。色を変更させるもの、ボックスの位置を固定するもの、ボックスを回転させるもの、なかでも最も厄介なのは数字が描かれているボールだ。この数字は、空いたスペースにボールをはめ込む、またはボックスを移動させるたびにカウントダウンされていき、ゼロになるとゲームオーバーとなる。そうなる前に消せば問題はないのだが、簡単にはいかない。

黄色と紫色のボールは、ボックスをスライドさせないと追加されない。つまり、今の状態でボールをはめ込んでいけば高得点を狙えるという場合でも、ボックスの並びを変えなければならないのだ。そのため、ボールだけでなくボックスの配置も先読みしなければならない。

ゲームをダウンロードしてから10日間、毎日新しいブーストがアンロックされる。たとえば初日には「Unscrew」が使用可能になり、1プレイで2回までという制限はあるものの、ボックスのロックを解除できる。このブーストにより、今日よりも明日のほうが高いスコアをたたき出せるかもしれない。

『BlastBall MAX』は、『Threes!』とは違い、テンポよく進むパズルゲームではない。ボールの配置、ボックスの移動、それらを慎重におこなわなければならないため、一手に要する時間はとても長くなる。トレイラーの最後には男の子が笑顔でプレイしているが、お子様が遊ぶには難しすぎるように感じられる。射幸心をあおるFree-to-Playのゲームではなく、こういったパズルを子供たちに遊んでほしいというメッセージだろうか。

 

先週は月末だったためか、セールが中心で新作の数は少なかった。そのため、今回は2作のみの紹介となってしまったのだが、第22回Mobile of the Weekの最優秀作品を選ぶとすれば『BlastBall MAX』である。スマートフォン向けのパズルゲームといえば『Threes!』(iOS/Android)を思い浮かべる方が多いだろう。2014年の発売以来、App StoreやGoogle Playには第二の『Threes!』を狙った作品が多数登場している。おそらく『BlastBall MAX』もその座を意識して創られたゲームだと思われるが、単純なクローンではなく、2種類のパズルを組み合わせることで独自性を出している。その結果、難しさが増してしまい、短時間で遊べるゲームではなくなっている点は惜しい。

外出先でというよりも、トレイラーのように自宅でゆっくり遊ぶパズルゲームとしては最適だろう。急いで操作する必要はないため、画面サイズが小さいiPhoneでも問題なくプレイできる。目新しいパズルを求めているのであれば、購入を検討してみてはいかがだろう。

 

Shinji Sawa
Shinji Sawa

ゲームはジャンルを問わず遊びますが、1回のプレイ時間が短いものが好きです。FPSやRTSは対戦モノを積極的にプレイします。しかし緊張するとマウスを持つ手が震えるタイプでもあります。

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