モバイルゲームピックアップ『FOTONICA』 ワイヤーフレーム風・一人称視点ジャンプアクション

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iPhone 6/ iPhone 6 Plusがつい先日発表され、そしてすぐに世界を席巻するだろう。Android端末も国内外を問わずかなり普及している。そう、もはやどこの誰もが言うように、モバイルプラットフォームはゲームの一分野として重要な存在となった。であるから当然、われわれも看過するわけにはいかない。

新企画[Mobile of the Week]は、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する週刊連載だ。毎日のようにApp Store/Google Playを漁っている澤がお届けする。

テンプレートどおりの「基本無料」ゲームではない、"王道"またはそれ以上の作品もあることをお伝えできればと思う。

 


レトロスタイル2Dアクション『Goblin Sword』

 

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モバイルゲームでも"レトロ"は人気がある。『Goblin Sword』はステージクリア型の2Dアクションだ。開発を手がけたのはGelato Games。価格は100円。残念ながらAndroid版は未発売。

レベルやアップグレードなどキャラクターそのものの成長要素はなく、強くなるためにはコインで装備を購入するしかない。コイン自体はモンスター討伐や宝箱の中から手に入る。敵は弱めの調整だが、プレイヤーにとって嫌なタイミングで攻撃してくるので難度が低いというわけではない。スパイクや回転ハンマーなどのトラップや、パターンを覚えて攻略するボス戦など、小粒ながらもアクションゲームならではの醍醐味はつめこまれている。

プレイヤースキルが重視されるため、操作のしにくさが目立つのは難点だ。移動や攻撃ボタンの配置は変更できるが、それでもモバイル特有の操作ミスに由来する事故死は発生しやすい。できればコントローラーでプレイしてみたいというのが正直な気持ちである。

 


恐怖の深夜アルバイト『Five Nights at Freddy's』

 

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季節はずれかもしれないが、PCで人気のホラーゲーム『Five Nights at Freddy's』がiOSにも登場した。『The Desolate Hope』を手がけたScott Cawthon氏の作品である。価格は300円。Android版は312円だが無料のデモあり。

プレイヤーはピザ屋に週給120ドルで雇われた深夜警備員。勤務時間は夜の12時から6時間。仕事内容は、子供向けアトラクションの人形や電気機器の安全確認である。各部屋にはカメラが設置されており、監視室からモニタでチェックするだけだ。薄暗い部屋が不気味なら自室のライトをつければいいし、ドアを開閉してもいい。サボってもバレない楽な仕事に思えるかもしれない。が、身の毛もよだつ怪奇現象があなたを悩ませることに……。

自ら恐怖に立ち向かうのではなく、一歩も動かずに待ち受けるホラーゲームであるため、初回プレイ時には「退屈」の2文字が頭に浮かぶ。しかし、何も起きないからといって気をゆるめると、見事に驚かされてしまうだろう。ただし難点として、慣れれば作業ゲームになってしまう側面の存在も否めない。プレイの賞味期限は短いかもしれない。

 


タクティカルRPG『Phantom Rift』

 

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Phantom Rift』は『バトルネットワーク ロックマンエグゼ』にインスパイアされたタクティカルRPGだ。iOS版の価格は300円。Androidは320円。デベロッパーは兄弟4人でゲームを開発しているFoursaken Media。過去には『Minecraft』風のタワーディフェンス『Block Fortress』やMOBAライクなTPS『Bug Heroes 2』など、とっつきにくさはあるが奥深い作品を複数リリースしている。

本作は(ほかのFoursaken Media作品と同じく)序盤は盛り上がりに欠ける。だが、最初の1時間ほどを耐え抜けば面白さが見えてくるだろう。リアルタイムで進行する戦闘ではカードゲームのように手札から魔法をピックし、通常攻撃でけん制しながら形勢逆転の機会をうかがう。『ロックマン エグゼ』のような派手さはないが戦術の幅は広い。

比較的ライトなゲームがヒットしやすいモバイルのなかで、最初の数分で直感的にプレイできない作品は注目されにくいかもしれない。それでも4人の兄弟たちは今までどおりコアゲーマーにアプローチし続けてくれるはずだ。App Storeの上位に食い込みつづけるようなタイトルを生み出す可能性もないとはいえない。

 


一人称視点のジャンプアクション『FOTONICA』

 

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ワイヤーフレームで描かれた芸術作品に見えるかもしれないが、ビジュアルだけが魅力の雰囲気ゲームではない。『FOTONICA』はもともと2011年にPC/Mac向けに発売された一人称視点のジャンプアクションだ。先週から配信がスタートしたiOS版の価格は300円。Android版のリリースも計画されている。開発はスペースアドベンチャー『MirrorMoon EP』を手がけたイタリアのインディーデベロッパーSanta Ragione。ファッションの街ミラノにスタジオがあるからか、見事なデザインセンスである。

合計7つ用意されたステージでゴール目指して走り続ける本作は、『Mirror's Edge』の亜種とでもといえば伝わりやすいだろうか。横から見るわけではないので、足場が途切れている場所がわかりにくかったり、ジャンプするべきポイントまでの距離を目測しにくかったりするが、逆にそれが面白さに直結している。速度が上がるほど落下死しやすくなる、しかし遅ければ飛距離が伸びないためにクリアできない、そのため嫌でも速く走らなければならない……。ゲームデザインそのものがシビアなプレイングを求めてくる。

iOS版はデバイスを縦横どちらにかたむけてもプレイでき、1台で2人対戦も楽しめる。ワンボタンで操作できるシンプルさは、最初からモバイル向けにデザインしていたかのように感じるほど相性が良い。PC向けにブラウザ版のデモがあるので、ぜひ一度体験してほしい。

 


今回紹介した作品のなかからどれか1本をピックアップするなら迷わず『FOTONICA』である。すでにPCでプレイ済みであっても、タッチデバイスに最適化されたiOS版は新鮮な気持ちで遊べるはずだ。かくいう私も週末は本作に没頭してしまった。

先週もたくさんの新作が登場したが、その陰でiOS版『Baldur's Gate: Enhanced Edition』が日本語に対応した。同時にユニバーサルアプリ化されている。文字が潰れてしまう難点はあるもののiPhoneでもプレイできるようになった。この機会に名作RPGを外出先で遊んでみてはいかがだろうか。

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