色を混ぜて勝利をつかむ、 色彩ストラテジー『Sature』

第26回は、アーケードライクなスネークゲーム『Sid the Snake』、色彩ストラテジー『Sature』を紹介する。

Mobile of the Weekは、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する週刊連載。第26回は、アーケードライクなスネークゲーム『Sid the Snake』、色彩ストラテジー『Sature』を紹介する。

 


なつかしのスネークゲーム『Sid the Snake』

 

 

30年以上前に誕生した「スネークゲーム」をご存知だろうか。長方形の空間の中でヘビを操り、エサを食べさせて成長させるゲームである。シンプルな操作で遊べるためタッチ操作との相性も良く、iOSやAndroidにもたくさんの亜種が存在する。『Sid the Snake』もその仲間であり、不気味なイモムシにタマゴを食べさせ、3分という時間制限のなかでハイスコアを目指すアーケードライクなゲームである。iOS/Android/PCすべて無料でダウンロードでき、有料のアドオンなどはない。開発を手がけたのは、スコットランドに拠点を置くSmiling Bag

イモムシは常に右に向かって円を描くように動き続ける。画面を指で押さえると、今度は左に向かって回転する。右へ向かおうとするイモムシを、1本の指で調整しながら前に進むわけだ。どうやっても真っ直ぐ進むことはできず、蛇行運転のようになってしまう。

ステージには、白いタマゴがランダムに出現する。タマゴを食べれば体が長くなり、不気味なイモムシに成長していく。また、移動速度も上昇する。体の成長はビジュアルで楽しませるだけでなく、プレイヤーに攻撃をしかけてくる敵を倒すときに役立つ。胴体部分にうまくあてることで敵を撃破し、スコアをかせぐことができるのだ。ただし、頭にあたるとゲームオーバーとなる。

ステージにはタマゴだけでなく、特別なアイテムも出現する。ステージ上の敵をすべて爆破するもの、離れた場所にあるタマゴを吸い寄せるもの、頭部から射撃が可能になるものなど、どれもハイスコアを目指すうえで有効なものばかりである。

本作は、ほかのモバイル向け「スネークゲーム」の亜種『Nimble Quest』(iOS/Android)や『宝探し』(iOS/Android)などと比べると、やりこみ要素などはほとんどないといってよい。しかし、1プレイに要する時間は最長で3分と短く、『Sid the Snake』は空いた時間の暇つぶしに最適なゲームといえる。

本作が気に入ったのであれば、Smiling Bagの過去作『I Am Level』(iOS/Android)をウィッシュリストに入れていただきたい。ジャンプアクションとピンボールを融合させたユニークな作品である。

 


色彩ストラテジー『Sature』

 

 

『Sature』は、色の混ざり合いを利用したターン制のストラテジーゲームである。iOSAndroid版はどちらも無料でダウンロードでき、アドオンを購入することでタイルの種類が増える。PC版はitch.ioで販売中。開発を手がけたのはS.S.64 Games

『Sature』は対戦型のストラテジーゲームであり、両者が10枚ずつタイルを配置し終えたところでゲームセットとなる。勝利条件は「相手のタイルの色を暗くする」こと。お互いが配置したタイルが隣接している場合、矢印の方向に色が流れていく。たとえばここで掲載する画像の場合、赤タイルが置かれたことにより、黄のタイルと混ざり合ってオレンジに変色している。黄タイルは右上方向にしか色が流れず、赤は左上と右上どちらにも流れる。ただ隣接させればよいというわけではなく、この矢印の方向を考慮しながらタイルを配置していかなければならない。

子供のころ、絵の具を混ぜて遊んだことがある方は多いだろう。このとき、相手のタイルの矢印がこちらを向いていた場合、反撃が発生する。相手のタイルの変色後、その色がこちらのタイルに流れてくるのだ。
子供のころ、絵の具を混ぜて遊んだことがある方は多いだろう。このとき、相手のタイルの矢印がこちらを向いていた場合、反撃が発生する。相手のタイルの変色後、その色がこちらのタイルに流れてくるのだ。

 

中心に近いほど暗い色となる。
中心に近いほど暗い色となる。

どの色を混ぜれば暗くなるのか、一見すると色彩デザインについての知識がなければ難しそうだが、戦術を練るためのヒントが用意されており、それほど心配する必要はない。画面を下にスライドさせると、「カラーパレット」が表示されるのだ。単純に、お互いの色が遠いほど、混ざったときに暗くなると考えるとよい。

ストラテジーゲームが好きな方であれば、カラフルなタイルを戦艦や兵隊だと思えば遊びやすくなる。すべてのユニットが近接攻撃専用で、攻撃できる方向が固定されていると考えればよい。

先ほど、勝利条件は「相手のタイルの色を暗くする」ことだと述べた。しかし困ったことに、見た目の色だけでは戦況がわかりにくい。そのため、画面の下にはメーターが表示されており、どちらが優勢かを知ることができる。トレイラーを見ていただくと、タイルの色の変化と共に、メーターが左右に動いていることを確認できるだろう。

 

CPUとの対戦は、短時間で飽きてしまうかもしれない。そうなってしまったら、アドオンを購入してタイルの種類を増やすとよいだろう。5ターン後に矢印の方向にある相手のタイルを黒く塗りつぶす「da BOMB」や、2つの色を持っている「the splits」など、風変わりなタイルが登場するようになる。また、『Sature』は1台のデバイスで2人対戦ができることも忘れてはいけない。

 

第26回Mobile of the Weekの最優秀作品には『Sature』を選ぶ。CPUとの対戦では4つの難易度を選択できるのだが、いまいち盛り上がりに欠けるというのが正直なところ。しかし、ほかの誰かと1台のデバイスを使って対戦すると、ボードゲームを遊んでいるような気分で楽しめる。ストラテジーファンの方も、色彩デザインを学んでいるという方も、まずは無料で遊んでみてほしい。

 

Shinji Sawa
Shinji Sawa

ゲームはジャンルを問わず遊びますが、1回のプレイ時間が短いものが好きです。FPSやRTSは対戦モノを積極的にプレイします。しかし緊張するとマウスを持つ手が震えるタイプでもあります。

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