緊張感ともどかしさ、 iPhone縦持ちアクションゲーム『PARTICLE MACE』

第18回は、タイミングが命のアクションRPG『Combo Queen』、モバイルサバイバルブームの幕開け『Radiation Island』、振り回しアクションゲーム『PARTICLE MACE』を紹介する。

Mobile of the Weekは、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する週刊連載。第18回は、タイミングが命のアクションRPG『Combo Queen』、モバイルサバイバルブームの幕開け『Radiation Island』、振り回しアクションゲーム『PARTICLE MACE』を紹介する。

 


オノとボイン『Combo Queen』

 

 

数々の男性が、上半身の"揺れ"に魅了されたのだろう。Kickstarterでの開発資金調達プロジェクトは成功し、『Combo Queen』は2015年1月27日にリリースされた。現時点ではiOS版のみ販売中で、価格は200円。Android版は後日リリース予定。開発を手がけたのは、日本に拠点を構えるTap My Game

主人公は、露出度の高い衣装に身を包んだ女性「Queen」。攻撃と防御をタイミングに合わせて繰り出すアクションRPGであり、左右への移動操作が不要の自動進行型となっている。といっても、つねに走り続ける"ランナー系"ではなく、敵と遭遇すれば立ち止まって戦う。

『Combo Queen』の特徴は、レトロなビジュアルとチップチューンサウンド、そして高い難度である。敵が強すぎるとか、パズルが解けないといった難しさではない。攻撃や防御をおこなうためのタップ入力のタイミングが難しいのだ。かなりシビアであり、最初の戦闘を数十回やりなおしたという方もいるだろう。私だ。

好みの異性が握手を求めてきたので、喜んで手を差し出したら、強烈な平手打ちを食わされた。これが『Combo Queen』である。その苦痛がきっかけで、愛が芽生えるかもしれない。高難度の作品を探しているのであれば、挑戦してみてはいかがだろう。

 


"デジャヴ"サバイバル『Radiation Island』

 

 

スマートフォン向けのゲームでも、サバイバルブームが起きるのだろうか。『Radiation Island』は、『DayZ』と『Minecraft』をかけ合わせたオープンワールドのサバイバルゲーム……ここでピンときた方もいるだろう。本作は『Rust』や『7 Days to Die』に似た作品である。モバイルゲームによくある「勝手に移植」または「勝手にリメイク」の類とまではいかないが、影響を強く受けていることに間違いはない。開発を手がけたのはAtypical GamesiOS版のみ販売されており、価格は300円。

第二次世界大戦の真っ只中、プレイヤーはフィラデルフィア計画の一員として、ゾンビや猛獣が徘徊するパラレルワールドを舞台にサバイバル生活をおくる。石や木を集めて工具を作り、食料の確保に汗を流し、夜におびえる日々をすごすのだ。難度はそれほど高くなく、必要な資源はたくさん落ちており、どちらかといえば不思議な楽園生活をお楽しみくださいといったところである。一応、それでは物足りないという方のために、資源やアイテムドロップが少なく設定されたゲームモードも用意されている。

メインはシングルプレイだが、特定の条件を満たせばマルチプレイがアンロックされるという。ただし、ほかのプレイヤーとは専用アリーナで戦うとのことで、友人と一緒に生き延びるといった遊び方はできないようだ。

残念ながら独自性は薄く、同ジャンルの寄せ集めといった感じが強い。しかし、iPhone/iPadでこの規模のゲームをスムースにプレイできることには驚かされる。本作がヒットすれば、似た作品がゾンビのように増えていくかもしれない。

 


指1本でスコアアタック『PARTICLE MACE』

 

 

『PARTICLE MACE』は、アーケードライクなアクションゲーム。iOS版のみ販売中であり、価格は300円。PC版とは違い、シングルプレイのみとなっている。開発を手がけたのはAndy Wallace氏。

iOS版『PARTICLE MACE』は、iPhoneを縦に持ち、片手でプレイできるよう設計されている。画面下部にはバーチャルパッドが配置されており、親指で機体の操作をおこなう。スマートフォン向けのアクションゲームにおいて、バーチャルパッドは操作性の悪さばかりが目立ってしまうのだが、本作はそうした腹立たしさを"もどかしさ"にうまく転換している。確かにうまく移動できないのだが、腹立たしさは感じないのだ。

ゲームの目的は、ポイントを稼ぎつつ生き延びることである。自機にはイカやタコの足のような「Particle」がぶら下がっており、機体を移動させると勢いや方向に反応して揺れ動く。ビルの解体に使われる鉄球のついたクレーンをイメージしていただくと伝わりやすいかもしれない。「Particle」を振り回し、「Foe(赤色の敵)」と「Asteroid(黄色の惑星)」を破壊するのだ。

「Foe」は撃破ポイントが高く、一定時間内に連続して倒せばボーナスがつく。逆に「Asteroid」はポイントが低い。ハイスコアを目指すなら、「Foe」ばかり倒せばいいと思うかもしれないが、そう簡単にはいかない。「Foe」はプレイヤーの考えを先読みしているかのような、こちらの攻撃が当たりにくい動きをするのだ。

「Foe」の動きに気をとられていると、無限に増え続ける「Asteroid」と接触したり、エリアを囲む壁に衝突したりと、あっけなくゲームオーバーをむかえてしまう。また、十角形のエリアが突然動き出し形状も変化するなど、さまざまな工夫が凝らされている。特定の条件を満たすと、新たな機体がアンロックされていく。機体を代えたからといってゲーム展開が楽になるわけではなく、ハイスコアをたたき出せるかどうかはプレイヤーの腕前しだいといったところ。

時間に余裕があれば通常モードでハイスコアを目指し、空き時間がわずかならば機体のアンロックを目指してミッションにチャレンジ。避けるスリルだけを味わいたいなら「Asteroid Field」をプレイするといい。

片手で気軽に遊べ、スコアアタックを楽しめるアクションゲームを探しているのであれば、『PARTICLE MACE』は適任かもしれない。マルチプレイに興味があるならば、PC版を選ぶといいだろう。

 

第18回Mobile of the Weekの最優秀作品は『PARTICLE MACE』である。「Asteroid」の間をすりぬける緊張感、思うように「Particle」を操れないもどかしさ、「Foe」を撃墜したときの端末が揺れているかのように思わせるエフェクト、それらがプレイヤーの脳を刺激し興奮させる。また、プレイヤーを突き放すような高難度ではなく、あと少しで高得点を狙えると思わせるほどよい難しさも相まって、何度でも挑戦したいと思えるのだ。

 

Shinji Sawa
Shinji Sawa

ゲームはジャンルを問わず遊びますが、1回のプレイ時間が短いものが好きです。FPSやRTSは対戦モノを積極的にプレイします。しかし緊張するとマウスを持つ手が震えるタイプでもあります。

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