傑作インディーゲームがiPadへ移植、入国審査シミュレーション『Papers, Please』

第12回は、かわいらしい見た目のステルスアドベンチャーゲーム『Sneaky Sneaky』、入国審査シミュレーション『Papers, Please』のiPad版を紹介する。

Mobile of the Weekは、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する週刊連載。第12回は、かわいらしい見た目のステルスアドベンチャーゲーム『Sneaky Sneaky』、入国審査シミュレーション『Papers, Please』のiPad版を紹介する。

 


ステルスアドベンチャー『Sneaky Sneaky』

 

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Sneaky Sneaky』は、かわいらしい見た目のステルスアドベンチャーゲーム。iOS版の価格は300円。PC版は498円でSteamから購入できる。2013年に設立されたNaiad Entertainmentのデビュー作である。

一見すると『ゼルダの伝説』風のアクションアドベンチャーに見えるかもしれないが、ステルスが攻略のカギになるストラテジーゲームといったところ。正面からぶつかり合うのではなく、茂みなどに隠れて身を潜め、攻撃のタイミングをうかがうのだ。

敵の周囲には赤いマスで視野が表示されており、このなかに入ると発見され戦闘が開始する。通常時はリアルタイムで進行するが、バトルはターン制となっている。1ターンで3回まで行動でき、いかに傷を負わずに勝利するかを考えなければならない。

経験値をかせげば主人公はレベルアップし、獲得したポイントを振り分け能力を上昇させることで成長していく。Shopではライフを回復するポーションや、敵をおびき寄せる肉なども購入でき、どのアイテムもゲーム進行の手助けになるものばかりだ。

iPhoneでは画面が小さいため、若干ながら操作のしにくさを感じた。矢の当たり判定もシビアで、頭にヒットしているように見えても空を切ることが多い。タッチデバイスに最適とはいいがたいが、敵の行動パターンを覚え、見つからぬようこそこそ移動するのは、なかなか楽しいものである。

 


傑作がiPadへ移植『Papers, Please』

 

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2014年12月12日、傑作インディーゲーム『Papers, Please』がiPadに移植された。価格は800円。操作性を考慮してか、iPhoneには対応していない。一度はAppleに削除されたようだが、現在は全身透視スキャナーの全裸シーンのON/OFFも追加されており、PC版と同等のものになっている。開発を手がけたのはLucas Pope氏。

プレイヤーは架空の共産主義国家「Arstotzka」の入国審査官である。仕事の内容は入国希望者の書類審査が主で、彼らが差し出すパスポートや書類などに目を通し、不審点がないか細かくチェックする。マニュアルを何度も確認し、ときには指紋照合や全身透視スキャナーを使い、テロリストやスパイなどの入国を阻止しなければならない。

入国審査官である前に、家族を養う大黒柱でもあることを忘れてはいけない。あなたの手が遅ければ稼ぎは増えず、失敗を繰り返せば罰金が科される。さらに食費や光熱費もかさばり、生活はどんどん苦しくなっていく。ああ、ゲームを遊んでいるのに、これは現実世界そのものではないか……。

思わず笑ってしまうような入国希望者もいれば、共産主義国家ならではのイベントが発生し、深く考えさせられることもある。シンプルながら奥が深いとは、まさにこのような作品のことを指すのかもしれない。だからこそ、数々の賞を受賞したのだろう。

操作に関しては、iPadとの相性はとても良い。マウスよりも指のほうが直感的にプレイできる。指の太さや保護フィルムの種類によっては、パスポートの生年月日などをタップしづらいかもしれないが、すぐに慣れるだろう。

 

第12回Mobile of the Weekの最優秀作品は『Papers, Please』である。ほぼ完璧な操作感は、最初からタッチデバイスでの発売を計画していたかのようだ。PC版を遊びつくした方でも、また違った気持ちで遊べるはずだ。iPadを所持しているのであれば、購入を検討してみてはいかがだろうか。

Shinji Sawa
Shinji Sawa

ゲームはジャンルを問わず遊びますが、1回のプレイ時間が短いものが好きです。FPSやRTSは対戦モノを積極的にプレイします。しかし緊張するとマウスを持つ手が震えるタイプでもあります。

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