タワーディフェンス『Kingdom Rush Origins』 いつもと同じ安心感
Mobile of the Weekは、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する週刊連載。第9回は『Sunburn!』・『クロッシーロード』・『Five Nights at Freddy's 2』・『Kingdom Rush Origins』を紹介する。
"死"がゴールの重力パズル『Sunburn!』
『Sunburn!』は、爆発した宇宙船から放り出された船員たちを救う重力パズル。価格は300円でiOSのみ対応。開発を手がけたのはDiego E. Garcia氏。過去には、頭にホットドッグを乗せ続ける風変わりな作品『Heads Up! Hot Dogs』をリリースしている。
雰囲気は『Rabbids Big Bang』に似ており、重力をうまく利用しながらジェットパックで移動し、酸素がなくならないよう注意しながら船員を救出する。序盤はとても簡単なため、ほとんど頭を使わずにクリアできてしまうだろう。しかし、数回着地すると壊れてしまう星などが登場すれば、パズルゲームとしての面白さが増す。
ちなみに、ゴールは"死"である。全員を救出して無事に地球に帰るのではなく、仲間と共に太陽に飛び込み天へ帰るのだ。『Sunburn!』が発表されたとき、奇をてらっただけの作品だと思っていたが、実際にプレイしてみるとゴール以外の部分も楽しく感じられた。
ボクセル・フロッガー『クロッシーロード』
終わりなき道路横断アクション『クロッシーロード』は、『Dungeon Dashers』のクリエイターAndy Sum氏らによって生み出された。iOSのみに対応しており、無料でダウンロードできる。
本作は、カエルが道を横断する『フロッガー』の見た目をボクセルスタイルにしたものである。車道や線路、ときには川を渡り、ひたすら進み続けてハイスコアを目指す。ステージに点在するコインを集めれば、カピバラやフランケンシュタインといったキャラクターをアンロック可能。また、『Forget-Me-Not』と『EPOCH.』のキャラクターも登場し、こちらはアプリ内課金で購入できる。
特筆すべき点はないのだが、『Timberman』や『Flappy Bird』など、小粒でリプレイ性が高い作品がヒットするモバイルならではの作品といえるだろう。空いた時間の暇潰しには最適だ。
ところで、『Dungeon Dashers』の正式リリースは、いつになるのだろうか……。
人気ホラーゲームの続編もモバイルへ『Five Nights at Freddy's 2』
前作よりも給料は下がり、やめておけばいいのに再びピザ屋でアルバイト。PCで人気を博したホラーゲーム『Five Nights at Freddy's 2』がモバイルにも登場した。iOS版は300円、Android版は346円。ちなみに、本作を手がけたScott Cawthon氏は、多数のiOSゲームをリリースしている。この機会にプレイしてみてはいかがだろうか。
今回も、無事に朝を迎えることが目的である。ただし、難度は高くなっている。リニューアルした恐怖のピザ屋は、監視室のドアが取り払われ、入り口も3つに増えてしまった。店主は何を考えているのか……。これにより、「だるまさんがころんだ」システムはそのままに、より高い戦略が求められる作品にパワーアップした。
『Five Nights at Freddy's 2』も、プレイヤーを退屈な気分にさせる。そして、気が緩んだころに驚きを与えてくれる。これは本シリーズのうまさであり、ヒット作になった理由の一つだといえる。ただ、一発ネタ的なものであるため、数回プレイすれば怖くなくなってしまうかもしれない。前作を楽しく感じられたのであれば、購入を検討してみてはいかがだろうか。
"いつもの"タワーディフェンス『Kingdom Rush Origins』
「ほかに守るべきものがあるだろう」と言いたくなるほど、毎週タワーディフェンスを紹介しているような気がする。『Kingdom Rush Origins』は、ブラウザゲームでヒットしたタワーディフェンス『Kingdom Rush』の最新作である。iPhone版は300円、iPad向けのHD版は500円。Google Play(345円)とAmazon(346円)でも販売中。開発を手がけたのはIronhide Game Studio。
フラッシュゲームとして登場した『Kingdom Rush』は、今ではすっかりモバイル向けタワーディフェンスの王様になった。たとえ内容が前作と変わりなくとも、新作は必ずヒットする。『Kingdom Rush Origins』もまた"いつもの"ではあるものの、発表の時点で大きな注目を浴び、リリースと共にApp Store(日本・アメリカ)の有料ゲームランキング上位に登りつめた。
『Kingdom Rush』シリーズは、タワーディフェンスのなかでも難度は低い。おそらく、生まれて初めてタワーディフェンスに触れるという方でも、それほど苦労することなく最後まで遊べるのではないだろうか。頭脳プレイを必要としないため、誰にでも「クリアできる楽しさ」を与えてくれる。タワーを建設し、ヒーローユニットを操り、押し寄せるモンスターを力でねじ伏せるという爽快感を、簡単に味わうことができるのだ。
戦略性が高く、時間をかけて攻略方法を考えるといったコアなゲーマー向けのタワーディフェンスではない。どちらかといえば、いかに多くのプレイヤーが楽しめるかを追求した作品である。そのため、物足りないと感じる方がいるかもしれない。
第9回Mobile of the Weekの最優秀作品は『Kingdom Rush Origins』である。毎回ほとんど変わらない作品を出し続けても、それに対する不満が多くないのは、作品に対する信頼があるからだろう。
『Kingdom Rush Origins』は、行きつけの居酒屋で"いつもの"と頼めば出てくる料理のようなものである。「いつもと同じだと飽きるだろうから、今日はネギを振りかけておいたよ」とか、「活きのいいサバが入ったからおまけしておくよ」といった、変わらないことの安心感と少しの新鮮さを味わえるのだ。
ちなみに、過去作『Kingdom Rush』と『Kingdom Rush Frontiers』のフラッシュ版は無料で遊べる。本シリーズをご存知でない方は、プレイしてみてはいかがだろうか。