「新卒の美大・芸大生がゲーム業界に入るにあたり、ポートフォリオは何を作ればいいの?私に合う会社は?」ゲーム専門転職エージェントに訊いた
第6回を迎えた本稿では、第5回に引き続き、ゲーム業界における「ポートフォリオ制作」のアドバイスなどについて伺った。

国内だけでもさまざまな企業が存在するゲーム業界。専門的な知識・スキルを求められる業界でもあり、企業や職種によって活かせるスキルもまちまち。一般的な転職ノウハウがしっくりこない傾向もあるだろう。
弊誌はそんなゲーム業界での転職について、ゲーム人材の紹介・派遣サービスで30年の実績を誇るIMAGICA GEEQに気になる質問をさまざまぶつけていく。実績ある同社から得られた回答を連載で紹介していこう。本稿はその第6回となる。
現在、IMAGICA GEEQ主催の新卒向け採用イベント「新卒版 ゲームクリエイターズドラフト(2D・3DCGデザイナー)」が開催中だ。本イベントでは、履歴書とポートフォリオを登録するだけで、複数の企業による一斉選考を受けることが可能。エントリー期間終了後、2025年9月1日(月)より、書類選考を通過された方に面接オファーが届く仕組みとなっている。応募締め切りは8月29日(金)18時。2D・3DCGデザイナー志望の方は、今回の記事を参考にしつつ、就職活動の選択肢の1つとして参加を検討いただければ幸いだ。
【新卒採用イベント】「ゲームクリエイターズドラフト(2D・3DCGデザイナー)」の詳細とご応募はこちら↗
IMAGICA GEEQ:
今回は前回第5回の続きとなります。当社エージェントサービスにおいて、美大・芸大にてキャリアカウンセリングを行う上で寄せられた質問の中でも、特に多かったポートフォリオ制作について深掘りします。自己分析の重要性についても触れていきますので、このテーマでお悩みの方はぜひ参考にしてください。
Q:(続)ポートフォリオの作り方についてアドバイスが欲しいです
A:第5回では、ポートフォリオの「制作意図」、つまり「誰に、何を伝えるためのものか」を意識することが重要だとお伝えしましたが、今回は「具体的な作り方」のポイントについてご説明します。
まず、ページ数。内容にもよりますが、採用担当者が5分~10分程度で確認できるようにまとめることが重要です。特に有名企業では応募数が数百を超える可能性があり、すべてをじっくりと確認いただくことが難しい場合があるためです。
分量がまとまったら、提出ファイルのデータ容量が大き過ぎないかや適切なファイル形式となっているかについてしっかり確認するようにしましょう。募集企業の求人票や採用サイトでは提出方法について掲載されていることが多いですが……記載がない場合は注意が必要です。特に、人事の方のPCにはPhotoshopなどの制作ツールが入っていないことがほとんどなので、汎用性の高いPDF形式などで提出することをお勧めします。また、たまに各ページのサイズや縦横の向きが揃っていないものも見受けられますので、しっかり整えてから提出するよう心掛けてください。
次に構成。大きく3つの要素が必要で、1つ目は対応可能なジャンルやテイストが示せる作品、2つ目は就きたい職種が伝わる作例、そして3つ目は基礎力が判断できるデッサンなどです。そして、それぞれをバランスよく盛り込むことがとても重要です。
たとえば、企業にもよりますが、選考時点ではデザインの基礎力を重視し、ツールの習熟度は問わない場合もあります。その場合は、基礎力が判断できるデッサンを中心に構成する方が良いでしょう。このように、応募企業が何を求めているかによってバランスを決めるのがおすすめです。
作品数が多くポートフォリオのボリュームが大きくなってしまう場合は、書類提出用とは別で面接持参用のポートフォリオを準備するのも手です。面接時には、作品の詳細やテイスト、対応範囲の幅がより伝わる内容をアピールする、といった作戦にも活用できると思います。
Q:私に合う会社を教えてください
A:「自分に合う企業が分からない、だから教えて欲しい」という悩みを抱えていらっしゃる美大・芸大生は非常に多いと感じています。その場合、あくまで当社の場合ですが、キャリアカウンセラーが相談者の「ご自身のこと」を深く掘りさげ、「合う会社」にたどり着くようサポートさせていただいています。
以下にプロセスを示します。
まずは、「今まで培ってきたこと」や、「学生時代に学んだこと」、「その学校や部活を選んだ理由」などの過去の出来事を遡ってみてください。
次に、「どんなゲームを作りたいか」、「どんな人物になっていきたいか」など未来の自分やチャレンジしたいことを考えてみてください。
どの職種を希望しているか、さまざまな職種・業界の中でなぜこの業界のこの職種なのか、なぜその企業なのか、どのようなことが嫌いで、何が好きか、どんなジャンル、テイストを希望しているか、描くことや制作すること自体が好きなのか、設定など世界観も含めて作ることが好きか、その職種に特化していきたいのか、幅広く携わっていきたいか……などなど、いろいろな条件が絡み合って、ようやく、合いそうな会社を一緒に見つけることができます。人と話したりノートに書き出したりすることで、より具体的にご自身について整理できるでしょう。
以上のプロセスは、いわば「自己分析」そのものです。我々キャリアカウンセラーに頼れない学生さんもいると思うので、その場合は上記プロセスを参考にご自身の分析をしてみてください。
自身のことを言語化できるレベルまでくれば、履歴書やエントリーシートの準備はもちろん、面接対策も楽になります。基本的に面接時の質問は、過去・現在・未来のあなたに関する質問なので。
ぜひ、早めに「自己分析」にトライして、自分に合う会社を探してみてくださいね。
第6回は以上となる。就職活動に役立てば幸いだ。