「新卒の美大・芸大生がゲーム業界に入るために、何をしたほうがいいの?」ゲーム専門転職エージェントに訊いた

第5回を迎えた本稿では、ゲーム業界における「デザイナー職」を目指す就活生の質問に対する、IMAGICA GEEQの回答を紹介していく。

国内だけでもさまざまな企業が存在するゲーム業界。専門的な知識・スキルを求められる業界でもあり、企業や職種によって活かせるスキルもまちまち。一般的な転職ノウハウがしっくりこない傾向もあるだろう。

弊誌はそんなゲーム業界での転職について、ゲーム人材の紹介・派遣サービスで30年の実績を誇るIMAGICA GEEQに気になる質問をさまざまぶつけていく。実績ある同社から得られた回答を連載で紹介していこう。本稿はその第5回となる。

昨年、IMAGICA GEEQ社主催の関西の有力ゲーム会社参加の中途採用イベント「ゲームクリエーターズドラフト」(以下GCD)が実施された。今年は同イベントを【2D・3DCGデザイナー×新卒版】として、8月1日から募集開始される。そこで今回はそれにちなんで、ゲーム業界でデザイナー職を目指す就活生から寄せられた質問に回答する。

【新卒採用イベント】「ゲームクリエイターズドラフト(2D・3DCGデザイナー)」の詳細とご応募はこちら↗

IMAGICA GEEQ:
当社ではゲーム業界における転職・派遣エージェントサービスを提供しておりますが、創業から30年以上の歴史の中で美大・芸大とのお付き合いも深く、各大学にて学生に対する就職支援も行ってまいりました。現在では、美大・芸大を中心に全国10校の大学と提携し、国家資格を取得したキャリアコンサルタントがセミナーを開催したり、各大学に直接赴き一人一人の学生と直接会話をしながらサポートを行っております。

これらの活動を通じて学生のみなさんから寄せられた、特に質問が多いものをピックアップしましたので、ぜひご覧ください。


Q:美大・芸大生で3Dツール未経験ですが、今から使えるようになっておいた方が良いですか?また、何のツールがおすすめですか?

A:希望する職種にもよりますが、ゲーム業界で3DCGデザイナーを目指す方であれば3Dツールは触っておいた方がより良いと考えます。

ゲーム開発を行う企業ではMayaを使用することが多いので、Mayaでの制作は経験しておいて損はないでしょう。ただし、新卒採用においてはツールを問わず3D作品を作っているという経験を評価される企業も多いため、まずは3D作品を作ってみてください。実際Maya以外では、ZBrushやBlender等を使えることが評価されて内定した方もいます。

一方、目指す企業や業界によってもさまざまですが、新卒採用の求人を見ると使用ツールが具体的に指定されていないケースも多いです。そのため、応募する企業の制作実態を確認したい場合は、その企業の中途採用求人を見てみるのも良いかもしれません。中途採用は即戦力を求めており、その企業の開発実態に即して募集する傾向がありますので、実際の開発環境を調べるのに役立ちます。ぜひ参考にしてみてください。

Q:私の絵柄(作風やテイスト)に合う企業はありますか?

A:ご自身の絵柄が応募企業のニーズに非常に合っており採用となるケースもありますし、過去の採用実績としても当てはまることもあります。

しかしながら、多くの企業は幅広い絵柄の描き分けができる方を採用したいという傾向が強いのが現状です。パブリッシャー企業(以下「パブリッシャー」)では、その企業のメインタイトルで採用されるというケースはあるかもしれませんが、そのタイトルが長期にわたって続くかどうかは分かりませんし、部署異動や求められる絵柄が変わるということもあります。また、国内ではデベロッパー企業(以下「デベロッパー」)数の方が多く、求人数も相対的に多くなります。デベロッパーでは、どんなジャンルでも対応可能な体制にするために、絵柄の描き分けができる方の需要が高いです。

もちろん、ご自身が一番描きたいものは大切にしてもらいたいですが、採用という点を踏まえ、描き分ける力を身に着けられるよう取り組んでみてください。


Q:ポートフォリオの作り方についてアドバイスが欲しいです

A:ポートフォリオ作成については多くのご質問をいただきます。例えば、ページ数、何をどのくらい入れればよいか、このポートフォリオに合う企業はあるかなどさまざまです。

ここからは、持論も含めてお話します。

大前提として、ゲーム開発・制作を行う企業にとって、自社が開発・販売するゲームソフトはさまざまなプレイヤーから評価されます。ゲーム以外の企業もそうですが、何か成果物を作るうえでプレイヤーが求めているものは何か、現在のトレンドは何かなど、より多くの方に楽しんでもらえるようあらゆる職種の人々がビジネスとして協力し合いながらゲームを作り上げています。

そのため、募集企業は就活生にも「そのコンテンツに触れる方のことをちゃんと考えているか」という観点を求めており、ポートフォリオや提出書類においても、見る人に対する配慮や協調性は必ず見られていると考えられます。ここで言う見る人とは、企業の人事担当者や、実際にゲームを制作される方となります。独自性や自分自身のやりたいことはもちろん必要ですが、相手目線を持つことが将来ゲーム開発に携わる一員として一番重要です。

ですので、ポートフォリオを準備するうえでも「このポートフォリオは誰に何を伝えるためのものか」という点はしっかりと考えて制作をしてみてください。


第5回は以上となります。

次回はもう少しポートフォリオ作成について深堀りし、自己分析の重要性にも触れていきたいと思います。本年度の就職活動は中盤に差し掛かりますが、少しでも学生の皆さんの活動に活かしていただけたら嬉しいです。当社でも就職イベントを行いますのでぜひご参加ください。

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AUTOMATON JP
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