勇者も英雄も存在しない暗黒世界を生き延びる、ターンベース型のサバイバルゲーム『Thea: The Awakening』

サバイバルゲームと言えば、ここ数年はゾンビやミュータントものが人気だが、本作はめずらしくダークファンタジーを題材にしたタイトルだ。

発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆくIndie of the Week。第96回目は、サバイバルゲーム『Thea: The Awakening』を紹介する。サバイバルゲームと言えば、ここ数年はゾンビやミュータントものが人気だが、本作はめずらしくダークファンタジーを題材にしたタイトルだ。スラヴ神話と民間信仰をテーマにしており、勇者も英雄も存在しない暗黒世界が描かれる。

『Thea: The Awakening』の舞台となる「シーア(Thea)」では、100年間におよぶ暗黒時代が続いており、すでに魔物や悪の勢力がはびこっている。神々は失墜し、王国は崩壊しており、闇夜のクリーチャーと地下世界のデーモンがこの地を支配している。プレイヤーは残されたスラヴの神となり、最後の希望となった人類の一団を導かなければならない。ゲームには複数のエンディングが用意されているが、当面の目標はこの無慈悲な暗黒の大地をなんとか"生き延びる"ことだ。

 

 

複雑なユニットとアイテム管理
複雑なユニットとアイテム管理

ゲームプレイに目を向けると、基本的に本作は『Civilization』のような4Xのターンベースストラテジーをベースとしている。プレイヤーは固有のボーナスを持つスラヴ8神から1神を選び、ゲームをスタートする。ワールドは自動生成され、マップ上には30種類以上の資源がランダムで配置される。人類の生き残りが住む村を拠点に、プレイヤーはユニットを指揮してこれらの資源を集め、魔物の襲来に備えれなければならない。ゲーム中にはスラヴ神話を元にした70種類以上のクリーチャーが登場する。

4Xストラテジーの代表作『Civilization』と比較するならば、複雑な資源マネージメントやユニット・アイテム管理が本作の特徴となるだろう。例えば斥候を進ませて周囲の視界を得るにしても、装備を整えたユニットでパーティーを組み、さらに食料も持たせなければならない。またゲーム中には4000種類ものアイテムが登場し、ワールド上から収集するだけでなく、クラフティングシステムでさまざまな種類の武器や道具を作り出すことができる。このクラフティングの際にも、製造するユニット(人)を用意し、1ターン消費しなければならないのだ。誰が食料のために農作業をし、誰が必要な道具を製造し、そして誰が魔物と戦うのか。プレイヤーは頭を悩ませることになるだろう。

このほか、昼夜のサイクルや天候の変化により、ゲーム内のワールドに影響が出ることが明らかにされている。戦闘がミニカードゲーム風となっているのも本作の特徴の1つだろう。

 

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人類と悪の勢力が戦う大規模な戦争・覇権ストラテジーではなく、生き残りをかけたよりミクロな"生存ストラテジー"を目指す『Thea: The Awakening』は、MuHa Gamesが開発を担当。2014年11月、Kickstarterでのクラウドファンディングに失敗した本作だが、今年4月にはSteam Greenlightに登録されるなど、現在も露出が続いている。リリースは2015会計年度Q3を予定しているとのこと。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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