詰め将棋的ワイヤー物理パズルアクション『Volt』

今週取り上げるのは今年7月に設立されたばかりという新興スタジオ Quantized Bit の『Volt: battery on the loose』です。Quntized Bit は目ぼしいインディー関連アワードなどで賞を取った経歴も無く前評判はありませんが、第1弾タイトルは実際にプレイすると思わず唸るほどのクオリティを有しています。

Steam Greenlight や Kickstarter を漁りつつ日がな一日過ごすのが好きな筆者が一目惚れしてしまったタイトル達を紹介する「Indie of the Week(IotW)」。今週取り上げるのは今年7月に設立されたばかりという新興スタジオ Quantized Bit の『Volt: battery on the loose』です。Quntized Bit は目ぼしいインディー関連アワードなどで賞を取った経歴も無く前評判はありませんが、第1弾タイトルは実際にプレイすると思わず唸るほどのクオリティを有しています。

『Volt』は今にもリサイクル工場で破壊されようとしている四角いロボットを操作し、4つのゾーンを攻略して工場からの脱出を目指すステージクリ ア型アクションパズルタイトル。各ステージにはロボットを粉砕するノコギリや重力逆転装置など様々なオブジェクトと環境が用意されており、プレイヤーは壁 に接着し振り子のように動くことができる2本のビーム「エレクトリックビーム」と、ほんの少しだけ体を浮き上がらせる「ジャンプアビリティ」を駆使して ゴールを目指すことになります。

さて『Volt』の「エレクトリックビーム」は『海腹川背』のルアー付きロープほど伸縮性を有しておらず、プレイヤー自らがビームを伸縮させて振り子運動を大きくし高所へジャンプするといった芸当は出来ません。またさらに「エレクトリックビーム」と「ジャンプアビリティ」はステージ毎に設定された数値だけ”使用回数が制限“されており、ステージ上でエネルギーを使い果たしてしまうとその場でゲームオーバーとなってしまいます。

 

 

なら『Volt』は爽快感皆無の『海腹川背』なのかと聞かれればそうでは無く、同作が見せているのは「詰め将棋的な楽しさを持つワイヤーパズルアクション」 です。『海腹川背』にはユニークな挙動のルアー付きロープ操作をマスターし自由自在に動き回る爽快感があります。一方で『Volt』は操作するロボットを 自由自在に操作することが極端に出来ないよう意図されており、重力装置や動く足場といった周囲の環境やオブジェクトをどう利用すれば正解なのかという、針 の穴のようなクリア手順を問い詰めていくプレイをプレイヤーにもたらしています。少ない手駒で相手の駒を逆手に取り、いかに詰ませるかが楽しい作品となっ ているのです。

『Volt』は4種類のゾーンに沿った80以上のステージに加えボスステージも登場。またなんらかのアンロックコンテンツも用意されている模様です。Steam Greenlight に登録され Steam での配信を目指しているほか、現在 Desura では3種類のゾーンを収録したアルファ版が有料リリース中で、実際にプレイしてみると可愛らしいグラフィックの中にコアなゲームプレイが存在することがわかるでしょう。

どうすればクリア出来るかを考える『Volt』。 『海腹川背』が「ハメを外すゲーム」なら同作は「何かハメていくゲーム」
どうすればクリア出来るかを考える『Volt』。

『海腹川背』が「ハメを外すゲーム」なら同作は「何かハメていくゲーム」

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

記事本文: 1728