「肉」表現光る2DホラーRPG『Catequesis』

最新のインディーゲームをチェックし筆者の目にとまったタイトルをピックアップしてゆくIndie of the Week。今週は『Memory of a Broken Dimension』、『Neverending Nightmares』、『Catequesis』の3本だ。ハロウィンより一足早くホラーインディーゲームを紹介しよう。

最新のインディーゲームをチェックし筆者の目にとまったタイトルをピックアップしてゆくIndie of the Week。今週は『Memory of a Broken Dimension』、『Neverending Nightmares』、『Catequesis』の3本だ。ハロウィンより一足早くホラーインディーゲームを紹介しよう。

 


データ再構築ホラーアドベンチャー

 

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タイトル名: 『Memory of a Broken Dimension

ジャンル: 一人称視点&テキストアドベンチャー
開発: Ezra "XRA" Hanson-White
発売日: 2015年

『Memory of a Broken Dimension』はTGS 2012の「センスオブワンダーナイト」に登場したホラーアドベンチャーゲームだ。インターネットを経由し、とある古いシステムを回遊する世界が舞台だ。プレイヤーは3D視覚化ツール「RELICS」を利用してこの出自不明のデータを再構築してゆく。ゲーム内では断片化したデータを視覚化して見る一人称視点での探索場面にくわえて、テキストのみで表示されるCUI画面からのコマンド入力パートが存在する。まるで実際にPC上から謎のOSを調査しているような気分が味わえるのが本作の特徴だ。現在の一人称視点ホラーアドベンチャージャンルの分野ではゾンビやクトゥルフ由来なクリーチャーであふれかえっているが、その点において本作はノイジーな世界描写でもユニークといえる。

もとは2010年のゲームジャム「Ludum Dare」にて48時間で開発された『Memory of a Broken Dimension』だが、今年4月から開発者のErza "XRA" Hanson-White氏はフルタイムで開発に取りくんでいる。現在はSteam Greenlightにも登録されており、2015年のリリースを目指しているようだ。

 


開発者の絶望世界を投影するサイコホラー

 

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タイトル名: 『Neverending Nightmares
ジャンル: サイコホラーアドベンチャー
開発: Matt Gilgenbach
発売日: 9月26日

『Neverending Nightmares』は2013年にPolygonを通して正式発表された作品だ。発表を報じる記事の書き出しはゲームの解説ではなく、いかに開発者Matt Gilgenbach氏が日々苦悩しているかを紹介する内容となっており、当時筆者の興味をひいた。Gilgenbach氏はかつて2013年にリズムシューティングゲーム『Retro/Grade』を発売した人物である。この『Retro/Grade』はそれなりに高い評価を得たものの、Gilgenbach氏の想定していた最悪のケースをも下回る販売数にとどまってしまった。同氏は金銭的に追いつめられ、以前より患っていた鬱症や強迫障害を悪化させる。絶望の世界をさまようなか、あらためて自身になにができるのかを問うたとき、Gilgenbach氏が辿りついたのが自身の精神疾患の世界をゲームで表現することだった。

ゲームはタイトル通り「終わらない悪夢」を題材としており、プレイヤーは抜けだすことのできない悪夢の連鎖から目覚めることを目指す。はたしてGilgenbach氏はどのような世界を日々見ていたのか。『Neverending Nightmares』は9月26日よりSteamにて販売予定だ

 


魅惑的な「ミートアート」を描くホラーRPG

 

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タイトル名: 『Catequesis
ジャンル: ドットホラーRPG
開発: Francisco Calvelo, Maxime Caignart
発売: 2015年

『Catequesis』は2013年にティーザートレイラーが公開されたホラーRPG作品だ。主人公の青年ダニエルは、ある日ガールフレンドであるソフィアと彼女の両親とのディナーに誘われる。食事が終わったあとダニエルは、ソフィアから自身の父親が不治の病におかされていること、そして謎の女性イザベルとともに怪しげな儀式を進めていることを告げられる。ダニエルとソフィアが父の身を案じるなか、儀式は最悪の結果をまねくことになる……。

開発者のFranとMaxはH.P. ラブクラフトからデビッドリンチまで、さまざまな人物や作品をインスパイア元として挙げている。具体的には「『バイオハザード』や『サイレントヒル』の雰囲気」と、「初期の『ゼルダの伝説』のシンプルでスピーディなプレイスタイル」を組みあわせた作品となるようだ。現時点でまだゲームプレイに関しては不明な点が多いのだが、Google+にて公開されているアートの数々には目を引かれる。ゲーム史を紐解けばけっしてめずらしいたぐいのタッチではないが、それでも印象的だ。

 


今週のピックアップ『Catequesis』

 

ここ最近のドットあるいはピクセルビジュアルホラーとしては、『Home』や『Lone Survivor』、『Calire』などがあげられる。これらの作品と比較しても『Catequesis』のグラフィックは勝るとも劣らない。キャラクターの表現こそシンプルであるものの、地面にこぼれ落ちた血液や得体の知れない肉塊は緻密に書き込まれている。筆者は3Dの一人称視点ホラー『Outlast』で地面に転がる死体や血肉などのオブジェクトに感動してしまったくちだが、同作でも同じような感覚を味わえるかもしれない。『Catequesis』は2015年にリリース予定だ。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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