フラッシュ作品『Madness』がインディーゲームに

Indie of the Weekは私、石元が毎週チェックした最新インディーゲームを紹介する週刊企画。ここ最近はインディーゲームのニュースとともに最新作をお伝えしてきた。今回からは初心に戻って、よりインディータイトルの紹介に熱を入れていきたいと思う。最新のインディーゲーム情報は日々のニュースの中でチェックしてほしい。

Indie of the Weekは私、石元が毎週チェックした最新インディーゲームを紹介する週刊企画。ここ最近はインディーゲームのニュースとともに最新作をお伝えしてきた。今回からは初心に戻って、よりインディータイトルの紹介に熱を入れていきたいと思う。最新のインディーゲーム情報は日々のニュースの中でチェックしてほしい。

今週紹介する4本のインディーゲーム企画はこちら。

 


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古代神話構築アクションRPG

 

タイトル名: 『Moon Hunters
ジャンル: Co-opアクションRPG
開発: Kitofox Games
発売日: 2015年夏

カナダはモントリオールのスタジオKitofox Gamesが開発中の『Moon Hunhters』は、古代神話を自身が構築していくことをテーマにしたアクションRPGだ。すべての生命と幸福の源である聖なる月が失われた古代の世界が舞台。プレイヤーはハンターとなって、邪悪な太陽のパワーが満ちる前に月が消えた原因を究明していく。開発陣いわく『ゼルダの伝説』と『Castle Clrashers』、あるいは『King of Dragon Pass』と『Gauntlet』を組み合わせたような内容で、4種類のキャラクターが登場し最大4人までのCo-opプレイに対応している。筆者がもっとも興味をひかれたのは、自身が神話を構築していくスタイルで物語が進行していく点だ。プレイヤーはゲームの舞台となる古代の世界で伝説や神話に残るような出来事をなしとげると、その記録は星座となり未来まで語りつがれ、プレイヤーたちの末裔である部族の繁栄につながる。その語り継がれるプレイヤーの素性は選択肢により50以上の性格から決定されるため、自身がゲーム内でとった行動に沿うオリジナルの神話を構築できるのである。またKitofoxは「敵を討ち倒すだけの伝説はめったにない」ともつたえており、善悪の範疇ではなく人間スケールではとらえきれないような現実世界さながらの"神話"を期待できそうだ。スクウェア・エニックスのプロジェクト支援プラットフォーム「Square Collective」経由でKickstarterを実施しており、現在すでに初期目標額4万5000ドルをこえて7万ドルを集めている。ただしスクエニからは資金援助をうけていない。

 


死にゆく世界で誰を「再生」するのか

 

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タイトル名: 『Alone With You
ジャンル: Sci-Fiアドベンチャー
開発: Benjamin Rivers
発売日: 2015年

2012年にピクセルスタイルのホラーアドベンチャー『Home』をリリースしたBenjamin Riversスタジオが、PlayStationハード独占の新作『Alone With You』を正式発表した。『Home』とおなじくピクセルスタイルのアドベンチャーゲームだが、今作では横スクロールにくわえ見下ろし視点での探索パートが存在するようだ。ゲームは崩壊しつつあるテラフォーミングコロニーと惑星を舞台としている。たった一人の生存者であるプレイヤーはAIコンパニオンの指示を受けつつポッドを修理して脱出を目指す。6か所のロケーションを舞台としたシンプルなSFモノのADVにみえるが、気になるのはBenjamin Riversより「ラブロマンス」と紹介されている要素だ。このラブロマンスは分厚いオブラートにつつまれ語られているが、どうやらゲーム中にはプレイヤーが死んでしまった乗組員たちを「再生」できる場面があるらしい。トレイラーでは4人の乗組員とともに、乗組員を「再生」することがけっして容易ではないことが伝えられている。タイトルの『Alone With You』から連想するに、いったいどのような物語の展開が待ちうけるのか興味深い。

 


フラッシュゲーム黄金期のレジェンド

 

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タイトル名: 『Madness: Project Nexus 2
ジャンル: フラッシュゲームアクション
開発: Michael Swain
発売日: 2015年前半

「小小作品」の時代のフラッシュに熱中したユーザーならば、「Newgrounds」で公開されてきた『Madness』シリーズを見たことがあるかもしれない。『Madness』シリーズはAdobeフラッシュにて過去数年のあいだ何十本も製作されてきた横スクロールのアクションゲームだ。小学生か中学生がノートに書いたゲームアートをクールに昇華させたようなデザインや、プリミティブなガンアクションとバイオレンス表現が最大の特徴となっている。今回の『Madness: Project Nexus 2』はそのシリーズ中でも評価の高い『Madness: Project Nexus』の続編で、ゲームエンジンにUnityを採用し3Dモデルで開発が進められている。

本作最大の課題はいままで無料であったシリーズの最新作が有料でも受けいれられるかどうか。しかし数年にわたり洗練されてきたシリーズのガンアクションが対価を支払う作品に匹敵していることは、ここ最近の作品をプレイすればわかるだろう。『Madness』シリーズの生みの親であるMatt "Krinkels" Jollyや、『Blockhead』や『Mastermind』といったフラッシュゲームシリーズのMatt "Krinkels" Jollyが開発に参加し、現在はKickstarterで開発資金の獲得を目指している。

 

 


現実世界遮断支援ゲーミングポッド

 

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タイトル名: 『Gaming Pod
ジャンル: ゲーミングポッド
開発: Landon Newton
発売日: 未定

最初におことわりしておくと、これはゲームではない。ガジェットやデバイス、あるいはそれに準ずるなにかのたぐいだ。ようするに「ゲーム用個室」。

排熱はどうなのか、マウス&キーボードスタイルのプレイには対応していないのかなど突っ込みどころは多いが、現実世界のなにもかもを遮断してゲームに没頭するにはいいのかもしれない。国内では「だんぼっち」なども販売されているが、こちらはさらに省スペースかつミニマムだ。家族から邪魔だと怒られることもない。ただし発表から1週間が経過したが、残念ながらKickstarter上では完全にスルーされている。

 

 


今週のオススメ『Madness: Project Nexus 2』

 

もとはフラッシュゲームであった『Broforce』や『The Binding of Isaac』が良い作品へ昇華され成功している例と照らしあわせてみると、『Madness: Project Nexus 2』はフラッシュアクションゲームの王者がついにインディーへ乗り込んできたという印象である。シリーズを知らない人にはグラフィックが華奢にみえるかもしれないが、同作はカバーに回避アクション、そして大量の弾丸と刃物が飛びかうスピーディーガンアクションを確立している。見た目に反して『Madness』の中身は骨太だ。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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