早期アクセスは専属契約か

先週『Rust』の開発チームFacepunch Studiosが『Riftlight』と『Deuce』を正式発表しました。『Riftlight』はRPG要素のあるCo-op対応のアーケードシューターです。『Deuce』は必殺技を放てる超能力テニスゲームで、「『ストリートファイター』とテニスをかけあわせたような作品」と紹介されています。Facepunchはこの両作をふくめ、3つのプロトタイプゲームが現在スタジオ内にて開発中であるとしています。

先週『Rust』の開発チームFacepunch Studiosが『Riftlight』と『Deuce』を正式発表しました。『Riftlight』はRPG要素のあるCo-op対応のアーケードシューターです。『Deuce』は必殺技を放てる超能力テニスゲームで、「『ストリートファイター』とテニスをかけあわせたような作品」と紹介されています。Facepunchはこの両作をふくめ、3つのプロトタイプゲームが現在スタジオ内にて開発中であるとしています。

そんな新規プロジェクト発表に対してユーザーから彼らに寄せられたのは非難の声です。『Rust』はいつ完成するんだ!と、一部ファンらの怒りはTwitterとフォーラムで爆発しました(Rust』は未完成のゲームを発売する早期アクセスで販売されている作品)。つまり、ほかのプロジェクトを始動するまえにやるべきことをやれと訴えたのです。

それをうけて『Garry's Mod』開発者でもあるGarry Newman氏は公式ブログにて「Adamが『Rust』の開発をキャンセルした」とするジョーク記事を投稿しました。この扇情的な投稿は「インターネットで批判をする大部分の人間はヘッドラインと画像しか見ていない」とする反論でもあります。同時に複数のプロジェクトをすすめることが間違いではないと主張しました。

「われわれは狂ったのか? 間違ったことをしているのか? 会社にいる全ての人が同じ仕事をしなければならないのか? HBO(米大手ケーブルテレビ局)は同時にひとつのテレビ番組だけ作らなければならないのか? ワーナー・ブラザーズは一度にひとつの映画だけを作るべきなのか?」

 

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Garry Newman氏は『Rust』の開発にもかかわっています。同作はMod版『DayZ』がおおきな流行をみせていた2013年6月にあらたなサバイバルサンドボックスゲームとして発売されました。2014年2月に売り上げが3000万ドルをこえたとが報告されるなど、セールスは順調そのものです。しかし今年にはいってからは複雑化した古いビルドとはべつに、まったくあたらしいコードによる新バージョンの再開発が進められています。さらに、この手のゲームにはつきものですがチート対策も現時点では野放し状態であり、未完成と評するほかありません。

そんななか、『Rust』の開発を終えるまえに2つのプロトタイプゲームを発表したことで、ファンらはFacepunchが『Rust』の開発を投げたのではないかと疑います。Newman氏は『Rust』のアップデートが現在まで数日ごとに配信されてきたことを強調しました。また『Rust』への開発人員を減らし新プロジェクトに割り当てることはなく、新規に雇用した面々で新プロジェクトを進めていると伝えています。今後も現状どおり『Rust』の開発を続けるとしました。

Newman氏はほとんどのスタジオでも水面下で複数のプロジェクトが進められていると説明しています。そして今回の問題は、Facepunchが開発状況をオープンにしているゆえに起きた問題だと結論づけました。

 

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しかし、ほかのスタジオとFacepunchとでは状況はいささか異なります。それは同スタジオががさきに早期アクセスのゲームを開発中であった点です。早期アクセスで販売したゲームを完成させるまでほかのゲームを開発してはいけない、などという契約はありません。が、購入しいまだプレイをつづけているユーザーからすれば、ほかのゲームへうつつを抜かしているようにみえるでしょう。あるいは、さきに未完成ゲームにそのカネや人材をまわして完成させてくれと思うかもしれません。

また『Garry's Mod』はともかく、『Rust』での利益が新作開発に向けられている点もファンにとっては納得しがたいでしょう。Newman氏はAppleがiPhoneやMacで稼いだお金をiPadの開発にまわしてはいけないのかと例えています。しかしできあがった製品を売っているiPadとはことなり、販売されている『Rust』は未完成品です。いつか完成すると約束されたiPadを売りかせいだ資金で、ほかの製品を開発中だと報告されれば、普通はおだやかな気持ちではいられません。

早期アクセスは専属契約なのか? 半分正解であり半分不正解です。開発者がほかのプロジェクトに手を出すことを規制するルールは現状存在しません。ですが身銭を切ったファンとの心のうえでの契りは、契約違反や罰金以上に開発へ重くのしかかってしかるべきです。

 


『ナウシカ』オマージュARPG

 

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タイトル名: 『Aegis Defenders
ジャンル: アクションRPG
開発: Guts Department
発売日: 2015年冬

『Aegis Defenders』は蒼き衣まといし少女と、どこかの風の谷に住んでいそうな叔父が主役のアクションRPGです。かつて先進技術で栄華を極めていた人類が戦争により滅亡し、知識が失われた未来の地球を描きます。失われた技術をもって世界支配を目指す帝国の存在や謎の野生生物など、『風の谷のナウシカ』に影響を受けていることは一目瞭然。しかし『Aegis Defenders』はディズニーに対する『アナスタシア』と同じ位置づけの作品となるでしょう。誤解をおそれずにいえば、「良質なパクリ」です。2Dドットアニメーションはうつくしく、トレイラーで中盤で登場する空飛ぶなめくじには身震いさえ感じます。タワーディフェンス要素のある戦略的な横スクロールアクションも魅力的です。同作は2015年冬に発売予定、現在はKickstarterを実施中。

 


日本の同人ゲーム、世界へ飛び立つ

 

steamcommunity.com

タイトル名: 『Hatoful Boyfriedn
ジャンル: ハト恋愛シミュレーション
開発: Mediatonic
発売日: 2014年8月22日

『Hatoful Boyfirend』は日本の同人ゲームでありながら海外のパブリッシャーから英語版(ただし今作はリメイク)が販売されることになった作品のひとつです。過去にも国産同人ゲームが海外パブリッシャーからリリースされるパターンはいくつか存在しました。しかし、今作のパブリッシングはDevolver Digitalが担当しています。『Serious Sam 3』や『Hotline Miami』など漢なゲームタイトルばかりを販売してきたパブリッシャーです。Devolverのラインナップに登場した『Hatoful Boyfirend』は、あたかも肉食獣の群れのなかに突如入りこんだハトのようです。ゲーム自体はハトが通う学園に唯一の人類として入学し、さまざまなイケハトたちと恋愛を楽しむという(とても個性的な)内容となっています。発売日は先日決定したばかりで、8月22日よりSteamから全世界に向けて配信予定です。

 


今週のピックアップ『Aegis Defenders』

 

美麗なアニメーションに目がいく『Aegis Defenders』ですが、2D横スクロールアクションとタワーディフェンスの融合など、ゲームのメカニック面にも注目すべき点が多くあります。シングルプレイヤーキャンペーンモードは主役のBartとCluを切り替えつつ戦うスタイルで、Kickstarterで集まった額に応じてCo-opモードにも対応するようです。同作の目標額は6万5000ドル。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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