E3 2014の初ベストインディーゲーム部門に『No Man’s Sky』輝く

先週1週間のインディーゲーム関連ニュースと最前線で奮闘するインディータイトルたちを月曜日に振り返る週間連載、Indie of the Week。梅雨入りを果たすも6月は終わろうとしている第36回目は2014年6月第4週(6月23日から6月29日)。今週は相変わらず快進撃を続ける『Minecraft』のセールスデータと、『大鷲のトリコ』などの元スタッフが設立した新規スタジオFriend & Foeが注目を集めました。

毎週の始まりに過去1週間分のインディーゲームニュースと注目のタイトルをお届けする週刊連載、Indie of the Week。7月に入ったもののまだまだ梅雨が続く7月第1週(6月30日から7月6日)、今年もロサンゼルスのコンベンションセンターにてE3 2014が開催されました。さまざまなメディアが同イベントに関連した独自のアワードが発表されるなか、それらのなかでも代表格と目される"Game Critics Awards of E3 2014"の受賞作が先週決定しました

Game Critics AwardsではE3終了後にイベントでもっとも輝いたタイトルへと各部門ごとに賞が贈られます。IGNやGameSpotにPC Gamer、Official Xbox MagazineとThe Official PlayStation Magazineなど、海外では有名どころのゲームメディア30社前後が毎年集い、個々に受賞作を選出していきます。

目玉となるBest of ShowはTurtle Rockスタジオの『Evolve』が受賞。同作はコンソールゲーム、アクションゲーム、そしてオンラインマルチプレイヤーと合わせて4部門を制覇しました。一方でそれにつぐ3部門制覇を果たしたのが『No Man's Sky』です。同作はオリジナルゲーム(続編ではない新規作品)とインディーゲーム部門、非プレイアブルかつ革新的なゲームに贈られるSpecial Commendation for Innovationアワードを受賞しました。インディゲーム部門は2014年今年から登場したフレッシュな部門で、『No Man's Sky』は栄えあるE3インディーゲームの代表的アワードを初めて受賞した作品として今後記されることになります。

米国の大手ケーブルチャンネルSpike TVが毎年主催しているVGX(旧VGA)。やや盛りあがりに欠ける進行が続いていた同イベントにて、2013年12月7日に『No Man's Sky』は颯爽と現れました。同作の基幹としてうたわれているのは「未知の領域への調査とそこでの生存」です。『No Man's Sky』では広大な銀河宇宙が自動生成されます。アステロイド帯からさまざまな惑星、そしてその惑星内部の生態系や地形および気候までランダムで創造されてゆくのです。プレイヤーは自身の足で惑星を探索し、また宇宙船を駆って大気圏外へと飛び出し、無限に生まれ続ける未知との遭遇を楽しむのです。

E3 2014ではトレイラー2本が公開されました。自動生成で生み出されていく多種多様なワールドと、惑星から宇宙へのシームレスな移行は、VGXでの正式発表を見逃していた人々に大きな驚きをあたえたことでしょう。

 

 

 

開発を担当しているのは英国のHello Gamesという小規模なインディースタジオ。2009年に発足して以降、『Joe Danger』という、現代版『エキサイティングバイク』のようなシンプルかつカジュアル寄りのアクションゲームを開発してきました。E3 2014でのBBC Newsによる取材に対し、現在10人がスタジオ内で働いているとコメントしています。小さなインディースタジオから生まれる巨大な宇宙探索ゲームという構図は興味深いものがあります。同作はPlayStation 4にてリリース予定です。

 


虫の大軍と内臓で戦うRTS

 

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タイトル: 『Prophour23
ジャンル: 人体錬成RTS
開発: The Secret Pie
発売: 2014年後半

商業ベースでは会議で絶対にGOサインが出ないようなプロジェクトが飛び出してしまうのもインディーゲームの楽しみのひとつ。『Prophour23』は独自のゲームメカニックを搭載した自動生成型のRTSゲームです。人間の「内臓」をプレイエリアに配置していき、「虫の大軍」の進行を撃退していくことがプレイヤーの目的です。夢かドラッグか、開発者The Secret Pieの脳内でどうやって「内臓」と「虫」がつながったのかは不明ですが、虫が行進し内臓に食らいつこうとするビジュアルは強烈そのもの。一方その独自のテーマに反して『Prophour23』のゲームプレイは『StarCraft』のような伝統的なRTSの感覚を取り入れた内容を目指しています。まずゲームは心臓が配置されている状態からスタートし、血液を集めつつ様々な内臓を生み出してエリア上に配置、さらにそれらをつなぎあわせて動かしていきます。たとえば胃と筋肉を繋ぎあわせると胃は収縮をはじめるのです。胃が収縮するとどうなるかは、プレイヤーが実際に試すのが本作のルール。1プレイは15分前後ながらも、リプレイ性のある作品を目指している『Prophour23』。プレイヤーは「どの内臓をつなぎあわせればどんな効果が発揮されるのか」を模索していきます。

 


あのターンベース型STGが資金集めを開始

 

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タイトル: 『Mighty Tactical Shooter
ジャンル: ターンベースSTG
開発: The Mighty Git
発売: 未定

『Mighty Tactical Shooter』がKickstarterにてクラウドファンディングを開始しました。目標額は1万ポンド。グラフィックやビジュアルで押すようなタイトルではないためか大躍進とまではいかないものの、1週間で3000ポンド超えと着実に資金があつまっています。本作は昨年10月のIndie of the Week第2回目でもご紹介しました。あらためて簡単におさらいすると、「シューティングにターンベースの概念を導入したゲーム」です。プレイヤーはおのれの反射神経を武器に飛び交う弾を避けるのではありません。敵の行動を予測しつつ自機の行動パターンを繰り返しインプットしてステージの攻略を目指します。「STGをターンベースにする」が最大の特徴であり、同時に「それが面白いのか?」という最大の問題もかかえる同作。今回のKickstarterキャンペーンに伴いプレイアブルデモが公開されており、各々がその答を知ることができるようになりました。Kickstarterは8月1日まで実施中。またすでにSteam Greenlightにも登録されています。

 


サバイバルゲーム、ついに宇宙へ

 

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タイトル: 『REVERSE SIDE
ジャンル: スペースサバイバルゲーム
開発: Reew Games
発売: 2014年7月

PCでSteamの早期アクセスゲームに手を伸ばしてきたならば「もう飽き飽きだよ」と声が出てしまいそうなサバイバルジャンル。しかしSteam Greenlightへと新たに登録されたサバイバルゲーム『REVERSE SIDE / ОБРАТНАЯ СТОРОНА』は、舞台を宇宙とすることで過熱気味の同ジャンルにおいても新鮮さを保っています。2023年、近未来の宇宙。プレイヤーが搭乗していたシャトルJunior 2は、隕石群に巻き込まれ爆発を起こし気圧が低下、やむなく月面へ緊急着陸します。プレイヤーは唯一生き残った宇宙飛行士のKlimovとなり、破壊された宇宙船のシステムを復活させ、酸素と食料を集めつつ生存、そして月からの脱出を目指さなければなりません。舞台設定が月面である点以外にも、興味深いのが同作がEpic Gamesの最新ゲームエンジンUnreal Engine 4を採用している点です。録画環境が悪いのか、異常なほどにfpsが低いトレイラーは少々ひっかかるところですが、ビジュアルはここ最近登場した森林サバイバル『The Forest』と比較してもひけをとらない水準です。発売は今年7月、また1000人の投票があれば10分ほどのデモを公開するとのことで、気になるユーザーはしばらく続報を追ってみるとよいかもしれません。

 


今週のピックアップ『Mighty Tactical Shooter』

 

すでに過去のIndie of the Weekにてとりあげた『Mighty Tactical Shooter』です。今回登場したプレイアブルデモに実際に触れることができ、ようやくゲーム全体の流れやプレイフィールが感じられるようになりました。2ステージが収録されているデモは、序盤のチュートリアルステージこそ退屈な印象を受けるものの、後半のステージではそれなりにシビアな戦略性がもとめられます。マウスのみに集約された操作インターフェイスは、「半アクション半ターンベース」とでもよぶべき不思議な操作感でなかなかの出来栄えです。バッテリーの管理やミサイルの軌道操作、敵弾の軌道をねじ曲げるグラビティウォールの展開など、本作をただの細切れターンベースSTGにはしない特殊な武装の数々も好感触です。もっと難易度のあるレベルをプレイしてみたい、文字ばかりで見辛いUIをリデザインしてほしいなどの(前向きな)リクエストはありえますが、筆者の中では今後も続報を追うタイトルのひとつとなりました。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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