『Muse』オープンワールド・サンドボックス・リズムゲーム

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ishigenn が毎週見つけた最先端のインディーゲームたちを自身のソウルに従いピックアップしていく[Indie of the Week]。サバイバルゲームの流行でもはやオープンワールドが真新しいものでもなくなった昨今ですが、今回はそのオープンワールド探索とリズムゲームを融合させるという興味深いデザインをかかげる最新作『Muse』をご紹介します。

ミュージックドリブンの探索ゲームと銘打たれた『Muse』は、Music Zone なる広大な空間の中で音波のクリーチャーたちを集めミュージックを奏でていくという異色のリズムゲーム。プレイヤーは360度移動可能な音楽の世界にて、周囲を飛び交う様々な種類のミュージカルクリーチャーたちを好きなように集め、自身が思うままの楽曲を構築していくことになります。

作曲といってもそれほど小難しい知識は必要なく、ただ浮遊する音のクリーチャーたちを集めたり、オブジェクトを通り抜けていくことで楽曲が形作られていくのが『Muse』の特徴の1つ。メロディラインからバスやキックなど各種サウンドを打ち鳴らすミュージカルクリーチャーたちは9種類存在しますが、同作ではプロユース向け音源によるカスタム自動生成オーディオエンジンを採用しており、適当に集めただけでもそれっぽい曲に仕上げてしまうことが可能なのです。

そしていとも簡単に完成された楽曲が生まれるのではなく、「それっぽい」程度にとどまるのが『Muse』最大の魅力でもあります。適当にクリーチャーを集めるだけでは、それっぽい曲は出来上がっても素敵な曲は生まれません。プレイヤーは BPM を変調させたり、邪魔な音のクリーチャーを取り除いたり、Voice Randomiser を通り抜けて音のパレットを転調させたりと、いいサウンドを目指して終わりの見えない試行錯誤を繰り返していきます。いわば『Muse』は音の砂場。プレイヤーは音に触ったり、形作ったり、そして壊してしまったりと、コントローラーを介して気の済むまで音の砂をいじり続けることが可能なのです。

 

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ミュージックを奏でるゲームと言えば水口哲也氏の『Rez』は外すことができません。オープンワールド型のリズムゲームという名を聞くと、どことなく2013年に登場した『Proteus』を想起するところです。ですがプレイヤーが指揮者である『Rez』や、ただ世界からささやきかけてくる音に耳を傾ける『Proteus』に対し、前述したように『Muse』はプレイヤーに対し「音を調べる意欲」を求める作品といえるでしょう。綺麗な音楽を奏でる気分を即座に味わえるわけではなく、その点はやや人を選びそうではありますが、『Muse』はサウンドサンドボックスの娯楽性を強調しています。教室にあったピアノの鍵盤を適当に叩いてミュージックらしきものを奏でてみたり、覚えたてのギターのコードを組み合わせて悦に浸ったり、好きな曲の鼻歌がいつのまにかオリジナルの曲に変化していったりという過去がある(きっと大多数の)方は『Muse』を楽しめるでしょう。

ほかに本作で特徴的なのは、オンラインマルチプレイヤーを導入している点。プレイ中にほかのプレイヤーがマルチプレイヤーアバターとして視認できるほか、各プレイヤーが作成した楽曲を Song Bubbles と呼ばれる1つの泡としてフィールド上に残すことができます。作成した音楽を Music Zone 上にて共有することができ、またトップ5の楽曲をゲーム内メニューから確認できるというチャート型のシステムも導入予定となっているようです。

開発を担当する Current Cicus は、オーストラリアのメルボルンに位置するスタジオ。ビデオゲームだけでなくビジュアルアートやミュージック、フィルム畑のクリエイターらにより2010年に設立されました。第1作となる Kinect 向けレースゲーム『Beat Booster』はプレイ内容によって音楽が変調するというフィーチャーを有していました。リズムゲームファンは今後の動向をチェックしておいて損はないでしょう。

『Muse』は現在アルファ版が10ドルにて公式サイトで販売中。現在は1種類の Music Zone しか収録されていませんが、今後は様々なビジュアルやテーマに沿ったゾーンが登場する予定とのことです。

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初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。