『Guild of Dungeoneering』 GMとなってダンジョンを作りキャラを探索させるカードゲーム
トリプル A 級タイトルのレアな限定版を入手するより誰も知らないインディーゲームを見つけた時の方に顔がニヤリとゆがむ筆者 ishigenn がお送りする[Indie of the Week]。発売前や流行前の作品を取り上げるこの企画も第27回目、今回はダンジョンに潜るのではなく形作っていくというユニークなアイディアを持つダンジョン探索ゲーム『Guild of Dungeoneering』をピックアップします。
海外では「Dungeon Crawler」とも呼ばれるダンジョン探索ゲームと言えば、定番の『Wizardry』からここ最近の『Legend of Grimrock』、また国内では『トルネコの冒険』や『世界樹の迷宮』などが知られています。逆に侵入してきた冒険者たちを地獄の果てまで追いつめるダンジョン運営ゲームと言えば『Dungeon Keeper』を外すことはできません。しかし『Guild of Dungeoneering』はこれらの作品には当てはまらないダンジョンゲーム。両ジャンルを融合させた独自のデザインが光ります。
『Guild of Dungeoneering』においてプレイヤーは、5枚のカードを持ってダンジョンのレイアウトをデザインしていくことになります。登場するカードはダンジョンの通路や部屋にあたる「Seek」、敵キャラクターにあたる「Dread」、装備品やお宝にあたる「Hope」の3種類。この3種類のカードをマップ上に配置してダンジョンを形作っていき、冒険者を”冒険させる”ことが目的となるのです。ゲーム中に登場する冒険者らは AI で自動的に動くため、プレイヤーは彼らを直接操作することはできず、プレイヤーの役割は冒険者たちに気持ちよく冒険しゲームのクリアを目指してもらう TRPG の「GM(ゲームマスター)」に当たります。
手に入るカード5枚は常にランダムで山から手札に加わり、プレイヤーはこのカードを配置するなり捨てるなりして毎ターン3枚消費しなければなりません。「Seek」は T 字路や L 字路や行き止まりなど思い通りの形をしておらず、ミニマル RTS 『Rymdkapsel』のように、まるでパズルのピースを繋ぎあわせる感覚で通路を組み合わせていきます。
形状さえ問題なければ自由に配置できる「Seek」に対し、「Dread」と「Hope」にはそれぞれ配置するためのポイントが必要です。「Dread」はターン毎にポイントが増加していき、そして「Hope」は冒険者が敵キャラクターを倒すと増加するという仕組み。要するに冒険者が勝てるくらいの敵キャラクターを「Dread」カードにて上手く配置し、ポイントが溜まったら「Hope」カードでアイテムやお宝を与えて少しずつ探索者を強くしていってあげるという流れです。強い装備が配置できる「Hope」カードがあるのに丁度いいレベルの「Dread」カードが引けなかったり、保有している「Hope」カードが手札を圧迫したりと、カードゲームならではの戦略性と苦悩が丁度良い塩梅にからみあっています。
これに加え現在公開されているアルファ版では(ある意味人間らしいのか)冒険者には気まぐれな AI が設定されており、プレイヤーを悩ませます。近くに配置した宝物には即座に飛びついてくれるものの、遠くに配置しすぎると近くの何もない部屋を探索し続けてしまう……敵キャラクターを配置して倒して欲しくても、「死んじゃうかも」と逃げてしまう……思考ミスで配置した明らかに勝ち目のない敵へ戦いを挑んでしまう……等など。好き勝手動き回るプレイヤーをどうスキルアップしゴールへ導くのか、”誘導デザイン”を考えるゲーム開発者らの苦労がかいま見えるかもしれません。
デベロッパーであるアイルランドの Gambrinous Company に所属するのはただ1人。単独行開発のなか、今作『Guild of Dungeoneering』が第1弾タイトルとなるようです。公式サイトにて公開中のアルファ版は初期ビルドでありまだトラップやレベルアップの概念がなく、またゲームも「何をすれば終わりなのか?」がわかりませんが、特有のデザインの感触が確かめられるのでプレイしても時間の無駄とはならないでしょう。
なお『Guild of Dungeoneering』は19.99ドルにて2014年中旬にもリリース予定。現在公式サイトでは50パーセントオフとなる9.99ドルにて予約販売が開始されており、また Steam Greenlight にも登録されているので、興味のあるゲームマスターたちはそれぞれチェックしてみましょう。