『Okhols』 数百人の怒れる古代グリーク風モブNPCが戦うストラテジー
筆者 ishigenn がリリース前のインディーゲームを中心に目星をつけ紹介していく[Indie of the Week]。ついに4月がスタートし新生活をむかえた若人たちがあっちにもこっちにもあふれかえっている第26回目は、数人の主人公ではなく数百人の怒れるモブ NPC たちが主役となる戦略ゲーム『Okhols』をピックアップします。
『Okhols』はむかしむかしのギリシアならどこにでもいそうな地味なモブ NPC 数百人を引き連れ、その怒りを集結させて強大な敵を打ち倒すというリアルタイムのストラテジーゲーム。プレイヤーは町中に居るモブ NPC たちを説得し戦わせるリーダー「哲学者(Philosophers)」の1人を操作し、神話上の怪物や時には神々とも一戦を交えていくことになります。
ゲーム内での操作キャラクターとなる哲学者はマップ上に複数存在し、操作している哲学者が死亡した場合にはまた別の哲学者がプレイアブルになるという仕組み。プレイヤーは全ての哲学者たちが死亡し、既存の政治体制や神々を否定する新たな考えが失われてしまう前に、敵を打ち倒さなければなりません。
そんな哲学者を手助けする本作の主役ともいえるモブ NPC たちはなんともユニークです。貧弱ながらも数で敵を圧倒することが出来る「一般市民」、戦闘を担当する「戦士」や「守衛」。モブたちの戦闘を邪魔してしまう「モノマネ師」や「官僚」といったお邪魔キャラクターも登場します。
筆者が最もお気に入りのモブは「奴隷」。単体ではほぼ無力であるものの特定のスペシャルユニットが加入することによりと能力を上昇させたり、あるいはそのスペシャルユニットを購入するための”通貨”として利用したりすることも可能です。カジュアルなキャラクターグラフィックでごまかしてる感がありますが、その描写の実態は古典的奴隷貿易への痛烈な皮肉です。
そしてその奴隷たちで購入できるスペシャルユニットとしてゲーム中に登場するのが、独自の能力や様々なアビリティを持った「ヒーロー」たち。たとえばゼウスにより顔をオオカミに変えられてしまったアルカディアの王「リュカーオーン」は、モブを引き連れていける最大値を25人増やす変わりに、その場で25パーセントの仲間たちを殺害してしまうというヒーロー。「ヒポクラテス」はモブたちを回復させる能力を持ち、「レオニダス」は奴隷を「スパルタクス」へと成長させます。
様々な特徴を持つモブ NPC たちを集め、さらにモブ全体に影響を及ぼすヒーローを雇用し、創意工夫した構成で強大な敵に立ち向かう……。残念ながらまだプレイアブルデモは登場していない同作ですが、開発ブログを辿っていくとその魅力的なメカニックがうかがえます。
本作の開発を担当するのはアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに位置する Coffee Powerd Machine。1人のプログラマーと1人のアーティストだけが所属するインディースタジオで、『Okhols』は2012年にリリースされたスペースシップ戦闘ゲーム『Gravity Fleet』に続く第2弾タイトルとなっています。開発のモットーは「自分たちが買ってプレイしたいゲームを創ろう」だそうです。
『Okhols』はPCとMac、Linuxへ向け2014年内にリリース予定となっています。